【プロフィール】
西村瑞樹(にしむらみずき)
1977年、広島県生まれ。お笑いコンビ『バイきんぐ』のボケ担当。ソロキャンブームの火付け人ヒロシと並び、芸能界屈 指のキャンプ好きで知られ、キャンプのために山を購入するほど。フジテレビ系列にて冠番組「西村キャンプ場」(テレビ新広島/制作) が絶賛放映中。
バイきんぐ 西村瑞樹が語る「オレとホルモン料理」
郷土の味として親しんだ広島流のホルモン料理とは
ひょんなことから先輩芸人のヒロシさんに連れて行ってもらったキャンプで、その魅力に取り付かれてしまい、今では〝キャンプ芸人〟としてテレビや雑誌など多方面で活躍するバイきんぐの西村瑞樹さん。広島県広島市に生まれ幼少期を過ごした後、親の仕事の都合で兵庫県へ引っ越し青春時代を送った西村さんにとって、ホルモン料理は郷土の味として親しみのあるものだという。
「家庭料理としていつもそこに〝あるもの〟というより、家族や友人と食事に出かけた先でホルモン料理を食べていました。広島ならではのホルモン料理といえば〝ホルモンの天ぷら〟や〝せんじがら〟などがあります。どちらも全国的な知名度は低いかもしれませんが、それぞれに魅力があって美味しいんですよ」
広島市が発祥のホルモンの天ぷらは、シロモツをはじめギアラやセンマイ、ハチノス、ミノなど、焼肉でもおなじみな部位を天ぷらにしたもので、塩や天つゆのほか酢醤油と粉唐辛子で食べるのもおすすめだという。広島市内にはホルモンの天ぷらを提供する店は多く、それぞれの店舗によって使用される部位や食べ方に特徴があり食べ比べも楽しい。
「〝ホルモンの天ぷら〟は友人や仕事仲間と飲みに行った際に食べることが多いです。広島独自の料理だって意識したことはなかったです、そのくらい当たり前に存在していたものだと思います。僕は塩で食べることが多いですが、天つゆや酢醤油で味わうのもおすすめですよ。
〝せんじがら〟は僕のマストバイフード(笑)。現在、広島でレギュラー番組をやらせていただいているのですが、月に数回ロケで広島へ行くたびに駅の売店で必ず購入して、新幹線の中で食べています。〝せんじがら〟は広島名物の珍味で、ホルモンを揚げて干したものです。これがビールのお供に最高なんですよ。少し塩気がある味付けで、噛めば噛むほどホルモンの旨味がじわじわと口に広がってお酒が進みます。コロナでなかなか飲食店に行けない状況でも〝広島の味〟を手軽に食べられるので最高です!(笑)」
そんな西村さんにとってホルモン料理とはどんなものなのか?
「キャンプの時ももちろんですが、普段から自宅で料理をする機会が多いので、食材のひとつとしてホルモンはよく購入しています。今回紹介した〝もつこんキムチ鍋〟や〝豚ハツねぎ塩炒め〟などは、簡単であっという間にできるのでよく作りますね。下処理が面倒なのでは? と思う人もいるかもしれませんが、案外簡単にサッとできるので男の料理にも向いていると思います。ぜひ皆さんにも試して欲しいですね」
バイきんぐ 西村流 「簡単激うまホルモン料理集!」
料理に手間をかけすぎないがモットーな西村さん流の簡単で美味しいホルモン料理を一挙ご紹介!
