新年を迎える時期になると耳にすることが増える、「厄年」という言葉。なんとなく「悪いことが起きる年」という意味で使われることが多い厄年だが、本当の意味や由来を知っているだろうか。
本記事では、厄年がどのような意味を持つのかについて解説する。正しい意味を理解すれば、厄年でも前向きに過ごせるようになるだろう。
●厄年とは?

厄年は、一般的には人生で3回訪れる災難や不幸が降りかかりやすいと考えられている年齢のことである。まずは、厄年の正しい意味と由来について紹介する。
厄年の意味と由来
厄年の考え方は、古代中国から伝わった「陰陽道」という方術から影響を受けて生まれたと言われている。平安時代に公家の間で広まり、そこから武家や一般市民に伝わり、現在まで続いている。
厄年は、本来は還暦などの「年祝い」と同様におめでたい年だと認識されていた。神事に関わる機会が増え、神に仕える「役割」がある年齢だと考えられていたためだ。
しかし、厄年に当たる年齢は、就職や結婚などといったライフステージや健康の変化が起きやすい年でもある。そのため思わぬトラブルが生じやすく、慎重な判断が必要になるシーンも増えてくる。現在の厄年の考え方は、「大事な時期を平穏に過ごすために注意を払おう」という先人の教えから生まれたものなのだ。
厄年はいつからいつまで?
厄年にあたる年齢は地域によって異なるが、一般的には男性が数え年で25歳、42歳、61歳、女性が数え年で19歳、33歳、37歳である。前年の年が前厄、あとの年が後厄と呼ばれ、前厄から後厄までの間前後が「役」もしくは「厄」が起きやすいタイミングとされている。
なお男性は42歳、女性は33歳が大厄であり、とくに大きな変化や出来事が生じやすいと考えられている。
●厄年に関するよくある間違い

多くの人に不吉な年だと考えられている厄年。その影響で、厄年に関する偏った認識が広まっている。ここでは、厄年に関するよくある間違いについて2つ紹介する。
悪いことが起きる
厄年に悪いことが起きると考えている人は非常に多い。しかし厄年は、本来「人生に大きな変化が起きる役割の年」であると考えられてきた。人生のターニングポイントに当たる節目の年であると考え、過度に怯えずに過ごすことが肝心だ。
避けたほうがいいことがある
一部では、厄年の人は引っ越しや転職、結婚などの大きな決断を避けたほうがいいと言われている。しかし、この節に根拠はない。反対に、人生のターニングポイントとなる年だと捉え、新しいことにチャレンジする良いきっかけにするといいだろう。
「こんなことをしてはいけない」と気に病むことのほうが、仕事やプライベートの妨げとなる。厄年は悪い年ではなく、自分を見つめ直す節目の年であると考えておこう。
●厄払い、厄落とし、厄除けの違い

厄年を控える人の中には、厄払いや厄除けを検討している人もいることだろう。最後に、厄払いと厄落とし、厄除けの違いについて説明する。
厄払いとは
厄災をもたらす罪や穢れを祓うため、お祓いを受けたり身を清めたりすること。厄年以外にも、マイホーム購入時などの大きな出来事の前や、悪いことが続くときなどに受けることもある。
厄落としとは
大切なものをわざと落とすなど意図的に厄災を生み出し、今後の厄を減らすこと。神社やお寺で祈祷を受けることが一般的。
厄除けとは
厄災が寄ってこないように、祈願や祈祷で神様に守ってもらうこと。予防的な意味で行われており、厄年以外のときに受けることもある。
●厄年を気に病まず前向きに過ごそう
厄年は本来、「厄災が降りかかりやすい年」ではなく「役割・ターニングポイントにあたる年」という考え方であった。厄年に悪いことが起きるという説には根拠がないため、厄災を気にしすぎず自分らしく過ごすことを意識していこう。