35499新しい時代の働き方と癒され方|南紀白浜×ワーケーションStyle

新しい時代の働き方と癒され方|南紀白浜×ワーケーションStyle

男の隠れ家編集部
企画部PR
冬の気配が色濃くなってきた12月初旬、和歌山県の南に位置する南紀白浜空港に降り立った。目的は一年を通じて温暖な気候と温泉、滋味あふれる食、バラエティ豊かな観光名所を有する白浜町を拠点に、今話題のワーケーションを体験することだ。
目次

アンケートに答えてJAL往復航空券付き和歌山県白浜宿泊券をGETするチャンス!

和歌山県では、「羽田-白浜」往復航空券付き和歌山県白浜宿泊券などが当たるアンケートを実施中。回答者の中から抽選で5名様に豪華賞品をプレゼント!
応募締め切りは2021年2月26日(金)まで。当選者には登録アドレス宛にご連絡します。

▶︎ワーケーションに関するアンケート

全国に先駆けて取り組む“ワーケーションの聖地”へ

2020年、世界を混乱の渦に陥れた新型コロナウイルスの登場が、これまでの生活を見直すきっかけになったことは周知の通り。テレワークが成立する企業や職に就いているならば、その先にあるワーケーションや二地域居住、もしくは移住といった国や地方自治体が推奨する働き方、暮らし方、生き方が視野に入ってくる。

和歌山県は全国の自治体に先駆け2017年から積極的にワーケーションを推進し、企業誘致や環境整備に取り組んできた。県南部に位置する白浜町や田辺市も同様で、気軽に安価でドロップインできるワークスポットが多い。また、関東からのアクセスの良さも特筆すべき点だろう。羽田空港から南紀白浜空港へは1日3往復、日本航空が空路を結んでいる。搭乗時間は約1時間15分と短く、空港から白浜町の市街地までは車で10分以内という移動の手軽さは、時間を有効に使いたいビジネスマンにとって大きなポイントとなるだろう。

大切なのはリフレッシュ、その先で“良い仕事”ができる

ご存知の人も多いだろうが「ワーケーション」という言葉の意味について簡単に説明しておこう。これは「ワーク(仕事)」と「バケーション(休暇)」を合わせた造語で、ITインフラが整備された2000年代にアメリカで始まった働き方といわれている。旅先で休暇を楽しみながら仕事をするというスタイルは徐々に浸透し、日本でも取り入れる自治体や企業が増えてきた。かつては企業の保養的な位置づけだったものの、現在では企業単位だけでなく、フリーランスも含めた個人単位で利用可能な施設も多くなった。

特に和歌山県や白浜町周辺は、自治体の取り組みが早かったこともありワーケーションに対して先進的で、町民含め町全体が利用者に対し理解がある。そんな満員電車や狭い空とは無縁のこの地で、旨い料理や地酒、ダイナミックな自然、心身を癒す温泉で、束の間の休暇を存分に愉しみたい。

旅の拠点に選んだのは「ゲストリビング Mu南紀白浜」。長期滞在を念頭に置くとリーズナブルに宿泊し、時間に縛られない自由さは滞在先選びの必須条件となる。また、急な仕事の連絡にも対応できるコワーキングスペースの有無はワーケーションでは重要なこと。それらの条件をクリアしている宿である。空港からホテルへ直行し、チェックインを済ませたら荷ほどきも早々に「ジャイアントストア南紀白浜」へ向かう。滞在時の移動の足として事前に予約していたレンタサイクルで、散策がてら町内探検といこう。

比較的コンパクトな街の移動はレンタサイクルが快適。
冬でも温暖な地域のため白良浜でバケーション気分を味わう。

まず向かったのはハワイ・ワイキキビーチと友好姉妹浜である白良浜(しららはま)。白浜町を代表する観光スポットのひとつだ。冬でも真っ白に輝くさらさらの白砂と、ターコイズブルーの海が眼前に広がる。東京のそれとは全く違う姿に非日常を実感しながら、暖かい日差しに誘われるままビーチに寝転んだ。潮騒に包まれながら、しばしのシエスタを堪能するも小腹が空いたことに気づく。