No,1
寒い冬にぴったり! 「もつこんキムチ鍋」
材料を入れて煮込むだけあっという間に出来上がり
寒い季節に最適な「もつこんキムチ鍋」は、生の大根を使用する代わりに味の染み込んだ大根キムチ(カクテキ)を使うことで、食材を切る手間が省ける上に、火の通りも早くなるため時短料理としてもおすすめだ。元々は冬キャンプで暖を取るために作っていた豚キムチ鍋がベースで、牛のシロモツでもホロホロに美味しく味わえるのではとアレンジしたものだという。下茹でされた牛シロモツを使うことで味にコクと深みが出て、煮込み時間が短くても本格的な味わいが楽しめるひと品。
<材料>
・牛のシロモツ(ゆで)……400g
・ニンジン……1/2本
・長ネギ……1/2本
・シメジ……50g
・コンニャク……100g
・ショウガ……5g
・大根キムチ……お好みで
・白菜キムチ……お好みで
・みそ……適量
・バター……10g
<作り方>
①鍋に250ml程度の湯を沸かし、沸騰したらモツ、半月切りのニンジン、千切りのショウガ、手でちぎったコンニャクを入れニンジンに火が通るまで煮込む。
②浮かんできたアクを取り、大根キムチと白菜キムチを入れひと煮立ちさせる。大根キムチがホロホロになったところで、シメジと長ネギを加え5分ほど火を通す。
③最後にみそで味を整え、最後にバターを落とせば完成。
No,2
広島のご当地グルメ 「ホルモン天ぷら」
先にひと口大にカットして揚げると食べやすい
広島のソウルフードとして近年にわかに注目を浴びている「ホルモン天ぷら」。広島市内にはホルモン天ぷらの専門店もあり、サクサクな衣に包まれたプリプリ食感のホルモンは一度食べたら病みつきになるほど。店で食べる場合は、どの部位も10㎝程度の長さに揚げて提供されたものを、自分好みの大きさにハサミで切って食すことが多い。今回は先にひと口大にカットしてから調理した。家庭で作る場合にはこの方が火の通りも早く、次々に食べられるのでおすすめだ。使用する部位には決まりがないので、お好みでどうぞ。
<材料>
・牛シロモツ(ゆで)……100g
・牛センマイ……100g
・牛ミノ……100g
・小麦粉……適量
・天ぷら粉……100g
・水……150ml
・塩……お好みで
<作り方>
①牛のシロモツ、センマイ、ミノはひと口大に切り小麦粉をまぶす。
②天ぷら粉に水を入れ粉が少し残るくらいに混ぜたら①をくぐらせ、約200℃の油で3〜4分揚げる。
③具材にしっかり火が通っていることを確認したら、盛り付けて完成。
ワンポイント アドバイス!
生の部位を使用する場合は、先に下茹でしてから水気をしっかり切って揚げると、火の通りも早くプリプリに!
No,3
家でもキャンプでも! 「豚レバーのアヒージョ」
豚レバーはしっとり食感で美味しい仕上がりに
手軽に作れる「豚レバーのアヒージョ」は、スキレットを使えば蓄熱性も高く、いつまでも熱々で美味しく楽しめる。ポイントは豚レバーの色が全体的に白っぽく変わるくらいのタイミングで、仕上げの味付けをすること。塩とブラックペッパーは「ちょっと多いかな?」と思うくらい思い切りよく振りかけるのが西村流だ。しっとり食感の豚レバーとニンニクの芽が美味しい逸品。
<材料>
・豚レバー……150g
・オリーブオイル……適量
・鷹の爪……1本
・ニンニク……2片
・ニンニクの芽……50g
・ローリエ……1枚
・塩……適量
・ブラックペッパー……適量
・牛乳……適量
<作り方>
①豚レバーをひと口大に切り分け、バットに並べたら、ひたひたになるくらいの牛乳に15分ほど浸して臭みを取る。
②豚レバーは水でサッと洗い、しっかり水気を取っておく。
③スキレットなどの鍋底が浸かるくらいのオリーブオイルで、潰したニンニクを香りが出るくらいまで熱する。
④半分にちぎってタネを除いた鷹の爪、ローリエ、5㎝幅にカットしたニンニクの芽、レバーを入れ肉に火が通るまで煮込んだら、塩とブラックペッパーで味を整えて完成。
ワンポイント アドバイス!
具材に物足りなさを感じる場合は、味付けの直前に1㎝程の幅に切った赤や黄色のパプリカを入れると彩りも良い!
No,4
驚くほど簡単! 「豚ハツねぎ塩炒め」
最も簡単でビールに合う最高のおつまみレシピ
今回紹介するレシピの中で最も手軽に誰でも簡単に作れるのが、この「豚ハツねぎ塩炒め」だ。フライパンで炒めて、ネギや調味料と和えるだけなので、普段料理をしない男性にこそおすすめ。元々、西村さんは鶏皮でこの料理を楽しんでいたのだが、豚ハツのコリコリした食感にも合うのではと試してみたところ、これが大当たり! ゴマ油の香りが食欲を刺激し、ネギとの相性もバッチリだ。10分程度で作れてしまうので「おつまみに何かひと品欲しいなぁ」という時に活躍するだろう。レバーや他の部位で試すのもあり!
