懐かしい日々を思い出す数々のアナログ盤
エレベーターの扉が開いた瞬間、目に飛び込んでくる光景に誰もが圧倒されるはずだ。店内の壁という壁一面に懐かしのレコードジャケットがびっしり! 加山雄三、井上陽水、山口百恵、キャンディーズ、ビートルズ、エルヴィス・プレスリー……。
昭和歌謡やアイドル系の邦楽をメインに、80年代前後の洋楽など多彩だ。いわゆるノンジャンルだが、そのアナログ盤の数はなんと約6000枚で、CDは一切ないという。
コンセプトは「古き良き日のレコード音楽がある喫茶店」、「アナログ空間でゆっくり音楽を楽しんでほしい」などなど。ドイツ製のホーンスピーカー・アバンギャルドから流れる音は、迫力とともにアナログならではの温かみがある。
ゆったりとしたソファに身を委ね、懐かしの音楽に酔いしれるひととき。営業は金曜・土曜・日曜・祝日のみだが、12時の開店と同時に、50代~70代の年齢層を中心とする老若男女が続々と訪れる。コーヒー1杯のオーダーでリクエストが1曲付くのが基本だ。
天窓からは光が入り、テラス席のような感覚が味わえるスペースもあり客はそれぞれリラックスして、音楽に耳を傾けながらリラックスしている。ここは、若き日の思い出にどっぷりと浸かれるとっておきの1軒なのである。
オススメのアナログ盤
ここではお店がオススメしたアナログ盤を紹介しよう。もちろん、素晴らしい音楽がたくさんあるなかで、選んでいただいたもの。これだけが全てではないが参考までに。
太陽の恋
加山雄三/1967
東芝音工
加山雄三が主演した映画『南太平洋の若大将』で自身が音楽を制作し、それをサントラ盤風に構成したアルバム。「タヒチの夕陽」「二人だけの海」など全12曲が入る。
GO AHEAD!
山下達郎/1978
RCA/RVC
このアルバムに収録されたファンク・ナンバー「BOMBER」によって、山下達郎のその後の音楽シーンを決定づけたといわれるサード・ソロアルバム。
Elvis That’s the Way It Is
エルヴィス・プレスリー/1970
RCA
映画『エルヴィス・オン・ステージ』と同コンセプトで制作されたアルバム。邦題は『エルヴィス・オン・ステージ』。日本ではLPランキングで16週連続1位を記録した。
文/岩谷雪美 写真/秋武生