プライベートからビジネスまで活用できる腕時計は、大人の男性が着飾ることができる実用性の高いファッションアイテムである。

腕時計は自身のステータスを示すギアとなるが、夢とロマンが詰まった「懐中時計」にもぜひ注目してほしい。

職人が手掛けた懐中時計はかつて高級品とされてきたが、現代においては手頃な価格でも入手できるようになっており、そのレトロな見た目に魅了される男性はたくさんいるのだ。

そこで今回は、まさに芸術品ともいえる懐中時計の魅力に迫り、こだわりのポイントや選び方を詳しく解説していく。

懐中時計は歴史のある男のギア

懐中時計とは、ポケットやバッグに入れて持ち歩く小型の時計であり、腕時計が誕生する前から長きにわたり使用されている。

最初に懐中時計が着用されたのは、1600年代のヨーロッパといわれている。

当時は置き時計と懐中時計の間くらいのサイズで作られており、時計技師が少ないことから貴族が持つ高級品とされていたのだ。

懐中時計が日本に上陸したのは、1860年の江戸時代まで遡る。

当時のアメリカ大統領から14代目将軍・徳川家茂に、アメリカ最古・最大手のメーカー「ウォルサム」の懐中時計が送られた歴史がある。

日本で初めて懐中時計が開発されたのは1879年で、大野徳三郎が懐中時計を手工で製作して、その後、日本でも続々と時計ブランドが立ち上げられていったのだ。

デジタル化が進んだ現代でも、精密に作り込まれた機械や至高のデザインを用いた懐中時計は、多くのファンに愛されている。

腕時計ではなく懐中時計を持つメリット

ビジネスマンに重宝されるアイテムなのが腕時計だが、その腕時計ではなく、敢えて懐中時計を持つメリットがどんなものか気になる人は多いだろう。

具体的に、どのようなメリットがあるのかを活用シーンと合わせて紹介していく。

独自のファッション性の高さがある

懐中時計のチェーンをベルトループやベストのボタンホールに取り付けることで、インテリジェンスなおしゃれアイテムとなるのだ。

【懐中時計のおしゃれな身につけ方】

  • ベストのポケットに収めて、チェーンのフックをボタンホールの裏側に引っ掛ける
  • スーツなどの内ポケットに収めて、チェーンのフックをポケットの縁に引っ掛ける
  • デニムパンツなどの前ポケットに収めて、チェーンのフックをベルトループに引っ掛ける