思えば朝から何も食べていない。白良浜の目と鼻の先にある「フィッシャーマンズ・ワーフ白浜」は、獲れたての近海の魚介を生簀で管理し、注文が入ればその場で調理する鮮度抜群の海鮮丼が人気のグルメスポット。せっかくだからと奮発して海鮮丼の特特上(3630円)をオーダー。殻付きのアワビやタイ、マグロ、ハマチなどが豪快に盛り付けられた丼と、そこに乗せきれなかった伊勢海老や中トロが別皿で供されるダイナミックさに感嘆する。ボリュームに圧倒されながら威勢よくかき込めば、腹の底からじわじわと幸福感が湧いてくるのだった。

伊勢海老が丸々1尾、アワビも殻ごと、ネタの厚さもすごい!

ジャイアントストア南紀白浜

白浜を楽しむためのマストアイテム

ホテルシーモア内にあり、ロードバイクやEバイクのレンタルが可能。町内散策をはじめ、円月島や三段壁など白浜周辺の景勝地へ訪れるにはレンタサイクルがおすすめ。南紀白浜店では14台のロードバイクと5台のEバイクがレンタル用に確保されている。確実に借りるなら事前の予約は必須だ。

出発前にレクチャーを受ける。
広くて明るい店舗。

景勝地・円月島まで夕日を求めてサイクリング。

和歌山県西牟婁郡白浜町1821 ホテルシーモア1F
☎︎0739-34-3196
営業時間/9:00~19:00
定休日/火
料金/(5時間)クロスバイク2700円〜、Eバイク6300円〜、
giant-store.jp/nankishirahama/

フィッシャーマンズ・ワーフ白浜

近海で水揚げされた新鮮な魚介

近海で獲れた魚介の直売や、和食・イタリアン・バーベキューなど鮮度抜群の料理が愉しめるほか、ダイビングショップもありアクティビティも体験できる。海を間近に感じながら開放的な外のテラス席で食べれば、贅沢な気分も味わえる。

海鮮丼の特特上(3630円)は規格外の盛りの良さ。

和歌山県西牟婁郡白浜町1667-22
☎︎0739-43-1700
営業時間/市場10:00〜18:00(土日祝)10:00〜19:00、レストラン11:00〜15:00・17:00〜22:00
定休日/不定休
fw-sh.com

胃が満たされた後は、湯めぐりで疲れを癒したい。白浜町は日本三古湯のひとつ「白浜温泉」で知られる地。日本書紀や風土記にも記された名湯もまた、この旅に欠かせない要素だ。町内に点在する6つの“共同浴場めぐり”を楽しみにしていたが、残念なことに新型コロナの影響で、その半数は休業もしくは町民・県民のみの利用に限られている。

県外者でも入湯可能な「崎の湯」は、海に面した露天の岩風呂で1350年の歴史を誇る。斉明天皇や中大兄皇子、徳川吉宗も湯浴みを愉しんだという由緒正しき古湯へ向かった。眼前に迫る太平洋の波しぶきと共に湯に浸かれば、海の中にいるような錯覚に襲われる。しかし同時に、体を芯から温める熱い湯と硫黄の香りに、蓄積された疲労がじわじわと溶けていくのも実感する。ゆったりと湯を堪能しながら、とことん自分を甘やかし、リフレッシュすることから“南紀白浜ワーケーション体験”は始まったのだった。

夕方なら海に沈む太陽を眺めることも。

崎の湯

太平洋と一体化する名湯

飛鳥時代から続く古湯で、斉明天皇や持統天皇など数々の歴代天皇も来湯したという。湯崎七湯で唯一現存する湯壺で、悠久の歴史を感じながら湯浴みができる。浴場は男女別。見渡す限りの太平洋は迫力満点だ。

