家庭的なもてなしが信条の
京都木屋町・路地裏の割烹

素材本来の味を生かした簡潔明瞭な和洋折衷料理

薫風にふわりと揺れる柳の緑と高瀬川のせせらぎを眺めつつ、三条通から木屋町通に道を取り北へと歩みを進める。ゆっくり歩いて3分ほど。地図が示す場所を確認して右の路地へと曲がると、その奥にモダンな白い建物が見えてくる。

清々しく打ち水された入り口に、さりげなく「河久」の文字が染め抜かれた赤い暖簾が訪れる客を招いている。洗練されたその雰囲気に早くも心が浮き立つが、それは店に入り、この店ならではの心のこもったもてなしと、卓越した料理人の技が冴える数々の料理を味わったことで確信するだろう。

店内は和の風情を基調に、洋を取り込んだモダンな雰囲気。カウンター12席、テーブル席4卓、そしてお座敷2部屋があり、いずれも温かな間接照明が心地よさを醸す落ち着いた空間になっている。夏場は鴨川に面した部屋側に川床を設え、涼やかな情緒を堪能することができる。

料理もその雰囲気に融合するかのような和洋折衷の逸品揃い。京都近郊の素材を吟味し、素材本来が持つ味を生かした簡潔明瞭な料理を提供しているという。鮮魚は淡路から直送。肉や米は丹波や近江、宇治などの地から、野菜は京都近郊のものを中心に厳選。昭和43年(1968)に店を創業した大将の浅見恒男さんの心意気と技が、全ての料理に表れている。

夜の会席料理や一品料理はもちろん、お昼の「満月弁当」もその技が美しく集約された料理のひとつ。優雅な円形の器に配された季節感としっとりとやさしい味わいにあふれた品々。それはまさに、目と舌を愉しませる口福感に満ちた逸品だ。

「河久でいい時間をお過ごしいただけること、お客様に喜んでいただける料理を提供することを心がけ、一生のお付き合いができる店にしていきたいと思っております」と、穏やかな笑顔でそう語る二代目の浅見晶男さん。店が掲げるアットホームなおもてなし。晶男さんの温かな言葉一つひとつが、河久ならではの料理の味と姿勢を物語っている。