ドレスコードのあるパーティーや女性とのデートで着用すれば、目を引くこと間違いなし。

腕時計では実現できない独自性の高いコーディネートが実現し、他人とは異なる存在感やこだわりをアピールできるだろう。

腕に装着しないため蒸れる心配がない

腕時計をしている人は、夏場にバンドが蒸れて外してしまうシーンがあるのではないだろうか。

懐中時計は腕に装着しないため、夏場でも蒸れて不快になる心配がない。

取り出しやすいポケットやバッグに入れて持ち歩くため、蒸れる心配はなく、夏場でも快適だろう。

乙なプレゼントとして喜ばれる

懐中時計は、思わず見とれてしまうような至高のデザインが施されているモデルが多く、大切な人へのプレゼントとしても喜ばれている。

値段に関しても数千円〜数十万円以上と幅が広いため、選択肢は豊富だ。

懐中時計は男性だけではなく、女性にもぴったりなモデルが数多くあるため、アンティークのおしゃれな懐中時計をプレゼントすればハートを鷲掴みにできるだろう。

懐中時計を持つデメリットについて

懐中時計を購入する際は、デメリットもしっかりと理解しておかなければならない。

具体的に、どのような点がデメリットとされているのかを解説しよう。

腕時計よりも実用性で劣る

時間を確認したいとき、腕時計は腕に目を配るだけで時間が確認できるが、懐中時計の場合はポケットやバッグから取り出す手間がかかってしまう。

また、機能面に関してもApple Watchなどの高性能なデジタル腕時計と比較するとどうしても劣ってしまう。

しかし、懐中時計に実用性は求めないという人も多いため、対して気にならないデメリットといえるだろう。

メンテナンスが大変

懐中時計はとても繊細で、隙間からゴミが入ってしまったりスマホと一緒に収納することで磁気を帯びてしまったりするため、腕時計よりも扱いが難しくなる。

また、ガラスに傷がついたり時計に遅れが出たりした場合には、懐中時計の修理に対応している専門店に相談する必要あり。

電池交換ひとつにしても、傷つきやすく繊細な懐中時計は専門家にメンテナンスをしてもらうことがおすすめされる。

種類が少ない

腕時計と比べて懐中時計の種類は圧倒的に少ないため、自分の好みのデザインを見つけるまで時間がかかるケースもある。

とことんデザインにこだわりたいなら、海外モデルを選択肢に入れる必要があり、それに伴ってコストが高くなる可能性があると想定しておこう。

懐中時計の部品の名称

懐中時計にこだわるなら、最低限の部品の名称を覚えておいた方がいいだろう。

ここでは、アンティーク懐中時計専門店「古響堂」の解説画像を参照し、各部品をわかりやすくかんたんに説明していく。

出典元:古響堂(懐中時計の部品の名称 操作上の注意
名称概要
ボウチェーンや紐をかけるための部品。
竜頭ゼンマイ巻きや時刻調整を行うための部品。
ペンダントボウと竜頭の総称。
リップ風防やケースを開ける際に、オープナーや爪を引っ掛ける部分。
出典元:古響堂(懐中時計の部品の名称 操作上の注意)
名称概要
ハンターケース時計の表面を覆う蓋。竜頭を押すと開き、竜頭を押しながら戻すと閉じる。
レバー時刻調整に使用する部品。レバーを引き出した状態で、竜頭をまわして調整を行う。
風防時計の文字盤を保護するカバーで、ガラスやプラスチックが多い。

紹介した部品の名称は、言語の上の都合で別の名称で呼ばれることもある。

懐中時計を購入する際、デザインと合わせてこれらの部品にも注目したいところ。

懐中時計の駆動方式

駆動方式とは、懐中時計の針を動かす仕組みのことであり、大きく分けて2種類ある。

  • クオーツ式
  • 機械式

これらの駆動方式は好みが分かれるポイントでもあるため、特徴を詳しく解説していこう。

初心者にも扱いやすい電池式の「クオーツ式」

クオーツとは「電子ショックによる水晶の発振」のことで、電池で針を動かす懐中時計をクオーツ式と呼ぶ。

クオーツ式は正確に時を刻み、時間の遅れが発生しづらいことからメンテナンスがほとんど不要といわれている。

電池の交換はだいたい2年〜3年に1回となるため楽だが、自分で交換しようとすると傷をつけてしまうケースがあるため、専門店のプロに頼むのがいいだろう。

クオーツ式は基本的に防水性に難があるため、水辺での使用にはくれぐれも気をつけよう。

電池不要で寿命がない「機械式」

電池が必要ない機械式は、ゼンマイを巻くことで時計を駆動させることが可能で、寿命がとても長い。

ゼンマイの巻き方で「自動式」と「手巻き式」に分けられ、多くの懐中時計は手巻き式となっている。

毎日欠かさずにゼンマイを巻く必要があるが、そのルーティン自体が好きな懐中時計マニアも多く、コレクターにも人気だ。

懐中時計のケースとこだわりのポイント

一般的な懐中時計は、手のひらに乗るサイズで真円のボディにペンダントが付いた見た目で知られているが、大きく分けると4種類のケースがある。

  • オープンフェイス
  • ハンターケース
  • ハーフハンターケース(ナポレオンケース)
  • スケルトン

上記の4種類のケースの特徴を詳しく解説していこう。

スタンダードなオープンフェイス

標準的の形であるオープンフェイスは、表に蓋がなく、ガラスやプラスチックの風防が付いたシンプルな見た目だ。

ポケットから取り出すだけですぐに時間を確認でき、内部にゴミが入りにくい構造となっている。

懐中時計の中では比較的寿命が長く、シンプルなデザインが多いため初心者も選びやすいだろう。

蓋付きのハンターケース

文字盤を保護する金属の蓋が付いた形で、表面だけに付いたタイプと裏側にもついた両面蓋タイプがある。

かつてガラスが貴重品だった時代、狩猟中のガラスの破損やゴミの侵入を守るために懐中時計に蓋を付け始めるようになり、今では蓋のデザインや装飾にこだわったモデルも販売されている。