和歌山県西牟婁郡白浜町湯崎1668
☎︎0739-42-3016
営業時間/【4月1日~6月30日・9月1日~9月30日】8:00~18:00
     【7月1日~8月31日】7:00~19:00
     【10月1日~3月31日】8:00~17:00
     (最終入場は終業時間の30分前まで)
定休日/無(メンテナンスによる臨時休業あり※要問合せ)
料金/500円 (3歳以上)
www.nanki-shirahama.com/search/details.php?log=1332738546

バケーションの思い出づくりも忘れない

湯に浸かり、すっかりほぐれた心と体を動かして自転車を漕ぐ。向かった先は「Atelier CHOUETTE D’OR(アトリエ シュエットドール)」というハンドメイド革製品の工房だ。ここでは事前予約でレザーアイテムのクラフト体験ができる。今回は初心者向けのキーホルダー作りに挑戦することにした。

たくさんの種類がある中から好みの革と糸を選び、普段は滅多に使わない針を駆使して、教わりながら縫っていく。和歌山県にはこうしたワーケーション滞在者が気軽に挑戦できるクラフト体験や農業体験が豊富にあり、長期滞在でも飽きずにバケーションが楽しめるのだ。

スタッフの今井さんにレクチャーを受けながら、辿々しくも縫製に挑戦。

Atelier CHOUETTE D’OR

ハンドメイドで思い出づくり

日本三大皮革産地の和歌山県で「白浜ブランド」にこだわりセミオーダーの革製品を手がける工房。確かな経験に裏打ちされた技術で、「良いものを永く」をモットーに展開している。革やステッチなど自分で選ぶセミオーダー商品が基本なので自分だけの一生モノに出会える。クラフト体験はキーホルダー(2000円)、小銭入れ(3500円)、キーケース(4000円)と料金が手頃。

テンポをつかめば更に楽しくなる。
苦労の末の完成品。

「地元の人間としても、ワーケーションで白浜を選んでもらうのは嬉しいです。町も活性化しますし新しい出会いも生まれます」と語るのは代表の真鍋吉広さん。美味しい店やおすすめのスポットを聞きながら、作業を進めれば30分ほどでキーホルダーが完成した。

代表の真鍋吉広さん。

和歌山県西牟婁郡白浜町1057-15
☎︎0739-20-7507
営業時間/10:00〜19:00、クラフト体験10:30~17:00(要予約)
定休日/水
体験料金/キーホルダー2000円、小銭入れ3500円、キーケース4000円
chouettedor.jp

滞在初日から心身ともにリフレッシュに勤しんだが、これで終わりではない。今夜はホテルから徒歩10分の距離にある「ミルク&ビアホール九十九」で、クラフトビールを堪能するのだ。

地元のジビエ料理や海の幸をふんだんに使ったイタリアンをいただきながら、南紀白浜のクラフトビールとして知られるナギサビールを流し込む。ミルク&ビアホール九十九は、ナギサビールの生樽が飲めるほか、和歌山県産のコウヤマキや温州みかんの皮などで作られた和製クラフトジン「槙KOZUE」など、珍しい酒が飲める。カウンターに立つオーナーの古久保寿樹さんが、地域の特徴やおすすめのスポットなど気さくに教えてくれるので、明日以降の滞在で何をするか計画を立てながら更けていく夜を楽しんだ。

右/猪と鹿の特製パテ(1000円)、中/樽生ナギサビール480ml(780円)、左/炙りシカ肉カルパッチョ(1280円)

オーナーの古久保さん。同店では白浜町のナギサビール、田辺市のボイジャーブルーイングの生ビールが飲める。

ミルク&ビアホール 九十九

地ビールと地産食材を味わう

ミルク&ビアホール九十九はオーナーの古久保さんが20代で海外を旅した経験を生かし、様々な国や地域で受けたインスピレーションを落とし込むべく、一から手作りした店。石窯で焼かれるピザやジビエ料理の数々はどれもシンプルに旨い。クラフトビールをはじめ洋酒やワインなど酒の種類も豊富にあり愉しめる。毎年2月は店をすべて休みにして従業員を全員連れて海外旅行へ行き、美味しいものや文化を共有しているという。

