日が短くなり、秋の夜長を肌で感じるこの頃。就寝までの時間を過ごす際、ぜひお供にしたいのが日本茶だ。

お茶の旬といえば新茶が出回る春を思い浮かべるが、実は秋に摘まれるお茶もあり、この季節ならではのおいしさがあるようだ。

ペットボトル入りのお茶もいいが、急須を使ってゆっくりと淹れた日本茶は格別。秋に日本茶をおすすめする理由と、いつもの一杯がよりおいしくなる日本茶の淹れ方の基本を紹介する。

●秋のお茶がうまい理由

春に摘まれる新茶とは違った風味があるという秋のお茶。いったいどんな魅力があるのだろうか。

▷9月〜10月に最後の茶摘みが行われる

一年のうち、最後の茶摘みが行われるのが9月から10月で、そこで摘まれた芽が「四番茶」や「秋冬番茶」となる。

一般的に、春に摘まれた芽は「一番茶」や「新茶」といわれ、初夏に摘むものを「二番茶」、真夏に摘む芽が「三番茶」。そして秋口に摘まれたものが四番茶だ。

春に摘まれる新茶は若々しく、アミノ酸が多いため甘みを感じやすい。一方で、秋に摘まれた新芽は夏の間に太陽をたくさん浴びて育ったため、春に摘まれた新茶よりさっぱりとしており、上品で柔らかい味わいだ。

口にふくめば、厳しい夏を乗り越えた秋摘みならではの茶葉の力強さを感じられるだろう。

▷秋のお茶の特徴

秋に摘まれたため、新茶に比べると葉が多少固めという特徴がある。しかし、葉が硬いからこそ、さっぱりとした味わいながらも良い渋みがしっかりと出るという。また、他の季節に摘まれるお茶に比べると風味がまろやかで、秋の味覚のお供にも最適だ。

秋に摘まれるお茶以外にも、秋に販売される季節限定のお茶がある。それが、「蔵出し茶」と呼ばれるものだ。

蔵出し茶とは、春に摘まれた柔らかい新茶を低温で保存して熟成させたもの。秋に蔵出しをすることからその名がついた。別名「口切り茶」ともいわれ、かの徳川家康が愛飲していたことでも知られている。

ちなみに、茶の湯を愛した豊臣秀吉が茶会「北野大茶湯(きたのおおちゃのゆ)」を開いたのは10月1日。31日と合わせて、「日本茶の日」として認定されている。

●秋に飲みたい日本茶

夏の日差しを受け、たくましく育った秋摘みの日本茶。一番茶や二番茶に比べると生産が限られているため希少といえるが、散歩がてら近くのお茶屋さんに寄って、ぜひ探してみてほしい。

▷煎茶

甘みやうまみ、苦味や渋みのバランスが良く、日本茶のなかでも一番多く飲まれている緑茶。一番茶を使って作られることが多いが、二番茶以降を使った煎茶はスーパーマーケットなどで安価に手に入れることができる。

秋摘みの茶葉で作られた煎茶の場合、秋摘みならではのさっぱりとした爽やかさと豊かなコクを楽しみたい。

▷番茶

地域によって番茶の定義は異なるが、三番茶以降に摘まれた新芽を使って作られるものを「番茶」と呼ぶことが多い。茶色い場合もあれば、緑茶の場合もある。
秋に摘まれた茶葉を使った番茶の場合、茶葉をたっぷりと使い熱めのお湯で淹れるのがおすすめ。カテキンも豊富。

▷ほうじ茶

煎茶や番茶、茎茶を強火で焙じて作ったお茶。高音で焙じているので香ばしく、すっきりと軽い味わいなので脂っこい食事とも相性が良い。カフェインが少ないのが特徴で、秋摘みのほうじ茶なら就寝前のリラックスタイムにも最適だ。

▷玄米茶

煎茶や番茶に、蒸して炒った米を同じ割合で加えて作られるお茶。炒られた米の香ばしさを感じながら、煎茶と番茶のさっぱりとした飲み口を楽しめる。容量のほぼ半分が米なので、ほうじ茶と同じくカフェインが少なめ。抹茶が入っているものもある。

秋摘みの玄米茶を販売しているお茶屋さんもあるので、ぜひ探してみてほしい。

●日本茶のおいしい淹れ方

秋摘みの日本茶の場合でも、基本的には通常の淹れ方と変わらない。煎茶の場合は、少し冷ました80℃程度のお湯を使って淹れてみよう。

ただ、火入れが強めにされている蔵出し茶の場合や、番茶や玄米茶、ほうじ茶は熱めのお湯で淹れるのがおすすめ。例えば、玄米茶の場合も熱めのお湯でサッと淹れることで、玄米の香ばしさをより感じることができる。

火入れが強いお茶の場合、香ばしさを引き出すためには“ぬるめより熱めのお湯が良い”と覚えておこう。茶葉の容器においしい淹れ方が書いてことがあるほか、分からない場合はお茶屋の人に聞いてみても良いだろう。

そして、気温や室温が下がるになるこれからの季節は、使う湯のみや急須の温度に気を配るのもポイント。気分転換に茶器を新調するのも良いかもしれない。

ただ、秋の夜長とはいえ、夕方以降に日本茶を飲みすぎるのはNG。夜のカフェイン摂取はほどほどに、自然の恵みである日本茶を楽しもう。