106075【3大グルメ企画】第八章、浅草橋「饗 くろ㐂」編|「ラーメンに感動した日」がすべての始まりだった

【3大グルメ企画】第八章、浅草橋「饗 くろ㐂」編|「ラーメンに感動した日」がすべての始まりだった

男の隠れ家編集部
編集部

【3大グルメ】は、日本人が大好きな人気グルメ「ラーメン」「カレーライス」「ハンバーガー」を提供する、こだわりの飲食店を紹介していく連載企画です。

セレクトのポイントは「老舗」と「老舗店主のおすすめ店」。今回は、浅草橋の路地裏で静かに愛され続ける浅草橋【饗 くろ㐂】の“料理”としてのラーメン店をピックアップ!

■「ラーメンに感動した日」がすべての始まりだった

和食に始まり、イタリアン、そして大手外食企業の総料理長へ。キャリアを積み重ねてきた主人が、「ラーメンという文化の奥深さ」に初めて感動したのは、湯島にあるとある名店の一杯だった。

「料理としての完成度に打ちのめされた」と語るその体験が、のちに自身のラーメン店開業の原点となる。

秋葉原での創業を経て、2021年、現在の浅草橋へ移転。屋号はそのままに、より洗練された“もてなしのラーメン”を追求する空間を整えた。

店主のこだわりの美しい器が並べられた店構えが特徴的。
真夏の暑い日に並ぶお客様のためのお水と日傘。優しさが溢れる心遣いだ。

■割烹料理店のような店内で、五感で味わう「もてなし」を

くろ㐂の店舗は、一般的なラーメン屋のイメージとは一線を画す。カウンター席中心のコンパクトな空間はまるで割烹のよう。厨房からは出汁の香りとともに、丁寧な手仕事の気配が伝わってくる。

まるで割烹料理店のような内装の店内。他では見ることのできない製麺機も店内に飾られている。

「“料理を作る”のが好きなんです」そう話す主人が手がける一杯には、素材の温度・管理から盛り付けの所作に至るまで、料理人としてのプライドが詰まっている。決して量産型ではない、一期一会の“もてなし”がここにはある。

■「ラーメン屋」だけでは終わらない、進化の道

オープン当初はわずか1人で朝5時から仕込みを始め、深夜1時まで働き詰めだったという店主。だがその歩みを止めることはなかった。

店の設計・デザインにも深く関わり、「普通のラーメン屋じゃないものにしたかった」と語るように、空間づくりにもこだわりをにじませる。

スタッフへの賄いメニューも抜かりはない。旬の食材を使用した逸品だ。

現店舗の内装は、グローバルダイニングの店舗デザインを手がけたデザイナーに依頼し、上質でありながら温もりのある空間に。

さらに、宮城・青森・山形といった東北地方や北海道、南は九州まで、その土地土地の生産者と連携した地域の食材を使った季節限定メニューや、通販商品開発にも積極的だ。

■“一杯”に宿る哲学──塩・醤油・焼売、それぞれの奥深さ

「特製塩そば」は、饗 くろ㐂の料理哲学を象徴する一杯だ。丁寧に手もみされた平打ち麺は、弾力と滑らかさを併せ持ち、淡麗な塩スープと絶妙に調和する。

スープは魚介と動物系の旨みを掛け合わせ、雑味を感じさせない澄んだ味わいに仕上がっている。レンゲを口に運ぶたび、塩の輪郭が繊細に広がり、最後の一滴まで飲み干したくなるような余韻を残す。

特製塩そば(手もみ麺)1,950円。喉越しの良いツルっとした麺と上品な味わいのスープは癖になるひと品。

一方の「醤油そば」は、細麺との取り合わせでまた異なる表情を見せる。スッキリとした醤油ダレに、鶏の旨みと香味油の香りが重なり、まるで割烹の椀物のような品のある印象。

細めの麺がスープをしっかりと拾い上げ、啜るたびに輪郭のある醤油の風味が口いっぱいに広がる。シンプルでありながら複雑、毎日でも飽きがこないと語る常連客も多い。

醤油そば(細麺)1,500円。澄んだ醤油スープに細麺がしなやかに泳ぐ一杯。しっとり火入れされたチャーシューとつくねを添えて。くろ㐂らしい“料理としてのラーメン”だ。

さらに、ラーメンとともに主役級の存在感を放つのが名物の「焼売」だ。ひと口噛めば、じゅわっと溢れる肉汁とともに、香辛料と旨みのバランスが広がる。

粗挽きの肉がほどよく空気を含み、噛みしめるたびにほぐれるような食感も楽しい。ぜひラーメンの前にいただきたい逸品だ。

と、味のコントラストがより際立ち、満足感は一層深まる。

名物焼売 2個 400円。粗挽き肉の旨みがじゅわっと広がる、くろ㐂名物の焼売。蒸したてを生姜とともに頬張れば、ラーメンに勝るとも劣らぬ主役級の一品であることを実感できる。

お店でいただく一皿一皿に店主が積み重ねてきた料理人としての技術と、「ラーメンは料理である」という信念が確かな形で表れている。

■常連に支えられる店と、貫かれる“ラーメンは料理”の哲学

「2歳のお子さんが“おいしい”って言ってくれたのが嬉しかった」。そんな素朴なひと言を、店主は今も忘れないという。高校・大学へ進学した後も報告に訪れる常連、遠方から通い続ける家族。

「そう言えば、いっとき常連のお客様に300個くらい自分が旅に行った時のお土産をお渡ししたこともあったなあ…」そんなこともさりげなく、話す店主。お客様とお店を大事にしているのがわかるひとことだ。

オープンからお昼どきを過ぎた2時半頃でも満席の状態が続く。真夏でも、店の外で並んででもいただきたいと足繁くファンが集う、まさに人気ラーメン店。

くろ㐂が愛される理由は、その一杯に“心をほどく”もてなしが込められているからだ。

「良い素材は高い。でもそれをしっかり活かしたら、心に届く美味しいラーメンになる」。ラーメンに対する店主の信念は一貫している。もはやそれは「安くて早い食事」ではなく、「料理としての一皿」。

食材への敬意と、ひとつひとつの工程に宿る技術、そしてお客への想いが、その味を形づくっている。

Shop Data
饗 くろ㐂(もてなしくろき)

東京都台東区浅草橋2丁目4-5
営業時間/[昼の部] 11:00〜15:00
※売り切れ次第終了
定休日/日・祝日(その他不定休あり)
アクセス/JR総武線・都営浅草線「浅草橋駅」徒歩約5分

▼あわせて読みたい

編集部
編集部

いくつになっても、男は心に 隠れ家を持っている。

我々は、あらゆるテーマから、徹底的に「隠れ家」というストーリーを求めていきます。

Back number

バックナンバー
More
もっと見る