箱膳の中に散りばめられた季節の味をゆっくりと食す

錦の自慢は華やかな「桜宿膳料理」のコース。メインとなる桜宿膳とは2段になった塗りの箱膳のこと。昭和35年(1960)、昔、京都で商家の子どもの食初めに使われた膳などに着想を得て、当時の主人が考案したものである。

垣の門扉にも和の情緒が感じられる。渡月橋など嵐山の人気観光スポットからのアクセスも抜群で、立ち寄りやすい名店だ。

献立は月替わりで1月は俵や小槌、2月は節分、3月は桃と、四季折々の飾りつけも楽しい。自然光が窓から差し込む座敷席は明るく和の雰囲気が漂う上質な空間が広がっている。

大小様々な座敷席のほか、個室もあるので気兼ねなく食事が楽しめると評判。
店内は宴会や慶事などで使える大広間(写真)も用意している。

床の間に飾られたさりげない生け花も風流である。また庭を望む個室はまさに奥京都といった空間で、自分たちだけの時間を愉しむことができる。春は桜、夏は新緑、秋は紅葉、そして冬は雪景色と、移ろいゆく嵐山の優雅な四季の情景を楽しみながら滋味豊かなコース料理に舌鼓を打ちたい。

桜宿膳コースは5500円〜。冬はカニやスッポン鍋などもあるので別途注文してみたい(予約制)。

まずコースの先付に登場するのは「揚げからし豆腐」。香ばしく揚げた京都豆腐を土佐醤油の出汁に浸した料理で、外はサクッと中はふんわりとした食感が楽しめる。出汁に和からしをそっと溶いてほのかな風味と共に味わいたい。

そしてお造り、お椀と料理が続き、いよいよ桜宿膳の登場である。12月は上段の八寸に鶏肝山椒焼きや花丸胡瓜、かに小袖寿司など11品、下段に小海老芋含ませ煮、はじけ鱈子、青味、針生姜などが登場する。京都の四季を映したような雅な盛り付けが、古都ならではの雰囲気を醸し出している。

食事に合う酒も厳選して仕入れているので、彩り豊かな京料理と共に盃を傾けるのも一興だろう。

2月の寒ブナのお造り。横には節分を表す柊(ひいらぎ)。
ひな祭りが行われる3月には、桃の花をモチーフにした華やかな桜宿膳に変わる。