長い歴史を感じさせる歌舞練場の前に店を構えるのが豆腐料理を中心とした豆腐懐石が味わえる「上七軒 くろすけ」。およそ120年前に建てられたお茶屋の建物を、当時の風情をそのままに残している。ひとたび暖簾をくぐれば、昔ながらの帳場や階段箪笥など、時代を超えた調度品で飾られた趣のある空間が広がる。
階段箪笥を上がって食事処のある2階へ。2階にはお茶屋特有の踊り場があり、今も変わらず芸舞妓さんの舞を楽しむことができる。なかには芸舞妓さんを呼んでお茶屋遊びする客人も。
四季の移ろいを感じられる中庭が見渡せる窓際の席に座り、名物の湯豆腐をいただく。豆腐は豆の味がしっかりしており、滑らかな口どけと濃厚な甘みがじんわりと舌に伝わる。「寄せ豆腐や胡麻豆腐など様々な豆腐を季節に合わせた愉しみ方で堪能していただけます」と料理長の片野正則さん。
お茶屋の面影が今も色濃く残る店内で、遥か昔へタイムスリップしたような感覚を愉しみながら、非日常の空間で心ゆくまで豆腐料理を味わいたい。