イタリアの酒場のような店内。店の奥にはピザ窯がある。
シラスがたっぷり乗ったマリナーラ(1680円)。

和歌山県西牟婁郡白浜町3309-22 銀座ビル1F
☎︎0739-43-0702
営業時間/18:00~0:00(L.O 23:30)
定休日/火、大雨の日、2月(2021年は未定)
チャージ&サービス料/無
www.shirahama99.com/tsukumo

滞在2日目以降は仕事もバランスよく行う

和歌山県が発信するワーケーション促進情報サイト「Wakayama Workation Networks」では、ワークプレイスや宿泊サービス、アクティビティなど、和歌山県でワーケーションを実践するために役立つ情報が便利にまとめられている。

例えばWi-Fiや通信環境が整備されたワークスポットは、今回拠点を置いた白浜町や隣の田辺市には16カ所あり、各施設の料金や利用可能な営業時間などがわかりやすく紹介されている。白浜町にある「ゲストリビング Mu南紀白浜」や「ホテルシーモア」、「クオリティソフト株式会社」などの施設は、宿泊も可能なワークスポットになっていて、さらにどの施設もワークスペースは宿泊者以外の利用も可能だという。こういった情報を駆使することで、毎日、同じ場所に留まらずに気分を変えて効率よく仕事ができるのだ。

ゲストリビング Mu南紀白浜

町内や近隣での移動が伴えば、作業の合間にカフェで読書をしたり、サイクリングで気分転換をするなど、リラックスした雰囲気で過ごすことができるだろう。仕事とバケーションの比率は人それぞれに違いがあるが、総合的に見てこのエリアでのワーケーションは過不足なく、居心地が良い。

豆の湯でコーヒー片手に読書。

豆の湯

仕事の合間にカフェで一息

しらはま銀座の路地裏にひっそりと佇むカフェ。ミルク&ビアホール九十九のオーナー古久保さんの店で、カウンターに立つこともしばしば。手作りのベイクドチーズケーキやスイーツは絶品。2階には大きな本棚があり、蔵書は店内で自由に読むことができる。

欧州の街角のような外観。海外から持ち帰ってきた建具やガラスなどを使って、壊すところから自分たちで一年がかりで造ったという。

パンダのラテアートが可愛いカフェラテ(700円)と林檎のレアチーズケーキ(600円)。

すぐ隣には古久保さんの古くからの友人・佐向さんが営むセレクトショップ「Virtual Market」があり、旅先で人から人へ繋がる出会いを楽しんだ。

古久保さん(右)と佐向さん(左)。息の合った会話にはついつい笑ってしまう。

和歌山県西牟婁郡白浜町1384-15 新地長屋5号
☎︎0739-33-7070
営業時間/11:00~18:00(入店は17:30まで)
定休日/不定休
www.shirahama99.com/mamenoyu

ナギサビール

工場見学と地ビールを楽しむ

和歌山ならではの「みかんエール」や「ペールエール」、「IPA」など様々な地ビールが味わえる。飲み比べセットなどもあり、じっくり好みのビールを探す楽しさも。定休日を除き、無料で工場見学も行なっている。

左から「みかんエール」「IPA」「ペールエール」「アメリカンウィート」。
すぐ隣の工場でできたばかりの生ビール。
工場見学も可能。

和歌山県西牟婁郡白浜町2927-220
☎︎050-3820-8958
営業時間/9:00~18:00(工場見学は9:00〜17:30)
定休日/水
www.nagisa.co.jp

