52354北海道の大自然と語り合う「道東ネイチャーツーリズム」

北海道の大自然と語り合う「道東ネイチャーツーリズム」

男の隠れ家編集部
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目次

長く続いた緊急事態宣言も明け、ようやく県をまたいだ移動が事実上可能になった今、あなたが旅行したいのはどこだろう。ステイホームで長らく外に出られなかった反動から、今回我々が選んだのは広大な自然あふれる北海道・道東。さあ、大自然の中へ飛び出そう。

北海道最大のエリア 道東を巡る2泊3日の旅

とにかく広い北海道。そのエリアは、道央・道南・道東・道北の4つに大きく分けられるが、中でも一番広いエリアが道東だ。十勝、オホーツク、釧路、根室を擁する道東の面積は、およそ3万1千平方㎢(北方領土を含まず)。これがどのくらい広いのかというと、5県で構成される中国地方とほぼ同じ面積といえばわかりやすいだろうか。

そんな道東の魅力は、なんといっても大自然。東京23区がすっぽりと収まってしまうほど広大な釧路湿原や、オホーツク海にせり出した全長約26㎞の日本最大の砂嘴(さし)・野付(のつけ)半島など、見どころが満載だ。

もちろん、そのすべてを体験するなんて不可能なので、今回は道東のオホーツク海側に的を絞り、2泊3日という限られた日数でどれだけ見て回れるかを試してみた。

名物・北海シマエビと「この世の果て」

オホーツク海側の道東を楽しむなら、まず押さえておきたいのが野付半島。日本最大の砂嘴である野付半島の内側・野付湾は水深が2〜5mと浅く、海底にアマモが茂っている。

このアマモを棲み家としているのが、名物・北海シマエビだ。今回は残念ながら禁漁シーズンで、獲れたての北海シマエビにお目にかかることはできなかったが、毎年夏と秋の2回にわたって打瀬舟(うたせぶね)と呼ばれる専用の漁船で行われる打瀬網漁が、この地域の風物詩なのだとか。

そしてもうひとつの野付半島の目玉がトドワラだ。トドワラとは、海水面上昇などで枯死した砂嘴上のトドマツ林跡のこと。その特異な光景から「この世の果て」とも呼ばれ、景勝地となっている。

こちらを訪れる方法はふたつ。尾岱沼(おだいとう)漁港から出航する野付湾クルーズを利用するか、半島の中ほどに位置する野付半島ネイチャーセンターからトラクターバスもしくは遊歩道を歩くという方法だ。目的地はひとつでも、海からと陸からの方法が選べるのは楽しい。

野付半島・野付湾クルーズ

野付半島・野付湾クルーズ(のつけはんとうのつけわんくるーず)
尾岱沼漁港を出港し、野付半島の景勝地トドワラの近くの砂州に観光船が運航する時期だけ現れる浮桟橋に到着するコース。運が良ければ、アザラシを間近で見られることも。写真左は野付湾の風物詩・打瀬網漁の様子。

北海道野付郡別海町尾岱沼港町232番地
☎0153-86-2533
運行期間/5月中旬頃~10月末まで
https://www.aurens.or.jp/~kankousen/

野付半島ネイチャーセンター

野付半島ネイチャーセンター(のつけはんとうねいちゃーせんたー)
野付半島の自然や歴史についての情報を提供する野付半島ネイチャーセンター。こちらからは遊歩道での徒歩もしくはトラクターバスに乗って、通年でトドワラへ行くことができる。

北海道野付郡別海町野付63番地
☎0153-82-1270
開館時間/4月~9月 9:00~17:00、10月~3月 9:00~16:00
休館日/12月30日~1月5日
http://notsuke.jp

尾岱沼ふれあいキャンプ場

明け方の清々しい空気を吸い 込みながら眺める海は最高だ。

尾岱沼ふれあいキャンプ場(おだいとうふれあいきゃんぷじょう)
今回の旅では宿に泊まらず、ソロキャンプを決行した。男ひとりということで手の込んだ料理は避け、お酒を飲みながらさっと作って食べられる簡単なメニューを準備。左上から鶏皮串、牛カルビ、冷凍ピラフのホイル蒸し、切れてるチーズの炭火炙り。想像以上においしく仕上がり、赤ワインを一本空ける頃にはキレイに完食してしまった。

