家主が設計者にリクエストしたのは“巣ごもり感”。狭いながらもほどよく仕切られたコンフォートなスペースは、まさにそれを言い得ている。
リビングダイニングの一角にウッド調の箱型空間を設え、その中が書斎に。収納力のある棚、間接照明、入口は引き戸になっているため開閉がしやすく、存在感をあまり主張していない、さりげない隠れ家感もお気に入りだという。
「以前から書斎というか仕事場が欲しかったんですが、狭い団地では無理かなと……。でもリノベーションの際に設計者に相談したところ、想像以上の部屋が完成しました。持ち帰りの仕事がある時にもここなら集中してできるんです」と、家主のT.Bさんは満足そうにそう話す。
1983年築の団地の一室を2013年にリノベーション。木とコンクリートの風合いを生かしたシンプル&モダンな造りは目を見張るばかり。特にリビングダイニングは引き戸で空間を仕切ることができ、開放感と共にフレキシブルで回遊性のある間取りが工夫されている。
そこに箱式の書斎や洗面コーナーなどの水回りを造るというユニークな発想。家族の変化、使い方に応じて間取りも自由に変えられ、長くここで暮らすための快適性とプライベート感が追求されているという。
「今はやっぱり書斎が一番好きな場所。今度はここに似合う、もっと座り心地の良い椅子を購入したいと思っているんです」
【秘密基地造りのPOINT】
1.居住空間の一角に箱型空間を。
2.入り口は主張しすぎない引き戸。
3.天井を高くすれば圧迫感が軽減。
文/岩谷雪美 撮影/佐藤佳穂