部屋を彩るお洒落なインテリアグリーンとして高い人気を誇っているエアプランツ。
エアプランツの最大の特徴は、土を必要としていない点。手間をかけずに育てられて置き場所を自由に選べるだけではなく、大切に育てれば小さくて綺麗な花が咲き、個性が豊かで豊富な種類が発売されているのも人気の秘訣だ。
不思議な形状とユニークな見た目は、エアプランツだけの唯一無二の魅力である。その独特のフォルムに魅了され、部屋を彩るアイテムにしたいと考えている方は少なくないだろう。
そこで本記事では、エアプランツの特徴、育て方、飾り方、選び方を詳しく紹介していく。独特の個性が魅力的なエアプランツに興味がある方は、ぜひ最後までご覧いただきたい。
■そもそもエアプランツとは

はじめに、そもそもエアプランツとは何なのかという点に焦点をあて、基本的な特徴、生息地、種類を紹介していこう。
●特徴
エアプランツはパイナップル科のチランジア属の仲間であり、空気中の水分に依存して生長する着生植物に分類されている。
多くの方が聞き馴染みがないであろう「着生植物」とは、生きている植物に固着して生長する植物のことだ。皆さんがイメージしやすい植物でいえば、コケや藻などがこれに該当する。
エアプランツが土を必要としない理由は、空気中の水分を吸収して生長しているからだ。根がなくても生長できる着生植物だからこそ、土がなくても生きていけるのである。
空気中の水分を吸収して生長するという特徴があるため、エアプランツは極端に大きなサイズになることはない。生長の過程も少しずつで、ゆっくりと時間をかけて大きくなっていく。
●生息地
エアプランツは世界中のさまざまな場所を生息地としている。
主な場所はアメリカ南部からメキシコに広がる砂漠地域と、ブラジルやコロンビアに広がる熱帯雨林地域の2つだ。どちらも普通の植物にとっては過酷な環境ではあるが、エアプランツは根を張らなくても生きていける着生植物なので繁殖できるのだ。
また、エアプランツは主に以下のような場所に育つ傾向がある。
・標高の高い岩場
・ジャングル
・断崖絶壁
・濃霧が発生している森
上記のような特殊な環境でも生き延びることができるのは、前述したようにエアプランツが根からではなく空気中の水分を吸収して生長できるからだ。
●種類
市場に流通しているエアプランツは多様な形態をしている。それぞれで生息地や名前は異なるのだが、大きく分けると2種類に分類することができる。
・銀葉種
・緑葉種
銀葉種は乾燥した砂漠地帯で育つエアプランツで、白いシルバーのような色味をしている。対して緑葉種は湿潤なジャングルが生息地なので、トリコームが短い緑色だ。
トリコームとは、厳しい環境で生き抜くために必要な水を取り込む器官のこと。エアプランツの表面は、トリコームと呼ばれる無数の毛に覆われている。
銀葉種と緑葉種の違いは、トリコームが多いか少ないかで判断できる。銀葉種は緑葉種よりも水を確保するのが厳しい環境が生息地なので、トリコームが長く生長しているのだ。
エアプランツという一括りでは両者は同じだが、それぞれで違う個性があるためお手入れの方法は少し異なる。細かい違いも含めて、以下で詳しく育て方を紹介していこう。
■エアプランツの育て方

エアプランツは普通の植物に比べれば手間なく育てることができるが、それでも日々の手入れやお世話は欠かせない。大切に育てることができれば綺麗な花を咲かせるため、ゆっくりと自分のペースで育つエアプランツをのんびり眺めながら育てよう。
●水やり
エアプランツの水やりは、霧吹きを使い週に2~3回行えば十分だ。
上記項目でエアプランツは空気中の水を吸収して生長すると説明している。そのため、家で育てる際も水を吹きかける必要はないと捉える方も多いのだが、これは大きな間違いだ。
エアプランツが空気中の水分を吸収して生きていける理由は、生息地である熱帯地域の湿度が極めて高いからである。日本の場合は空気中に含まれている水分量が十分ではないため、水分を与えずに放置していれば枯れてしまう。
そのため、エアプランツの水やりは週に2~3回は必須。また、その方法も独特で、以下で紹介する2つの方法を使い分ける必要がある。
・ミスティング
・ソーキング
ミスティングは、霧吹きを使い行う水やりのこと。気孔が閉じている昼間は水分を吸収できないため、原則としてミスティングで水分を与える際は夕方以降をおすすめする。
ソーキングは、水に浸して放置しておく水やりの方法だ。具体的な時間は4~6時間で、毎月必ず行うのではなく乾燥が酷い月に1回の頻度で行うようにしよう。
ちなみに、銀葉種は水分を吸収する力と乾燥に強いという特徴があるため、ソーキングは頻繁に行う必要はない。緑葉種は状態を見ながら、乾燥している時期は月1回のペースで実施しよう。
●風通し
エアプランツは、水やりをした後にきちんと乾かす必要がある。
主にソーキングだが、水に浸した後に中央部分に水が残った状態で風通しがよくない場所に放置していると、腐ってしまう原因になりかねない。そのため、水はけを良くするため逆さにしたり、風通しがいい場所へ移動して乾かすことを意識しよう。
そもそもの前提として、エアプランツは風通しがいい場所を好む性質がある植物だ。常日頃から風通しを気にする必要はないが、定期的にベランダに出してみたり、窓辺に飾ったりして風を当てるようにしてあげよう。
●日当たり
エアプランツは日当たりのいい場所に飾ると、美しい花を咲かせやすくなる。
冒頭でも説明した通り、エアプランツは大切に育てていると小さくて綺麗な花を咲かせる。鮮やかな花はピンク、青、オレンジなどさまざまで、抜群の発色が魅力的だ。
エアプランツの花を咲かせやすくするためには、日当たりのいい場所を選ぶ必要がある。直射日光を避けつつ、薄いカーテン越しに光が差し込む場所に飾るようにしよう。
■エアプランツの飾り方