蓋の中央部分にガラスが付いたハーフハンターケース

ハンターケースの蓋の中央をガラスにした形がハーフハンターケースで、ナポレオンケースとも呼ばれている。

蓋に文字盤が施されているため、蓋を開けずに時間を確認することが可能。

多忙なナポレオン・ポナパルトが、速やかに時間を確認できるように開発されたというエピソードが誕生の由来となっている。

ムーブメントをより楽しめるスケルトンケース

ケース全体にガラスを使用して、ムーブメントをより楽しめるようなデザインが施されているのがスケルトンケースだ。

他の懐中時計と異なるのが、ムーブメントに精密な技術で装飾を施したモデルが多く、機械式懐中時計ならではの魅力を楽しめる。

職人の技術が手間暇かけて作ったケースだけあり、価格も他のケースより高価な傾向にある。

初心者に向けた懐中時計の選び方

懐中時計は昔ながらのレトロなモデルから、近代的でスタイリッシュなモデルまで販売されているため、どれを選んでいいか悩むだろう。

そこで、懐中時計をはじめて購入する初心者に向けて、選び方のポイントをまとめてみたので参考にしてもらいたい。

  1. 文字盤は視認性とデザイン性をチェック
  2. 手入れの手間を省けるのはクオーツ式
  3. 活用シーンを想定したケース選び
  4. デザイン性を重視するならスケルトンタイプ

上記のポイントを詳しく解説していこう

文字盤は視認性とデザイン性をチェック

懐中時計の文字盤のデザインは、主に「1・2・3」という表示のアラビア数字か、「Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ」という表示のローマ字に分けられる。

時計を取り出してすぐに時間を確認したい場合は、視認性が高くアラビア数字が適しているだろう。

視認性をそこまで気にしないのであれば、おしゃれなデザインが多いローマ字の文字盤のモデルを選択肢に入れることができる。

好みはわかれるが、古き良き懐中時計を楽しみたい人には文字盤にローマ字を使ったモデルがおすすめされるだろう。

手入れの手間を省けるのはクオーツ式

説明したとおり、電池式のクオーツ式はメンテナンスの手間がほとんどかからないため、初心者でも安心して扱えるだろう。

クオーツ式は基本的に防水性が低いが、モデルによっては防水加工が施されたものもあるため、購入時にはチェックしてみてほしい。

「ゼンマイを巻いてこそ、懐中時計だ」と考えている人は、機械式も選択肢に入れてみよう。

活用シーンを想定したケース選び

4種類あるケースの選び方だが、初心者の場合は愛着が湧くようにデザイン重視でも問題ないだろう。

ただし、活用シーンをかならず想定しておくべきだろう。

たとえば、蓋がないオープンフェイスの場合、ポケットに懐中時計と何かをポケットに一緒に入れた場合に傷が付く可能性がある。

バッグに入れて持ち運んだり、頻繁に出し入れしたりするシーンが想定できる場合は、蓋付きのハンターケースやハーフハンターケースであれば安心だ。

オープンフェイスやスケルトンタイプは、スーツの内ポケットに入れるなど、文字盤が傷つくリスクが少ない場合に選ばれやすい。

デザイン性を重視するならスケルトンタイプ

デザイン性の高いモデルを選びたい場合、最有力候補となるのがスケルトンタイプだ。

職人が魂を込めてつくったムーブメントをくまなく観察できるため、部屋のインテリアやコレクションとして映えるだろう。

視認性ではなくデザイン性が重視されたモデルが多いため、時間を確認することに関して長けてはいないが、魅力的なデザインに虜となるだろう。

まとめ

16世紀頃からヨーロッパで誕生した懐中時計は、長い時を刻みながらも当時の面影をそのまま残し、今もたくさんのファンに愛されている嗜好品だ。

時計として活用できるのはもちろんのこと、インテリジェンスなファッションアイテムとしても大活躍。

4種類のケースや文字盤、駆動方式の特徴を理解すれば、自分がこだわりたいポイントを見つけることができるだろう。

これから懐中時計を購入しようとしている人は、この記事で紹介した情報をぜひ参考にしてみてほしい。

スマホが普及したこの時代にも懐中時計は独自の存在感があり、他人とは異なるステータスを示せる男のギアとなるだろう。

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