56601【北海道】美酒の大地|豊穣なる自然と開拓者精神に乾杯

【北海道】美酒の大地|豊穣なる自然と開拓者精神に乾杯

男の隠れ家編集部
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美酒を求めて北海道を巡る旅に出た。ジン、ワイン、清酒、そしてビール……。じつに多様な酒文化が育まれている北の大地に乾杯!
目次

CHAPTER.1 GIN(ジン)
追い求めたのは北海道の息吹を凝縮したスピリッツ

北海道の食材を使った個性的なクラフトジン

北海道の食材(上の写真はその一部)を巧みに取り入れた紅櫻蒸溜所のクラフトジン「9148」。♯0101(左:4950円)はそのスタンダードレシピ。♯0303(右:7480円)、♯0101に対して3倍以上のボタニカルでインパクトを強めている。

どこか懐かしさを覚える、口の中に広がる、この香りはなんだろうか。

昨今、ジン愛好家の間でクラフトジンが話題に上ることが多い。クラフトジンとは、小規模な蒸溜所でこだわりをもって作られるジンことである。原料や製法などに独自のアレンジが加えられているため、作り手の個性が強く出る。

紅櫻蒸溜所は、平成30年に誕生した北海道初のクラフトジンの蒸溜所だ。彼らが目指しているのは、北海道の魅力をクラフトジンに込めて世界へと発信すること。独創的な発想でその可能性を追求している。

その思いを端的に表現しているのが「9148 ♯0101」だ。紅櫻蒸溜所では、クラフトジンを9148と呼称する。♯4桁はそれぞれレシピごとに与えられる番号だ。

札幌市中心部から車で30分ほどの緑豊かな紅櫻公園内に紅櫻蒸溜所はある。自由な発想とともに「北海道らしさ」を感じさせるクラフトジンを目指している。訪れた日は蒸溜器の手入れが行われていた。

ジンの原料となるボタニカル(ハーブ)に、北海道ならではの食材を積極的に取り入れている。♯0101には日高昆布、干し椎茸、切干大根などが用いられ、特有のうま味成分を抽出している。ジンを特徴付けるジュニパーベリーの爽やかな香りに北海道らしさをバランス良く織り込み、まろやかさを感じさせる口当たりの優しいクラフトジンに仕上がっている。

ジントニック、マティーニなどのカクテルでも楽しめるが、じつは和食とも相性が良さそうだ。北海道に来たならジンギスカン料理とも合うこと間違いなし。日本人の味覚を意識した、親しみやすい味わいなのだ。紅櫻蒸溜所では日々新しいクラフトジンが生み出されている。そのどれもが、北海道の豊かな自然と食文化を感じさせてくれる。

紅櫻蒸溜所

積丹半島の自然を歩きボタニカルを探求

北海道の北西部、日本海に突き出た積丹半島は、厳しくも多彩な自然に恵まれたボタニカルの宝庫だ。

積丹の自然の息吹を感じさせるスピリッツ「火の帆」の蒸溜が始まったのは令和2年のこと。

新しいフレーバーを求めて積丹地方を中心にボタニカル収集が続けられている。草木の葉、花、果実など、それぞれが個性的な香りを放つ。

たとえば、アカエゾマツ。アイヌの人々が「森の女神」と呼んだ美しい常緑針葉樹から採取した新芽は、乾燥することで熟成したオレンジを思わせる香りに変化する。葉から抽出される精油はエッセンシャルオイルとしても利用されるほど。「火の帆KIBOU」は、アカエゾマツを基調に、北海道産・積丹町産のボタニカルを加えた大地の蒸溜酒。まるで積丹の森の中を散歩しているような、鮮烈な香りが口の中に広がった。

「火の帆」ラインアップ。左から、花々をテーマとした「BOUQUET」(6820円)。積丹ブルーへの思いを込めた「KIBOU BLUE」(6380円)。アカエゾマツの香りが特徴の「KIBOU」(5940円)。ミヤマビャクシンを使った「UMI」(8800円)。

