コンバースの代名詞が「オールスター」であることに異論はない。しかし、定番中の定番であるがゆえ、周りの人と被ってしまうこともしばしば。
周りと被らない魅力的なコンバースを履きたいと考えている人は、ぜひCT70をチェックしていただきたい。コンバースのチャックテイラーを忠実に再現しているCT70は、日本では発売されていないにも関わらず、常に高い人気を維持し続けている人気のモデルだ。
しかし、ここでコンバースに関してあまり詳しくない人は、「なぜCT70は日本で発売されていないのか」と疑問に感じるはずだ。オールスターをはじめコンバースは国内でも高い人気を誇るスニーカーであるにも関わらず、人気のCT70は国内では発売できないのである。
そこで本記事では、CT70の特徴、国内で発売されていない理由と購入する方法、オールスターとの違い、人気の理由を紹介していく。スニーカーが好きな人はもちろん、希少価値が高いアイテムが好きな人は、ぜひ最後までご覧いただきたい。
CT70とは
はじめに、CT70とは何なのかを詳しく解説していく。そして、なぜ同じコンバースでありながら国内で発売されていないのかも紹介していくので、合わせて知識を深めていただきたい。
チャックテイラーの復刻モデル
CT70のCTは「Chuck Taylor」で、70は「1970年」を指している。つまりCT70は、1970年代に発売されていたチャックテイラーを再現した復刻モデルというわけだ。
1970年代のディティールを現代の最新技術で忠実に復刻したデザインは世界的に評価が高く、オールスターとは比較にならない程に丁寧かつ繊細に作られているというのが一般的な評価だ。
以降の説明をわかりやすくするため、まずは簡単に、コンバースの定番スニーカーである「オールスター」と「チャックテイラー」の違いを説明していこう。
それぞれ別のモデルと勘違いされるが、チャックテイラーは1930年代から1970年代に作られていたオールスターのことを指すため、厳密にいえば違いはない。
詳しくは後述するが、CT70はアメリカのコンバース社から発売されており、現在の正式名称は「CONVRESE ’70 Chuck Taylor Vintage Canvas」となっている。
日本では、正式名称の頭文字を取り、わかりやすく「CT70」と呼ぶのが一般的だ。
国内では販売されていない
冒頭でも説明した通り、世界的に高い評価を獲得しているCT70は国内では発売されていない。その理由を詳しく説明するため、まず大前提として以下の2点を押さえておいてほしい。
- コンバースには「コンバースUSA」と「コンバースジャパン」の2つの会社がある
- 海外で作られたコンバースを日本に輸入して販売することは禁止されている
コンバースは1908年にアメリカのマサチューセッツ州で創業されたが、2001年1月に倒産。企業再建に日本の伊藤忠商事が参加し、2002年4月にコンバースジャパンが設立される。
その後、2003年7月にナイキが360億円でコンバースを買収したことで、コンバースという名前を持ちながら全く違う2つの会社が日本とアメリカで誕生したのである。
つまり、世界には「日本版のコンバース」と「アメリカ版のコンバース」が存在しているということになる。日本ではコンバースの輸入販売が禁止されているため、普段ショップで見かけるコンバースはすべて日本版だ。
- オールスターを作っているのはコンバースジャパン(親会社:伊藤忠)
- CT70を作っているのはコンバースUSA(親会社:ナイキ)
日本国内では伊藤忠がコンバースブランドの商標権を所有しているため、コンバースUSAの商品を販売することは商標権の侵害に抵触するというわけだ。両企業は別の会社で資本関係もないため、コンバースUSAの商品が日本で発売されるメリットは伊藤忠には一つもない。
2010年に伊藤忠は、コンバースUSAのシューズを並行輸入していた株式会社ロイヤルを商標権の侵害で訴え、全面的に勝訴している。その結果、2010年以降は並行輸入によるコンバースの販売が国内ではできなくなったというわけだ。
国内で購入する方法
上記でも説明した通り、CT70は国内では発売されていない。それにも関わらず、Instagramではハッシュタグが作られる程の高い人気があり、購入している人も後を絶たないのが実状だ。