北海道野付郡別海町尾岱沼岬町66番地
☎0153-86-2208
開場期間/4月下旬~10月 ※予約受付期間/4月~10月
https://www.aurens.or.jp/~odaitoufureai/

食事処 白帆

食事処 白帆(しょくじどころ しらほ)
地元で誰もが勧める味処が、ここ「食事処 白帆」。店主の平野一義さんが野付湾で獲れた海の幸にこだわった、新鮮な刺身や天ぷらが楽しめる。一番人気の北海シマエビの天丼(1350円)は絶品。

北海道野付郡別海町尾岱沼港町170
☎0153-86-2033
営業時間/11:00〜20:00
定休日/月曜日

眼下に広がる釧路湿原の眺望と穏やかな水面でのカヌー体験

旅の2日目に訪れたのは、釧路平野に位置する日本最大の湿原・湿地である釧路湿原国立公園。まずは湿原が一望できると人気の細岡展望台へと車を走らせる。釧路湿原の展望台はほかにいくつもあるそうだが、ここからの景色が一番絶景なのだとか。果たしてそこからの眺望は「来て良かった……」と思わずにはいられない、噂に違わぬ見事なもの。

細岡展望台

細岡展望台

細岡展望台(ほそおかてんぼうだい)
数ある釧路湿原の展望台の中でも一番人気が、“大観望”とも呼ばれる細岡展望台。国立公園の特別保護地域の北にある斜里岳や摩周岳、西の阿寒の山々を遠望でき、釧路川が湿原の中を蛇行する様子もよくわかる。

北海道釧路郡釧路町字達古武22-9
☎0154-40-4455
営業時間/4月〜5月 9:00〜17:00、6月〜9月 9:00〜18:00、10月〜11月 9:00〜16:00、12月〜3月 10:00〜16:00
定休日/年末年始
https://www.kushiro-shitsugen-np.jp/tenbou/hosooka/

やはり第一印象は、どうしても単純に「広いなぁ」となってしまうのはしかたないとして、しばらく景色を眺めていると、遠くに山があるとか、湿原の中を流れる川は、なぜあんなにグニャグニャと蛇行してるんだろうなどと冷静に分析でき始めた。ここで予約していたカヌー乗り場へ向かうため、再び車を走らせる。

釧路マーシュ&リバーは、北海道知事認定アウトドアガイドの斉藤松雄さんが代表を務めるカヌーガイドのスペシャリスト集団。その強みは、なんといっても斉藤さん自身が生まれも育ちも釧路湿原で、隅から隅まで湿原を把握していること。

マスクとサングラス、そしてガッシリとした体格で一見寡黙そうに見える斉藤さんだが、いざカヌーが出航するとコースの説明や湿原の見どころ、鹿の出現スポットなどを事細かに教えてくれる。

声のトーンやテンポも心地良く、自然音だけの静寂さと水面を滑るように流れるカヌーの動きとも相まって、一種のヒーリングを体験しているかのような感覚に陥りそうだ。湿原を流れる穏やかな川だから、素人考えで出航前まで心配していた転覆もなく、1時間半のカヌー体験は水にずぶ濡れになることなく楽しいままに終了した。

運転中は動物の飛び出しに注意。
道東では、動物とクルマの衝突事故が非常に多い。
カヌー体験を終えてからの移動中には、5分足らずの間にキタキツネと鹿が道路を横切った。

釧路マーシュ&リバー

釧路マーシュ&リバー(くしろましゅーあんどりばー)
釧路湿原や釧路川を一年を通して案内してくれる釧路マーシュ&リバーのカヌーツアー。穏やかな水面や湿原にたたずむ鹿の姿を眺めながらのひと時は、まさに極上のネイチャー体験。生まれも育ちも釧路湿原という代表の斉藤松雄さん(左写真中央)をはじめ、スタッフが船上で披露するトークも秀逸。

北海道釧路郡釧路町字トリトウシ88-5
☎0154-23-7116
https://946river.com

和商市場

和商市場(わしょういちば)
北海道三大市場のひとつと称される和商市場の名物は、ネタを自分で選べる「勝手丼」。まず白いご飯が盛られた丼を購入したら、市場内を回ってネタを乗せていこう。完成した自分だけの海鮮丼の味は格別だ。

