繁華街の真ん中に建つ築20年のマンションの7階。そこにお住まいの平野さんに招き入れられると、外の賑わいとは別の次元の空間が広がっていた。玄関からベランダの窓まで見通せる開放感たっぷりのリビングは、細部にまで洗練された雰囲気が漂い、まさに男のひとり暮らしの格好良さが集約されている。
相棒は愛嬌たっぷりのフレンチブルドッグ。ワークデスクを部屋の真ん中にレイアウトした回遊性のある間取りは、愛犬がぐるぐると走り回ることも想定した造りだという。
「自宅兼事務所としてリノベーションした部屋ですが、設計の段階から犬のために工夫した部分も多いですね」と笑う平野さん。回遊式間取りの他にも、床は犬が滑らないようラフオークのフローリングにした。そのナチュラルな雰囲気が思いのほかモダン空間にマッチした。
一般的な間取りや新築の建具などが好きではないという平野さんの要望から、既存の間仕切りはほぼ全てスケルトンにしてリノベーション。部屋の中央に特徴的なワークスペースを配し、生活感の出るキッチンや寝室はあえて隠すようにミニマルに工夫した。
また、デスクは壁に向かうのではなく部屋を眺めながら仕事ができるようにし、背には本棚などの収納スペース、通路側にガラスの窓壁を付けたのも特徴的だ。その他の空間と仕切りつつも開放感があるのが気に入っているという。
さらに、ビンテージ家具や工業製品などが好きというだけに、照明やスイッチ、ドアノブにはインダストリアルデザインのパーツなどがセンス良く取り入れられている。
「好きなものを集めただけです」
まさにニューヨークのSOHOのようなアーバン&モダンな空間。窓の外に広がる都会の景色もまた、部屋と絶妙にマッチしている。
【秘密基地造りのPOINT】
1.半分がガラスなので仕切り感も演出。
2.視線の先は窓からの景色。
3.ワークスペース中心で考えた間取り。
【Owner’s voice】
仕事場を快適な空間にしたかったのと、愛犬のフレンチブルのために床と回遊式の間取りにこだわりました。
文/岩谷雪美 撮影/秋武生