先に結論からいうと、CT70は日本国内でも買うことができる。
- 海外のサイト
- 古着屋
- フリマアプリ
- 通販サイト
禁止されているのは輸入販売なので、個人でCT70を購入して履く分には問題はない。
海外のサイトで直接購入するのは手間がかかり面倒、フリマアプリは偽物を掴まされるリスクがある、古着屋は置いてある店を探すのが大変ということを考えると、おすすめはAmazonや楽天などの通販サイトの利用だ。
日本国内のシューズショップではCT70は発売されていないが、通販サイトを利用すれば簡単に購入できる。しかし、通販サイトのAmazonは個人でも出品できるため、偽物を掴まないように発売している会社の情報や口コミは購入前に必ずチェックしておこう。
CT70が高い人気を集め続けている理由|7つの魅力
ここまで、CT70が国内で購入できない理由に焦点を当てて説明してきた。
ここでコンバースに詳しくない人は、なぜ日本で簡単に買えるオールスターではなく、買うのに手間がかかるCT70が高い人気を集めているのか疑問に感じているのではないだろうか。CT70には、大きく分けて以下7つの魅力がある。
- 海外限定モデルという希少性
- 最高のディティールと履き心地
- 光沢感のあるアルミ素材
- ヒールラベルの三ツ星トレードマーク
- シンプルで美しいシュータン
- 足元のシャープなシルエット
- 通気性を確保するベンチレーションホール
それぞれの魅力を1つずつ解説していく。
魅力1.海外限定モデルという希少性
CT70が高い人気を集めている理由の一つは、「海外限定モデル」という希少性の高さである。
前述したように、CT70は国内では発売されていない。そのため、主に通販サイトを利用するか海外へ行かなければ購入できないため、どこでも買えるオールスターと比べて希少性が高いのだ。
珍しいモデルの靴を履きたい、人と被りたくない、希少性が高いアイテムをゲットしたい……これらの希望にひとつでも該当する人であれば、CT70は強く推奨したい。
魅力2.最高のディティールと履き心地
CT70は現行コンバースのオールスターよりも圧倒的にかっこいい。これが多くの愛好家における一般的な評価だ。
コンバースの本場であるアメリカの最新技術で忠実に復刻されたCT70は、最高のディティール、シルエット、履き心地を実現。クッション性が高く歩きやすいだけではなく、ヴィンテージの特徴である靴が細長く見えるシルエットも完全に再現されている。
また、最上級のクォリティにより復刻したモデルであるにも関わらず、1万円前後で購入できるというお手頃価格も高い人気を維持し続けている理由だ。
もちろん、国内で製造されているコンバースのオールスターは素晴らしい。しかし、愛好家の中でCT70は最高傑作とも評価されている程の逸品なので、常に高い注目を集めてしまうのだ。
魅力3.光沢感のあるアルミ素材
3つ目の魅力は、光沢感のあるアルミ素材だ。現行品のシューレースホールはマット材質だが、CT70では光沢感のあるアルミ素材が採用されており、スタイリッシュな雰囲気と高級感を放つ。
また、シューレース部分にも違いがあり、現行品はアクリルが使用されているのに対し、CT70は綿100%でチープさをまったく感じさせない。ひと目ではわからない細かい部分だが、双方ではこれらの違いがある。
魅力4.ヒールラベルの三ツ星トレードマーク
CT70のヒートラベルにある三ツ星のトレードマークも魅力的だ。CT70には、復刻モデルだとひと目で分かるマークがプリントされている一方、現行品だと「ALL★STAR」という大きな文字が描かれている。
現行品のマークもおしゃれだが、やはりCT70の大きな三ツ星は素晴らしい。なお、このデザインは1960年代に採用されたとされており、ヴィンテージマニアからも高く評価されている。
チャックテイラーCT70の歴史とともに変化してきたトレードマークであり、マニアの中でも魅力的なポイントとして重視されている。CT70を購入した際は、ぜひヒートラベルのデザインを確認してみてほしい。
魅力5.シンプルで美しいシュータン
5つ目の魅力は、シンプルで美しいシュータンだ。現行品では「ALL★STAR」という文字がシュータンに入っているが、CT70ではラベルがなくスッキリとしている。それにより、CT70を履いているとスマートな印象を与えることができる。