手間なく育てられて土を必要としないエアプランツは、玄関、部屋の壁、トイレなど、さまざまな場所に飾ることができるお洒落なインテリアとして重宝できる。
以下の項目では、おすすめの飾り方を紹介していこう。
●陶器の中に入れてお洒落に飾る
エアプランツは土が必要ないため、あらゆる入れ物を利用して楽しむことができる。
たとえば、陶器のグラスの中に入れてみてほしい。100円ショップでもあらゆるデザインのグラスが発売されているが、色が付いた石の上にポンと置くだけでお洒落なインテリアに変身する。
陶器の皿、グラス、ブリキ缶、フレームなど、クールなインテリアと組み合わせることでエアプランツは輝きを増すだろう。
何と組み合わせるかは自由自在。置く場所を全く問わない自由度の高さは、お洒落上級者の方にとっては最高のインテリアであるといえるだろう。
●着床させることで本来の姿が見られる
エアプランツの本来の姿をインテリアとして楽しみたいのであれば、着床することを考えた飾り方をおすすめしたい。
前述したように、エアプランツは着生植物である。自然界では木、サボテン、岩などに絡みつきながら育っていくため、ありのままの姿をインテリアにしたいのであれば、着床材に固定した状態で飾るようにすると良いだろう。
おすすめは、持ち運びが簡単な木や石。厚みがなくて固定するのが難しい木の場合は、キリなどで数カ所に穴をあけておけば根付いてくれるため、しっかりと着床してくれる。
綺麗な流木は大きめのホームセンターなどで買えるため、ありのままの姿を楽しみたいと考えているのであれば、ぜひ飾り方の一案として覚えておいていただきたい。
●ハンギングで空間を有効活用
エアプランツは、空中にハンギングで吊るして楽しむことが可能だ。
最近は植物を吊るして楽しむ方法がトレンドになりつつあるため、通販サイトなどでも専用商品が多く発売されている。
しかし、空いている空間にエアプランツを飾ることで部屋全体をお洒落にすることができる一方、風当たりがよすぎて乾燥しすぎてしまうリスクも忘れてはいけない。
ハンギングでエアプランツを飾る際は、こまめな水やりを忘れないようにして、枯れるのを防ぐ対策は不可欠である。
■エアプランツの選び方

エアプランツはホームセンターの園芸コーナー、インテリアショップ、花屋だけではなく、最近は100円均一でも取り扱われている。必ず置いてあるわけではないが、値段もピンキリで種類も豊富なので、気になるエアプランツをぜひ選んでいただきたい。
以下の項目では、健康的で元気なエアプランツを選ぶ際に見るべきポイントを紹介していく。
●重量がある
同じ種類のエアプランツが並んで発売されている場合は、全てを持ってみて最も重量があるエアプランツを選ぶことをおすすめする。
その理由は、重たいエアプランツは十分な水分を含んでいることを意味するからだ。健康的な株になる条件は水分をどれだけ取り込めるかなので、実際に手に取り重量を確認してほしい。
●葉が綺麗で輝いている
葉が綺麗で輝いているエアプランツは健康的だ。そのため、色がくすんでいたり茶色になっているものはできれば避けるようにしてほしい。
とくに、緑葉種は植物らしい鮮やかな緑色が特徴的なエアプランツなので、見た目で緑色がツヤツヤしているかを簡単に判断できる。
ハダニなどによる食害に遭っている場合は黄色の変色や白斑点が出ているので、注意して葉を見ていればすぐに判断できるはずだ。
■まとめ
エアプランツの特徴、育て方、飾り方、選び方を紹介してきたが参考になっただろうか?
お洒落なインテリアとして高い注目を集めているエアプランツは、土がいらない植物なので手間なく育てることができる。作り物の植物のような見た目でありながら、生長すると綺麗な花を咲かせるエアプランツは、少しずつ育っていくため愛着も沸くはずだ。
大きく分類すると2種類ではあるが、細かい種類は数百種類にも及ぶ。1つとして全く同じ育ち方をしない植物なので、さまざまな顔を見られるはずだ。
手間なく育てられるため初心者にもおすすめされるエアプランツは、ポンと部屋に置いておくだけで目を引くお洒落なインテリアに大変身できる。植物を使い部屋を綺麗に彩りたいと考えている方は、ぜひエアプランツの購入を検討していただきたい。