もうひとつ、「火の帆」の特徴といえるボタニカルがミヤマビャクシン。ジンに欠かせないジュニパーベリーの一種で、海岸線の断崖に自生している。その力強く繊細な香りと塩味は「火の帆UMI」に欠かせないボタニカルとなった。フキノトウと組み合わせることで、生命力に溢れたより力強い味わいとなる。

周囲を自然に囲まれた積丹スピリットの蒸溜施設。山、川、海岸などの植生が凝縮した積丹半島は、ジンの原料となるボタニカルが身近に存在する。

しかし、積丹半島およびその周辺は「ニセコ積丹小樽海岸国定公園」に指定され、自生するボタニカルの採取は厳禁である。そこで「火の帆」を手掛ける積丹スピリットでは、世界的にも珍しい「ボタニカルを自社栽培から蒸溜までを一貫工程とする」ことを選んだ。積丹町内の遊休農地約5haを活用したボタニカルガーデンでは、現在約100種類もの香草植物を栽培しているという。

「積丹ジン」の取り組みは、まだ緒に就いたばかり。大いなる可能性を秘めたプロジェクトだ。

自社のボタニカルガーデンで植物を栽培している。
特有の香りを放つアカエゾマツの新芽。芽吹きから10日頃までに摘み取るのがポイント。
積丹半島の海岸線の断崖にミヤマビャクシンが自生する。ただしここでの採取は厳禁。
積丹ジンの特徴は、それぞれのボタニカルを蒸溜した後にブレンドを行うこと。シングルフレーバーを組み合わせて配合を決定するプロセスは、酒造りというより実験のようだ。
ボタニカルを蒸溜して得られたシングルフレーバーはこれまでに数十種類におよぶ。積丹半島の自然の恵みが凝縮されている。

積丹スピリット

ここで乾杯!

クラフトジンをススキノで堪能する
バー 一慶

北海道随一の歓楽街ススキノで、クラフトジンを堪能するならこちら。知る人ぞ知る隠れ家的な雰囲気のバーである。開店14周年を記念したオリジナルジンは積丹スピリットが蒸溜した限定品だ。お試しあれ。

 

札幌市中央区南6条西4丁目5-11新宿通沿 ジャスマックサッポロ2階
TEL:011-563-0017
営業時間:18:00~3:00(LO2:00)、日祝18:00~2:00(LO1:00)
年中無休(※イベント、貸し切り時を除く)
https://www.barikkei.com

CHAPTER.2 WINE(ワイン)
美しい自然そのものを味わう北海道ワインツーリズム

自然の恵みを実感できる丘の上のワイナリー

北海道のワインの故郷を巡った。

北海道仁木町。丘の上に建つホテルからは、目前に広がるヴィンヤード(ブドウ畑)と、そのはるか向こうに石狩湾まで見渡せる。NIKI Hills Wineryが提案するワインツーリズムのひとコマだ。実際にワイン醸造が行われているヴィンヤードを訪れ、ワインに関わる人と出会い、その土地の風土や文化を感じることを目的とした旅である。

花咲き競う春のNIKI Hills Winery(余市郡仁木町旭台148-1 ☎0135-32-3801)。ゆるやかな斜面にヴィンヤードが広がる。

NIKI Hills Wineryは、比較的新しいワイナリーではあるが、平成27年の醸造開始以来、国内外のワインコンクールにおいて数々の受賞歴を誇り、専門家の評価も高い。令和元年7月にグランドオープンした。

四季折々の花が咲き誇るナチュラルガーデンや、ナチュラルフォレスト散策も人気だ。

約8haにおよぶヴィンヤード、醸造所、ナチュラルガーデン、レストラン、宿泊施設などからなる複合施設だ。総敷地面積は約33‌haという広大さを誇る。ワイナリーツアーでテイスティングが楽しめる他、レストランでは北海道ならではの旬の食材を使ったランチ、ディナーが、ワインとともに楽しめる(テイスティング、レストランともに要予約)。NIKI Hillsワイナリー自慢のワイン「HATSUYUKI」(白)と「YUHZOME」(赤)は、どちらも北海道の食材とのマリアージュを期待させる軽快な口当たりだ。