また、シュータンの裏側には、名前を書く用のネームプリントが施されているのも特徴。大人っぽいデザインなので、そのネームプリントは落ち着いた雰囲気を漂わせる。
魅力6.足元のシャープなシルエット
足元のシャープなシルエットにも注目してほしい。現行のオールスターに比べて、CT70はシルエットがシャープに作られているため、より一層おしゃれな雰囲気を演出してくれる。
つま先のゴム部分の面積は小さく、外周ラインがくっきりしているのも特徴。現行のオールスターよりもスタイリッシュな印象を与えてくれるはずだ。
また、CT70はつま先やアウトソール外周に使用されているゴム素材が特別仕様である。現行モデルのように鮮やかなホワイトではなく、ヴィンテージ感漂う黄色味がかったオフホワイトが採用されている。
そのほか、つま先のラバー部分に光沢があり、汚れが付着しづらい素材が使われているのもポイントだ。長く愛用しても、清潔感を保つことができるだろう。
魅力7.通気性を確保するベンチレーションホール
通気性を確保するベンチレーションホールも魅力的だ。あまり目立たないが、アッパーの内側にベンチレーションホールが小さく2つ施されている。
このベンチレーションホールは、シューズ内にこもる熱や湿気を逃し、通気性を確保するという役割を担っている。ルーツがバスケットシューズであるがゆえのポイントだ。
なお、初めてこのベンチレーションホールが付いたのは1933年に発売されたシューズなのだが、その頃はゴムでできたソール部分に施されていた。その頃の初期デザインも、スタイリッシュで魅力的だ。
CT70とオールスターの違い
ここからは、コンバースジャパンで作られているオールスターと、コンバースUSAで作られているCT70は具体的に何が違うのかを説明していこう。
履き心地
CT70とオールスターでは圧倒的に履き心地が違う。
もちろん、オールスターの履き心地が悪いというわけではない。普通に歩く分であればオールスターでも全く問題なく、とくに違和感なく日常生活で使えるはずだ。
しかし、一度でもCT70を履いてしまえば、その履き心地の違いに驚愕するはずだ。
履き心地がここまで違う理由は、アメリカの親会社であるナイキが大きく影響している。ナイキは言わずもがな、世界でもトップクラスのスニーカー企業である。
クッション性が優れているCT70は、長時間歩いても疲れない快適な履き心地を実現している。
シルエット
CT70は最高のシルエットを実現してくれるスニーカーである。
オールスターは確かに履きやすい。しかし、つま先が太く作られていて丸みを帯びているため、靴が長細く見えるという特徴的なシルエットは作りにくいというデメリットがある。
しかしCT70は、つま先が少し反り返っていて細長いシャープな作りになっている。これにより、全体的なシルエットが細長くなり、よりかっこよく見えるというわけだ。
ヒールパッチ
CT70のヒールパッチには、1970年代と同じ三ツ星が採用されている。ヒールパッチは靴でいうとかかとに当たる部分。普通に履いていても外から見える部分なので、デザインは非常に重要だ。
CT70は復刻モデルなので、ビンテージファンの心をくすぐる三ツ星が採用されている点は高く評価できる。対してオールスターには「MADE IN JAPAN」の表記があるため、好き嫌いは人それぞれではあるが、三ツ星に比べれば、やや特別感は薄れてしまう。
また、コンバースジャパンのヒールパッチに記載されている「MADE IN JAPAN」は、長く履いていると刻印が消失されていくというデメリットがある。薄れていく文字は使い古されている印象を与えてしまうため、そういった意味でもヒールパッチの良さはCT70に軍配を上げたい。
シューレース
CT70とオールスターはシューレースにも違いがある。
CT70がコットン100%なのに対して、オールスターではポリエステルなどの混合素材をシューレースに利用している。その結果、CT70がふわふわとした柔らかい印象になり、オールスターがカッチリとした印象を与えている。
この部分に関しては完全なる好みである。単純に見た目の好き嫌いになるため、自分の好みに合う方を選択しよう。
サイドステッチ
CT70と現行品のサイドステッチにも注目してほしい。CT70には薄くサイドステッチが施されているが、日本企画のオールスターには採用されていない。つまり、CT70のみに採用された特別なディテールなのである。