北海道釧路市黒金町13丁目25
☎0154-22-3226
営業時間/8:00〜
定休日/日曜
https://www.washoichiba.com

バタバタながらも目的を達成した最終日

ウトロ鮭テラス

道東の旅もいよいよ最終日。夜明けとともに、尾岱沼から2時間かけて斜里町のウトロ鮭テラスへ。珍しい二階建ての漁港として平成28年に誕生したこちらでは、一階での鮭の水揚作業を二階から見学できるのだ。

続いて訪れたのは、すぐ近くを流れるペレケ川の河岸公園。ここでは鮭の遡上(そじょう)や産卵が目の前で見られるという。現地に到着すると、多くの見物人に混じって、水中カメラを合わせて4台のビデオカメラを回す猛者が。そんな光景を目の当たりにし、あらためて鮭の人気を再確認した。

ペレケ河岸公園

時刻は正午を回り、最終日も後半戦に突入。中標津空港17時50分発、新千歳空港経由で今日中に羽田空港まで戻るため、残された時間をどう回るかを考える。出した結論は〈カムイワッカ湯の滝→フレペの滝→オシンコシンの滝〉の滝めぐり。

中でも流れ落ちる温泉の中を滝登りするカムイワッカ湯の滝は、前々から行ってみたかったスポットで気合いが入る。膝丈のズボンに着替えて足を踏み入れると、熱すぎず冷たすぎない水流が気持ち良い。

目的を達成した後は、着替える時間がもったいないから膝丈ズボンのままで残りの滝めぐり。空港のトイレでようやく履き替えながら、次回はもっと日程に余裕をもって来ようと心に誓った。

ウトロ鮭テラス

ウトロ鮭テラス(うとろさけてらす)
道の駅 うとろ・シリエトクの敷地内に、平成28年に完成した二階建ての漁港・ウトロ鮭テラス。秋の鮭シーズンには、一階で行われる鮭の水揚作業を二階から見学できる。見頃は朝7時から10時頃。荒天時は休漁になるので注意。

北海道斜里郡斜里町ウトロ西
☎0152-22-5000(道の駅 うとろ・シリエトク)
https://www.shiretokosalmon.com

ペレケ河岸公園

ペレケ河岸公園(ぺれけかがんこうえん)
ウトロ鮭テラスからほど近い、バスターミナルのすぐ裏という信じられないような場所で鮭の遡上が見られるペレケ河岸公園。護岸が階段状になっているので、手を伸ばしたら届きそうな距離で見学できるのが魅力だ。黒い帯状と化した鮭の群れに、生命の神秘を感じる。

北海道斜里郡斜里町ウトロ
☎0152-24-3255

カムイワッカ湯の滝

カムイワッカ湯の滝(かむいわっかゆのたき)
知床硫黄山の中腹から涌き出る温泉が流れ込み、傾斜のある川全体が流れる温泉のようになっている「カムイワッカ湯の滝」。シーズンになると、流れるお湯の中を上流に向かって登る人たちでにぎわいを見せる。ただし、安全設備や整備は一切行われていないため、足を踏み入れるのはあくまでも自己責任で。

北海道斜里郡斜里町遠音別村
☎0152-22-2125(知床斜里町観光協会)
利用期間/毎年6月初旬〜11月初旬頃まで(予定)

フレペの滝

フレペの滝(ふれぺのたき)
知床連山に降った雪と雨が地下に浸透し、垂直に切り立った約100mの断崖の割れ目から流れ落ちるフレペの滝。川を源流としないため水勢は強くなく、ホロホロと流れる滝の様子はまるで涙のようだ。その様相から、地元では「乙女の涙」と呼ばれて愛されている。

北海道斜里郡斜里町大字遠音別村字岩宇別
☎0152-24-2114(知床自然センター)

オシンコシンの滝

オシンコシンの滝(おしんこしんのたき)
国道334号沿いの駐車場から歩いてすぐの場所に位置し、思い立ったら気軽に見に行くことができる天然の滝。標高は70m、落差は50m。途中から流れがふたつに分かれる分岐瀑で、「双美の滝」とも呼ばれる。日本の滝100選にも選ばれた。

北海道斜里郡斜里町ウトロ西
☎0152-22-2125(知床斜里町観光協会)
https://www.shiretoko.asia/oshinkoshin.html

文/小畑彰弘 撮影/島崎信一 協力/北海道観光振興機構

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