Kagerou Café

ご当地限定の定番スイーツ

白浜土産で定番の品といえば福菱の銘菓「かげろう」だが、本店では限定で生クリーム仕立ての「生かげろう」を購入することができる。季節のフルーツなどを使用し、バリエーションに富んだ生かげろうは、ここでしか味わえない。併設するカフェには海に面したテラス席があり、スイーツのほか軽食類も味わえる。

右から生かげろう(100円)、季節の生かげろう(120円〜)。どちらも無くなり次第終了。

和歌山県西牟婁郡白浜町1279-3
☎︎0739-42-3129
営業時間/8:00~24:00(L.O 23:30)、販売店舗は8:00~18:00
定休日/無(臨時休業あり)
fukubishi.co.jp/kagerou_cafe/

SHIRAHAMA WorkStyle&Spot(白浜エリア)

ゲストリビング Mu南紀白浜

手軽に長期滞在を楽しむなら

ゲストハウス的に宿泊滞在できる施設だが、宿泊者以外も利用できるコワーキングスペースが館内に6カ所ある。和室や眺めの良いフリーワークデスク、ミーティングルームのほか温泉入浴もドロップインの料金に含まれているためコストパフォーマンスに優れている。

滞在向けの「コンドミニアムルーム」。海と白良浜を一望する。
1階ロビースペース。フリーWi-Fi、フリードリンク(茶・コーヒー)が嬉しい。

和歌山県西牟婁郡白浜町字浜通り3076-1
☎︎0739-34-2466
営業時間/コワーキングスペース10:00〜18:00
利用料金/1名1100円
宿泊料金/ドミトリー1泊4400円〜、コンドミニアム(5名まで)1泊1部屋2万680円〜
mu-hostel.com

ホテルシーモア ビジネスルーム

充実の設備と開放的な空間

ホテルシーモアでは足湯やビジネスルームなど様々な施設が宿泊者以外にも無料で開放されている。天井が高く隣席との距離が適度に離れたビジネスルームには、Wi-Fiはもちろんのことパソコンやプリンターも完備している。

1階ビジネスルーム。誰でも無料で利用できる。

和歌山県西牟婁郡白浜町1821 1F
☎︎0739-43-1000
営業時間/ビジネスルーム7:00~23:00
利用料金/無料
宿泊料金/季節・部屋によって異なる。4連泊以上の宿泊プランあり
www.keyterrace.co.jp

クオリティソフト株式会社

異業種交流も魅力のひとつ

ドローンビジネスやセキュリティソフトを開発するオフィスには、コワーキングルームやセミナールーム、宿泊施設のほか一般開放されている社員食堂があり、イベントなども開催。異業種との交流から生まれるイノベーションが魅力のひとつとなっている。

コワーキングルームのひとつ。このほかセミナールームなどもある。

和歌山県西牟婁郡白浜町中1701-3
☎︎0739-45-1001
営業時間/コワーキングルーム9:00〜17:00
利用料金/1名2時間まで550円、終日1100円
宿泊料金/素泊まり1泊4620円
www.qualitysoft.com

長期滞在の休日には足を伸ばして熊野を散策

白浜町での滞在中、まったく仕事の予定がない休日に熊野本宮大社へお参りに行くことにした。世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」に登録されている熊野三山の一社で、その創建は崇神天皇の御代まで遡る。そんな由緒正しき日本の聖地へ熊野古道を歩いて詣でることにしたのだ。とはいえ熊野本宮大社への玄関口とされる田辺市から、40㎞以上に及ぶ全てのルートを歩くことは体力的にも時間的にも無謀。レンタカーで熊野本宮大社前にある「和歌山県世界遺産センター」まで行き路線バスに乗り換え、熊野古道のメイン・中辺路ルートにある発心門王子バス停で下車、そこから歩き始めることにした。

古道の大部分は歩きやすいが、時折ごろごろとした石畳の道や木の根が険しい箇所もある。

距離にして約7㎞、2時間ほどの道のりである。古の昔より数多の人々が参詣のため歩いた道は、木々が生い茂り静謐さを湛えている。人気のない静かな森の中を無心になって歩けば、頭の中がクリアになっていくことに気づく。

