自分の愛車がそのままホテルとなる。それが車中泊。5年ほど前から流行り始めた新たな旅行スタイルを今回特集。日本全国を巡る達人に話を伺った。
(※その他の写真は【関連画像】を参照)
※この記事は2025年12月号に掲載されたものです。
【教えてくれた人】
「くるま旅クラブ」事務局長 山縣麻人さん
8年前に家を断捨離して、妻と日本一周を体験。今はユーザー団体の「くるま旅クラブ」にて車中泊の楽しく正しい情報を発信している。印象深いスポットは、「日本一危険な神社」と称される北海道の太田山神社。
■少しでも安全に「車中泊の防犯対策」
クルマは旅の家。自宅に防犯対策が必要なのと同様、旅の宿にも防犯対策が必要。車上荒らしに車両盗難、そんなトラブル防止には?
●第二の我が家は愛車 招かざる存在に備えるには
クルマを我が家として旅する車中泊。旅に備えて車内にはある程度の財産が備わっている。あるいはクルマそのものが高価で魅力的だったりする。当然、よからぬ考えを持つ人間を刺激することになる。
車中泊の防犯対策。それは極力「見せない」こと。ガラス張りで見通しの良い車内。座席に財布がそのまま置かれていたら、車上荒らしに遭う。車内は覗かれないよう、買い物やトイレで離れるわずかな時間でもシェードを備え窓を覆う。
とくに「女性の一人旅」の場合は防犯、護身に留意したい。
窓から覗かれないようカーテンやシェードを備えるのは常識だが、女性の存在をうかがわせる「可愛らしいグッズ」を持たない、車内に戻る際は周囲を確認する、携帯用トイレの用意をするなどして、夜間のトイレは極力控えたい。
さて「車中泊」とは「外出中」であること。あなたが一人暮らしなら、あるいは一家全員で旅をするなら、自宅は長期間の無人……その留守宅を狙う悪者がいないとも限らない。
SNSや動画サイトなどで、「車中泊」を公開している人は「実況」などせず、旅を終えて自宅に戻ったうえで編集&公開するのが安全かもしれない。
あるいはネットで旅風景を公開していくうちに、根強いファンもできるだろう。だがファン層すべてが「善人」とも限らない。車中泊の旅路で接触を求められても、必要以上に居場所をオープンにしない……まことに寂しいことだが、そんな配慮も必要だろう。
●山縣さんからアドバイス
宿泊地には明るいうちにチェックインして、周囲の環境を目で調べましょう。窓にはカーテンをしてください。
■① すべてのドアを施錠する
施錠のし忘れには注意

自宅の防犯と同様だが、悪意ある来訪者は「出入口」から侵入する。だからドアはもちろん窓も、不在時はもちろんいつでも施錠しておくこと。
だが施錠していても窓を破って侵入されてはたまらない。車内に「金目のもの」があることを悟られないよう、シェードやカーテンで日頃から覆うことで防犯に努めよう。
●とくに注意!
シフトレバーをPに入れると、自動で鍵が解除される車種も
■② クルマの周囲・周辺を確認する
周辺環境や人気には気を配ろう

犯罪者が最も気にするのは「人の目」。だからトイレや売店近くなど、人の目がある場所に駐車するのが手。駐車場のはずれは人の目が届かないから危険。
またトラックなど大型車の「影」に停車すれば周囲の目が遮られ、犯罪者に隙を与えかねない。
また、あまりにも人目がない場所で宿泊する場合はラジオなどで音楽を鳴らす、ルーフライトを照らすなど「寝ていない」偽装をしよう。
●とくに注意!
防犯と天候悪化の両面において、すぐに発進できる準備が大切
■③ RVパークなど管理された場所を利用する
身の危険をできる限り減らす

車中泊での危険を避けたいなら、「管理されたスペース」に泊まるのが一番安全。その筆頭がRVパーク、そしてオートキャンプ場だ。
RVパークは車中泊愛好家を対象としたクルマ専用の宿泊施設。トイレやゴミ捨て場が完備され、充電も行える。
アウトドア好きなら、オートキャンプ場を利用したい。焚き火台で火を起こして、車内の電熱器では難しい本格的な調理ができる上、ほかの利用者とスペースが離れているので酒を飲んでゆっくり語らえる。
■安心して車中泊できる場所
●RVパーク
車中泊ユーザー専用の宿泊施設。全国に500カ所以上、なかには温泉付き施設も。
●オートキャンプ場
サイトにクルマを乗り入れられるキャンプ場。電気が使える「電源スペース」もあり。
■④ シェード・ドライブレコーダーの設置
備えが安心感を生む

犯罪を防ぐには、存在を見せないこと。弱みを見せないこと。だから車内が覗けないようにカーテンやシェードを張る。女性の旅は「女性のみ」であることを悟られないよう「かわいいグッズ」を飾り付けないよう心掛けたい。
また運転中「あおり運転」や「交通事故」に巻き込まれないとも限らない。万が一に備え「ドライブレコーダー」も必須だ。
■その他の防犯グッズ
●ホイッスル・防犯ブザー
危機に遭遇したらすぐに鳴らして周囲に知らせよう
●護身用スプレー
襲われたら噴霧して撃退! 夜間、すぐ手に獲れる位置に
●ドアストッパー
車のドアは大きく開きすぎ……そんな悩みを解決する
■災害など緊急時にも大活躍「車中泊の防災」
●衣食住が凝縮された車は災害時に威力を発揮する

車中泊用にアレンジされた愛車は、旅行以外でも威力を発揮する。それは災害の折だ。地面に建つ家と異なり、自家用車は揺られても壊れない。
そして内部には一通りの生活用具が整えられ、体を伸ばして眠ることができる……実際に先年の能登半島地震の折には日本RV協会がキャンピングカー60台を被災地に派遣した。
「暖かい場所で、体を伸ばして寝られた」と、喜びの声が届いている。
能登半島地震で、全国の関係団体によって被災地に集結したキャンピングカー。寒くて雑然とした避難所に集う人々は、キャンピングカー内で体を温められた。(※写真はイメージになります。)
●山縣さんからアドバイス
2016年の熊本地震の頃から、車中泊用にアレンジされたクルマが避難場所として見直されました。
防犯上の利点はもとより、体を伸ばして寝られるのでエコノミークラス症候群の危険も避けられます。
文・取材/角田陽一 写真提供/くるま旅クラブ
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