社員食堂ともいうべき日立の大衆食堂

太平洋に面した茨城県の日立市は、日立鉱山と日立製作所と共に発展した工業都市だ。380社もの企業が集まり、世界レベルの「日本のものづくり」を担ってきた。

そんな町だけに、働く人たちが足繁く通った飲食店も数多く、町の大衆食堂はさながら社員食堂。ボリュームと栄養満点のメニューは、長年彼らの胃袋を満たしてきた。

昭和レトロな佇まいの店構え。

「今も当時のお客さんが遠くから来てくれることもありますね」と話すのは「日立食堂」主人の斉田悛さん。先代の斉田専一さんが店を創業したのは戦前だが、戦争で店を焼失し、その後しばらくは日立製作所の社員食堂をやっていたという。昭和30年に店を再建し、現主人の悛さんが店を引き継いだ。

店内は暖かな灯りと雰囲気でホッとする。

昭和30年頃に再建した建物は、外観も店内も昭和レトロの雰囲気が残り、趣たっぷりだ。さっそく席に座り「オムライス」を注文した。料理の担当は悛さんが主に麺類で、ご飯ものは奥さんの智恵子さんが作るという。

提供されたオムライスはこれぞ正統派! という、誰もが思い浮かべるビジュアルで、ごはんはもちろんケチャップ味のチキンライスだ。鶏肉がたっぷり入りボリューム満点。昔懐かしい味に、スプーンが進むこと間違いなしだ。

The正統派な「オムライス」。
人気の「海老フライライス」はボリュームたっぷり。

ついでにと、オムライスと並んで人気のメニュー「海老フライライス」も注文した。大きなエビが3本ものった大人気のひと品で、これを目当てに来る客も多いという。サクサクの衣が香ばしく、ひと口噛めばプリプリのエビの旨みがじゅわっと弾ける贅沢さ。これも間違いなく美味い!

店主の斉田俊さん。

長きにわたり労働者たちの胃袋を支えてきた日立食堂は、絶品メシが食べられるだけでなく、昭和の面影が今も残る貴重な場所なのだ。

※新型コロナウイルス感染症対策のため営業時間・定休日に変更の可能性あり(2019年取材)

文/岩谷雪美 写真/秋武生