参詣道を歩ききって辿り着いた熊野本宮大社の神殿には上四社が並んで祀られており、参拝順が決まっている。案内にならって①家津美御子大神(素戔嗚尊)、②速玉大神、③夫須美大神、④天照大神の順に参拝した後、明治22年(1889)の十津川大水害が発生するまで熊野本宮大社が鎮座していた旧社地の大斎原(おおゆのはら)へも赴き、その長い歴史に思いを馳せた。

大斎原(おおゆのはら)の大鳥居は高さ約34m、幅約42m。周囲を川や田に囲まれ長閑な場所。

熊野本宮大社

静謐な神域で心身を癒す

熊野速玉大社、熊野那智大社・那智山青岸渡寺と合わせて熊野三山と称される。古来より修験道の地として信仰を集め、日本が世界に誇る聖地として知られている。

熊野本宮大社神殿
熊野牛王神符(くまのごおうしんぷ)。旅の土産に購入した。

和歌山県田辺市本宮町本宮
☎︎0735-42-0009
www.hongutaisha.jp

熊野本宮大社の周辺には様々なグルメスポットや立ち寄り湯がある。大斎原から徒歩2分の「くまのこ食堂」は自家農園で採れた無農薬野菜と、鮮度の高いジビエが自慢の店。「本宮産 鹿肉を使ったロースト丼」は噛み締めるほどに旨味が溢れ、滋味深い。すっかり英気を養い、向かった先は「湯の峰温泉つぼ湯」だ。熊野詣の湯垢離場として世界遺産に登録された温泉で、日本最古の湯といわれている。すぐ隣を流れる湯の峰川の川沿いには源泉が湧き出る湯筒があり、卵や野菜を茹でることができる。もくもくと立ち昇る湯気の中、ゆったりと湯に浸かり疲れを洗い流したのだった。

湯筒で出会った仲良しトリオ。真ん中のお父さんは「大家族だからたくさん茹でにゃ」とひとりで150個もの卵を茹でていた。

くまのこ食堂

熊野のジビエを堪能

観光客に人気の古民家カフェで、鹿のジビエを使用した料理のほか、地産にこだわったメニューが並ぶ。日本テレビ系列「幸せボンビーガール」で紹介された近隣のシュークリーム店「choux」とのコラボランチ(要予約)も話題となっている。

「本宮産 鹿肉を使ったロースト丼(サラダ・スープ付き)」1540円。

和歌山県田辺市本宮町本宮452-1
☎︎0735-30-0878
営業時間/11:00~21:00(L.O 20:00)
定休日/火
kumanocoshokudo.com

湯の峰温泉つぼ湯

世界遺産の中にある温泉

つぼ湯は世界遺産に登録されている日本で唯一の温泉。入浴は30分交替制で大人400円、12歳未満は200円。日によって1日で7回も湯の色が変化するといわれている。

すぐ左を湯の峰川が流れている。1日7回湯の色が変わるというが、この時は乳白色だった。

田辺市本宮町湯峯110
☎︎0735-42-0074
営業時間/6:00~21:30(30分交替制)
定休日/無
料金/大人400円、12歳未満200円

炭火焼鳥と熊野おでん おかげさん

湯の峰温泉水で仕込む絶品グルメ

熊野本宮大社にほど近い山間にひっそりと佇む、焼鳥とおでんの店。丁寧に仕込まれた焼鳥は「きも(レバー)」や「こころ(ハツ)」などの内臓系も臭みが一切なく美味。地元の温泉水で炊く「熊野おでん」は、出汁が染み込み芳醇な味わいが特徴的。また常連に人気の「もつ鍋」は四角いちりとり鍋で供され、キャベツの甘みとモツの旨味を引き立てる辛味噌が酒を誘う一品。