<材料>
・豚ハツ……250g
・長ネギ……1/2本
・鶏ガラスープ(粒)……小さじ1
・ゴマ油……大さじ2(炒め1、和え1ずつ使用)
・塩……小さじ1/2
・ブラックペッパー……適量
<作り方>
①豚ハツをひと口大に切り分け、熱したフライパンでゴマ油で炒める。
②肉にしっかり焼き目が付くくらいに炒めたら、ボウルに移し、みじん切りの長ネギ、鶏がらスープ、塩、ゴマ油を回しかけて和える。
③最後にブラックペッパーをお好みで振り、完成。
ワンポイント アドバイス!
美味しさのコツは豚ハツを焼き目が付くまでしっかり焼くこと。お好みでネギ増しするのも良いですよ。
No,5
相方・小峠の地元 「田川風ホルモン」
味付けは楽チンに食感はプリプリで!
西村さんの相方・小峠さんの故郷でもある福岡県田川市の郷土料理でB級グルメとしてもおなじみの「田川ホルモン鍋」を、西村さん流にアレンジ。〝手間をかけない〟がモットーのため味付けは市販の焼肉のタレのみ。牛のシロモツはプリプリ食感を楽しみたいので、生のものを用意して下茹でするのがおすすめだ。余分な脂を落としつつ、火の通りが早くなり、食感も楽しめる。
<材料>
・牛シロモツ(生)……400g
・豚ハツ……250g
・キャベツ……1/4個
・ニラ……半束
・タマネギ……1個
・モヤシ……1袋
・焼肉のタレ(甘口)……100㎖くらい
・料理酒……50ml
<作り方>
①生の牛シロモツは料理酒を入れて沸騰させた鍋たっぷりの湯で下茹し、しっかり水気を切っておく。豚ハツはひと口大に切り分けておく。
②キャベツはざく切り、ニラは7㎝、タマネギは7㎜幅にカットする。
③鉄板(ホットプレート)を熱し①を入れ豚ハツの色が変わったくらいで②の具材を投入し、しっかり炒めていく。
④野菜がしんなりしてきたら焼肉のタレをお好みで回しかけ、鉄板に少し焦げ目ができるくらいに味が馴染んだら完成。
ワンポイント アドバイス!
コツは豪快にザクザクと炒めること。今回は豚ハツと牛シロモツを使ったが、他の部位を増やしても美味しい!
■おまけ
何にでも使える!「西村流BBQソースレシピ」
汎用性が高く簡単に作れるオリジナルBBQソースを教えてもらった。スペアリブの漬け込みやステーキに最適だ。
<材料>
・ケチャップ……大さじ4
・焼肉のタレ……大さじ2
・ハチミツ……大さじ1
・砂糖……大さじ1
・市販のアウトドアスパイス……大さじ1
・おろしニンニク……適量
西村さん特製BBQソースはとても簡単。左の材料をボウルで混ぜるだけで出来上がり。味の決め手はおろしニンニクと、お好みで加えるスパイスの香り。今回はクミンが配合されたものを使用した。
本当はすごい! 健康維持の立役者! 「知って得するホルモン豆知識」
日常の食を楽しみながら健康管理の主役におすすめ
バラエティミートとは主に内臓肉のことを指し、特に牛や豚から得られる各部位は食感や味わいが様々にある。また、たんぱく質やビタミン、ミネラルも豊富に含まれる。近年では新鮮なバラエティミートがスーパーなどで取り扱われることが増え、より一層身近な存在となった。
精肉を生産・加工する過程で発生する内臓を鮮度が高いうちに処理することで、精肉と同等、もしくはそれ以上の味わいが楽しめるようになった。その過程には、ただ単に日本人特有の〝もったいない精神〟が働いただけでなく、その職に従事する多くの人々の熱意や創意工夫があったおかげである。その努力の甲斐あって、美味しく味わうだけでなく、健康管理の一助として食卓に欠かせない食材になったといえるだろう。
特に働きざかりの年代ではメタボが気になり始めるだけでなく、肉体的疲労や精神的なストレスにさらされ、たんぱく質の分解が進みやすい傾向にある。バラエティミートを積極的に日常食に取り入れることで、良質なたんぱく質やミネラル分を摂取し、明日を生きる活力に換えていきたい。味わいや食感などバラエティ豊かな部位を調理して、飽きることなく〝食〟を楽しんでほしい。
一般社団法人 日本畜産副産物協会
http://www.jlba.or.jp
一般社団法人 日本畜産副産物協会、食肉情報等普及・啓発事業 後援/公益社団法人 日本食肉協議会
文/田村 巴 撮影/池本史彦