年末が近づくほど、なぜか呼吸が浅くなる。やることは増え、気持ちは急き立てられ、休むことにすら理由を求めてしまう。そんな「がんばり過ぎの現代人」に向けて、東京・虎ノ門の書店「magmabooks(マグマブックス)」で体験型企画展『ちょっと、ひといき展』が始まった。
本展は、丸善ジュンク堂書店とJTのコーポレートR&D組織「D-LAB」が協力して企画したものだ。テーマは、意志をもって休憩すること。鑑賞して笑い、共感し、体験して緩む。“休む”を文化とテクノロジーの両面から照らし直す仕掛けが、書店の2階と3階に散りばめられている。
江戸風あるあるで肩の力が抜ける「山田全自動の特別展示」

2階の展示スペースでは、人気クリエイター・山田全自動による作品展『ちょっと、ひといき展 ~山田全自動のみんな頑張ってるでござる~』を展開する。現代人の「あるある」を、江戸の町人風イラストで描くギャップが痛快で、笑いながら自分の疲れに気づかされる構成だ。

「さて始めるぞ、と思った瞬間にWi-Fiがつながらず心が折れる」
「返信の無限ループで消耗する」
そんな日常の“負け”を、軽やかな風刺として受け止め直せるのが本展の効能である。しかも、ここで初出しの描き下ろし作品も含まれるという。鑑賞行為そのものが「休憩」になっているのが面白い。
誰かの「おつかれさま」に頷く|書棚に紛れた小さな共感装置

3階の書店フロアには、一般募集した「おつかれさま」をテーマにしたエピソードが掲示されている。書棚のあちこちに散らばっているため、本を探す途中でふと出会う。“知らない誰かの疲れ”が、こちらの疲れを肯定してくれる瞬間がある。
休むことが下手な人ほど、「自分だけがダメなのでは」と抱え込みがちだ。だが、他人の疲労を読むと、疲れるのは当たり前だと腑に落ちる。休憩とは、行為だけでなく認識の切り替えでもある。本展は、その入口を用意してくれているのだ。
休憩を“体験”に変える。呼吸するクッション「fufuly」と休息アイマスク

本展がユニークなのは、鑑賞だけで終わらず、休憩を身体で体験できる点にある。3階の有料ラウンジ「magmalounge」では、呼吸するクッション「fufuly(フフリー)」や、スピード休息アイマスク「Relaxonic Cover(リラソニックカバー)」の貸し出しが行われる。
“呼吸の引き込み現象”に着目した休息ギア「fufuly」

「fufuly」は、生き物のように膨らんだり縮んだりするクッションで、抱きかかえると呼吸のリズムが整うことを狙ったプロダクトだ。
D-LABによると、触れ合う仲間の呼吸につられる性質=「呼吸の引き込み現象」に着目したと説明されている。重さは約2kg程度で、柔らかな手触りと“抱える安心感”も特徴として挙げられている。
「休憩」「仕事」「寝る前」など、シーンに合わせて伸縮スピードを切り替えられるという点も、道具としての完成度を上げている。
短時間で深い休息へと誘う「Relaxonic Cover」

「Relaxonic Cover」は、耳ではなく皮膚で感じる超高周波音(ハイパーソニック)と温熱機能を組み合わせ、5〜20分の装着で最大限のリフレッシュを目指すアイマスクだという。自然音などからサウンドを選べる点も特徴的だ。
忙しい日々ほど、「休むための準備」に時間を割けない。だからこそ、短時間で“休憩のスイッチ”を入れる道具が効いてくる。
気軽に立ち寄れる“避難所”としての書店

『ちょっと、ひといき展』の良さは、虎ノ門のオフィス街ど真ん中で、しかも書店という日常の延長にある点だ。アートで笑って緩み、誰かの「おつかれ」に頷き、呼吸の道具で体をほどく。派手な非日常ではなく、生活に戻れる休憩がここにある。
帰りに本を一冊買うのもいい。休憩とは、何かを足す行為ではなく、余白を取り戻す行為だ。師走の東京で、呼吸を取り戻したい人ほど、この展示は効いてくるはずだ。
【展示概要】
企画展名:ちょっと、ひといき展
会場:「magmabooks」2F・3F(虎ノ門ヒルズ・グラスロック内)
住所:東京都港区虎ノ門1-22-1
会期:2025年12月5日〜2026年1月12日(予定)
入場料:無料(ラウンジ体験は有料)
特設ページ:ちょっと、ひといき展
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