上/「熊野おでん」(1個120円)、左/柚子味噌大根(150円)、右/古久保さんの豆腐(150円)。どれもリーズナブルで旨い。
焼鳥は1皿2本で280円。「きも」と「ねぎま」は山椒、「かわ」は和がらし、「こころ」はそのまま、「砂肝」はワサビを少し乗せて。
たっぷりのキャベツが乗った「もつ鍋」は要予約。辛味噌味のちりとり鍋は1人前1200円。鍋の〆に麺やおじやもある。

和歌山県田辺市本宮町渡瀬175-1
☎︎0735-30-0681
営業時間/17:00~22:00
定休日/月
okagesankiitanabe.wixsite.com/kominkayado-okagesan/blank

この旅をおさらいすると、約1週間のワーケーション滞在で利用したワークスポットは6カ所に及ぶ。どの施設もそれぞれに付加価値や特徴があり、仕事をする上で申し分なくITインフラも整っていた。また、休日や合間の息抜きも魅力的なスポットが多く、充実した時間を過ごすことができた。

“ワーケーションの聖地”とも紹介される南紀白浜エリアは、その名に違わず仕事も休暇も両立できる魅力に溢れた土地。次もまた、いや何度でも訪れたくなる、そんな中毒性すら孕んでいるのだった。

TANABE Work Spot(田辺エリア)

秋津野ガルテン

懐かしい里山体験もできる

田辺市上秋津にあるグリーンツーリズム施設で廃校となった小学校を利用し、木造校舎2階にコワーキングスペースがある。地元のお母さんが作る料理が人気の農家レストランや宿泊施設も完備。地元の農家と触れ合える農業体験なども行なっている。

校舎2階のコワーキングスペース。教室をそのまま使っているので広い。
近隣の農園で「みかんの収穫体験」を。美味しいみかんの見分け方もしっかり教わった。
農家レストラン「みかん畑」で昼食。980円でスローフードのバイキングが食べられる。

和歌山県田辺市上秋津4558-8
☎︎0739-35-1199
営業時間/ワークプレイス9:00〜17:00
利用料金/1名半日2000円
宿泊料金/季節・プランによって異なる
agarten.jp

tanabe en+

紀伊田辺駅前の頼れるスポット

JR紀伊田辺駅前にあり1階はカフェとアンテナショップ、2階がコワーキングスペースになっている。大型モニターやコンセント、WEBカメラなどのレンタルも可能。1時間400円~と料金も安く、アクセスの良さも合わせて短時間の利用にうってつけだ。

2階のワークスペース。天井が高く木材の香りが心地よい空間。
1階カフェでは軽食の「おむすびセット」(600円)や体が温まる「スパイスドリンク」(400円)などを取り揃えている。
駅前に佇むモダンな構え。1階のアンテナショップは季節によってセレクトが変わり、お土産選びにもちょうどいい。

和歌山県田辺市湊41-1
☎︎0739-33-9761
営業時間/コワーキングスペース10:00〜19:00
利用料金/1時間400円〜
tanabe-enplus.jp

和歌山県立情報交流センターBig・U

市民も集う充実した空間

県立の複合文化施設で、研修室や多目的ホール、図書館、売店やカフェなどが利用できる。ノートPCの無料貸し出しやフリーWi-Fi、コピー、FAXなどの設備も整っているので、有効活用したい施設だ。

備え付けのパソコンが利用できるITモール。

和歌山県田辺市新庄町3353-9
☎︎0739-26-4111
営業時間/9:00〜21:00
利用料金/フリースペース無料
休館日/月
www.big-u.jp

「Wakayama Workation Networks」とは?

和歌山県が推進するワーケーションの取り組みを紹介するサイト。ワークスポットや宿泊施設、アクティビティなどの情報を網羅する。
県内その他の施設はこちら▶︎Wakayama Workation Networks

文/田村 巴 写真/遠藤 純 取材協力/和歌山県、和歌山県観光連盟

Back number

バックナンバー
More
もっと見る