施設内を巡るワイナリーツアーを催行している(要予約・有料)。
「YUHZOME2019」(1万9800円)は現地でしか買えない貴重な赤ワイン。「HATSUYUKI ESTATE2020」(6600円)は、栽培から醸造、ボトリングまでを自社で一貫して行った。
部屋からヴィンヤードが一望できる宿泊施設。
ワインショップではテイスティングもできる。

NIKI Hills Winery(ニキヒルズワイナリー)

きめ細かい泡立ちが美しい本格スパークリングワイン

日本最大規模を誇る北海道ワインのヴィンヤード「鶴沼ワイナリー」(浦臼町)。そこから収穫されたブドウを厳選し、醸造後の適正な熟成期間を経て、さらに厳しい官能検査に合格したワインだけが「鶴沼収穫」ブランドを名乗ることができる。

北海道ワインの直轄農場「鶴沼ワイナリー」。447haというスケールの大きさは海外のワイン産地を思わせる。
「トラディショナルメソッド北海道 鶴沼収穫」(7700円)。しっかりとした味わいとするため、熟成期間を18カ月とやや長く設定した。
瓶内二次発酵後、自動回転式収納ケース「ジャイロパレット」で澱を瓶口に集める。

「トラディショナルメソッド北海道 鶴沼収穫」は、北海道の空気を思わせる爽やかさと、ほどよい酸味と繊細な泡が調和した辛口のスパークリングワインだ。トラディショナルメソッドとは、一次発酵させたワインを瓶内でもう一度発酵させ、発生した炭酸ガスを閉じ込める製法を意味する。これを瓶内二次発酵という。

瓶内二次発酵のきめ細かい泡立ち。北海道が育んだ美しいスパークリングワインだ。

その名の通り、本場欧州の伝統的な製法に則って造られる本格的なスパークリングワインだ。瓶内二次発酵は、熟成中に澱を瓶口に集め、溜まった澱を抜く作業もあるため、手間もコストも時間もかかる。
瓶内二次発酵ならではのエレガントな炭酸ガスの刺激が口の中をフレッシュにしてくれ、食前酒としてはもちろん食中酒としても楽しみたい。

繊細なフランス料理はもちろん和食とも相性が良さそうだ。

北海道ワイン

ここで乾杯!

地産地消フレンチとのマリアージュ
ヌーベルプース大倉山

北海道出身の加藤秀克シェフが手掛ける料理は、既成概念にとらわれない新しいフレンチの可能性を追求。地産地消を大事にした素材の風味が香る料理が楽しめる。同店の料理はスパークリングワインを組み合わせたい。

 



札幌市中央区宮の森1274札幌オリンピックミュージアム アネックス2F
TEL:011-518-6311
営業時間:ランチ11:30~14:30(LO14:00)、ディナー17:30~21:30(LO20:00)
定休:水曜日
https://nouvelle-pousse.jp

CHAPTER.3 SEISHU(清酒)
北海道産米100%で本格派の日本酒を仕込む

地元・小樽で愛され続ける創業明治39年の酒蔵

田中酒造は創業以来、小樽で酒造りを続ける老舗だ。

酒造りは寒い冬に仕込み作業を行う「寒造り」が一般的である。しかし、ここ田中酒造では、北海道の冷涼な気候を利用して、通年仕込みを行う「四季醸造」が行われてきた。温度管理の行き届いた最新設備の大手酒造メーカーはともかく、地域に根差した酒蔵で四季醸造が行われてきた例はそう多くない。

四季醸造の良さは、季節に合わせた新酒がいつでも楽しめることだ。田中酒造の醸造施設「亀甲蔵(きっこうぐら)」には、搾りたての生原酒を求めて、季節を問わず国内外から多くの観光客が訪れるという。醸造工程には見学ルートが整備されていて、酒造りを公開しているのも人気だ。

亀甲蔵の見学コースではお酒の製造工程を無料で見ることができる、また、試飲も行っている。

戦後、北海道でも稲作が盛んに行われるようになった。今や全国有数の作付面積と収穫量を誇り、品質面でも高い評価を獲得している米どころである。酒造好適米の分野でも、平成12年の「初雫」に続き「吟風」「彗星」「きたしずく」などが続々と開発され、当地の良質な水と組み合わされ、北海道ならでは酒造りが行われるようになった。もちろん、田中酒造で使われる酒米も、現在は北海道産100%だ。仕込み水は小樽天狗山の伏流水。雪解け水が長い年月をかけて磨き上げられる。

