年月を経た建物の味わいに 心安らぐ手造りのカフェ
「このキャンプ場は私の両親が25年前にゼロから手造りして始めました。コテージなどの建物はすべて父のセルフビルド。私たちが結婚してからは、夫が父から教えてもらい、今では場内の新しい建物は夫がセルフビルドをしています」と容子さん。
義父からセルフビルドのノウハウを伝授された純さんはすでにDIY上級者である。その純さんが4年前カフェのテラスをリフォームした。
テラスに2×4工法で壁を起こして、外壁は杉野地板で仕上げた。屋根の内側、床には新しい木材を張り、客席と玄関を造った。同時に既存の客席を減らし、キッチンのスペースを増やすなど大幅に間取りも変えた。
ほかにも店の裏側にギャラリーを増築した。容子さんによれば、「基本は私が発想して、それを主人に伝えて、造ってもらっています」。
部分的なリフォームでは、古道具をリユースすることに面白さを感じている。古道具屋で購入した手造りガラスの入った窓をはめこんだり、牛小屋の牛を繋いでいた板をアクセントに付けたり。
容子さんがデザインした玄関の扉も取っ手に和ダンスの表面板、裏面に増改築前の床材を使っている。自分の手で古道具や古材に新たな命を吹き込むことができるのはDIYの醍醐味だろう。
「長い年月を経て出たような味わいを出したい。でも、カフェなので、すっきりとした清潔感も必要。両者のバランスに気を付けています」
何系といった表現に収まらない、自分の感性やセンスを信じ、気まぐれに造りながら楽しんでいる二人。
「DIYは自分たちが欲しいと思うものを、好きな場所、サイズ、風合いで手造りできる。オンリーワンの空間にいる喜びを与えてくれます」
【BEFORE】 【AFTER】
新しい床にヤスリをかけ風合いが出る工夫を
元テラスだったところをリフォーム。新たに造った内壁や床で雰囲気を変えた。新しい床はツヤが気に入らなかったために、ヤスリをかけてからステイン材を塗った。ヤスリが足りなかったせいか、なかなか染み込まず、染み込んでも剥げてしまった。しかしそのまま月日が経過して、いつの間にか、とても良い風合いになったという。