純米醸造にこだわった銘酒「宝川(たからがわ)」は、北の大地を感じさせる清々しい香りと喉越しが楽しめる。北海道に来たなら清酒にも目を向けてほしい。当地の新鮮な食材とともに味わう清酒は格別だ。

四季醸造の田中酒造では櫂入れも通年行われる。
銘酒「宝川」。左から、醇良純米酒(1650円/精米歩合60%)、純米大吟醸(2475円/同50%)、純米大吟醸(5610円/同35%)。※価格はすべて720ml。

田中酒造

ここで乾杯!

生原酒がすしネタを引き立てる
おたる政寿司・本店

小樽市は日本有数の「寿司の街」である。市街中心部、国道5号線から小樽運河へと向かう200mは「小樽寿司屋通り」と呼ばれ、すしの名店が軒を連ねている。その中で、こだわりのネタが自慢の「おたる政寿司・本店」では、すしのうまさを引き立ててくれる銘酒として「小樽の地酒 宝川 しぼりたて生原酒」を提供している。

 

小樽市花園1丁目1番1号(寿司屋通り)
TEL:0134-23-0011
営業時間:11:00~15:00(LO14:30)、17:00~21:00(LO20:30)
定休:水曜日・元旦

CHAPTER.4 BEER(ビール)
日本のビール発祥の街でクラフトビールを発信する

自分たちのビールを追求するのが信条

今、ビールは新しい時代を迎えつつある。クラフトビールの隆盛だ。

日本のビール発祥の地、札幌で、クラフトビールを発信する澄川麦酒を訪ねた。澄川麦酒が得意とするのは、大手メーカーには造りにくい小規模ブルワリーならでは強みを生かしたビールだ。

ラインアップはラガー、ヴァイツェン、IPA、アメリカンセゾンと呼ばれる定番ビール4種類の他、限定品も随時ラインアップされる、直営店で提供される他、公式オンラインショップでも購入できる。

たとえば、モルト(麦芽)をしっかり使ったフルボディのビール、副材料を贅沢に使ったビール、といった具合に、自分たちが造りたい味わいを追求するのが信条だ。自称・世界一レシピの多いブルワリー。モルトをたっぷり使って、その味わいを引き出すことを基本にしながらも、多品種少量で一期一会のビールを生み出している。

小規模ブルワリーだけに醸造設備もシンプルだ。発酵タンクの代わりに食品用ビニール袋を入れた冷凍ストッカーを活用し、マッシュタン(麦汁を抽出する容器)や、煮沸に使うケトルはラーメンスープ用の寸胴鍋だ。設備投資を最小限に抑えながら、多品種少量生産を実現するために編み出された醸造法だという。

冷凍ストッカーがずらりと並ぶ。食品用ビニール袋の中で発酵が進む。
日々レシピを変えながら寸胴鍋で麦汁を抽出する。大麦はドイツ産を中心に調達。ホップは欧州・米国産を中心に、道産のフレッシュホップを使ったビールも造っている。

澄川麦酒

■ここで乾杯!

魅惑のタップリストを堪能
ビアパブ・ひらら

出来たてのクラフトビールを味わうなら直営店へ。というわけでこちらは醸造所から最寄りの「ビアパブ・ひらら」。自分たちが飲みたいビールを随時取り揃え、造り手も飲み手も飽きのこないタップリストで楽しませてくれる。自家製ベーコンのチリコンカンやポテトサラダなど、おつまみもビールによく合う。



 

札幌市南区澄川4条3丁目4-6
TEL:011-807-4565
営業時間:火曜~金曜18:00~23:00、土日祝15:00~22:00
定休:月・火曜日、年末年始(不定休有)

※新型コロナウイルス感染症に関連し、定休日・営業時間が変更される場合があります。

撮影/遠藤 純 文/仲武一朗 取材協力/北海道観光振興機構

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