また、このサイドステッチの裏側には、補強生地が縫い付けられている。この補強が理由でサイドステッチが施されているわけだが、耐久性に違いがあるのかどうかは不明である。
CT70は多彩なコラボ商品を展開している
続いて、CT70のコラボ商品について解説する。CT70はオリジナル商品だけでなく、さまざまなコラボ商品を展開している。今回は代表的な以下6つのコラボ商品を紹介する。
- 「Keith Haring」
- 「Kim Jones」
- 「COMME DES GARÇONS PLAY」
- 「RICK OWENS DRKSHDW」
- 「7 Moncler Fragment Hiroshi Fujiwara」
- 「CARHARTT WORK IN PROGRESS」
CT70のオリジナル商品とは一味違った魅力が備わっているため、ぜひ以下の詳細を確認してみてほしい。
「CONVERSE CT70」と「Keith Haring」
初めに紹介する「CONVERSE CT70」と「Keith Haring」のコラボ商品は、ひと目で分かる「キース・ヘリング」氏のイラストが反映された特別なCT70だ。そのイラストは、アッパーからソールにはみ出るほど大きく描かれているが、独特な表現によって上品さを感じられる。
「CONVERSE CT70」と「Kim Jones」
続いて紹介するのは、英国のファッションデザイナー「キム・ジョーンズ」氏とコンバースがコラボした商品だ。半透明のTPU素材で覆われたアッパーや、独特なミッドソールのラバーなど、従来のCT70には見られないデザインが盛り込まれている。
CT70にはライトな雰囲気があるが、今回のコラボ商品では重厚感のある落ち着いた雰囲気が漂っている。また、シュータンには「Kim Jones」のロゴが印刷されている。
「CONVERSE CT70」と「COMME DES GARÇONS PLAY」
「COMME DES GARÇONS PLAY」のトレードマークであるハートに目が描かれたイラスト。このイラストは、世界的に知られているグラフィックアーティストの「フィリップ・パゴウスキー」氏が発案したものだ。
コラボ商品では、この可愛らしいイラストがCT70をベースにしたシューズにプリントされている。サイドはオフホワイトで統一されており、可愛らしい雰囲気を漂わせる。女性と男性のどちらからも人気がある。
「CONVERSE CT70」と「RICK OWENS DRKSHDW」
「RICK OWENS DRKSHDW」は、「リック オウエンス」氏によって厳選されたファッションブランドだ。デニムを中心にさまざまなファッション商品を展開しており、世界屈指のハイブランドとして多くの方に愛用されている。
その「RICK OWENS DRKSHDW」とコラボしたことで、個性的なフォルムのシューズが完成した。特にシュータンの主張が激しく、コンバースにはない独特な個性を放っている。
「CONVERSE CT70」と「7 Moncler Fragment Hiroshi Fujiwara」
続いて紹介するのは、「CONVERSE CT70」と「7 Moncler Fragment Hiroshi Fujiwara」がコラボした特別なシューズだ。トップデザイナーである「藤原ヒロシ」氏が手掛けるブランドとのコラボにより、ロックテイストで少し派手になったCT70が実現した。
従来のライトな印象からかけ離れ、一味違うおしゃれな雰囲気を漂わせている。いつもとは違うデザインを、ぜひその目で確かめてみてほしい。
「CONVERSE CT70」と「CARHARTT WORK IN PROGRESS」
アメリカで古くから愛されているワークウェアブランドの「CARHARTT WORK IN PROGRESS」ともコラボしている。迷彩チックなスタイルがなんとも可愛らしい。カーハートのブランドロゴも、CT70の良さを引き立てている。
カーハートとコンバースは度々コラボしており、特徴的なデザインのシューズを多数展開している。人目を引く派手なデザインが多い印象だ。
コンバースCT70の偽物を見分ける5つのポイント
最後に、コンバースCT70の偽物を判別するポイントを5つ紹介する。世の中にはCT70の偽物が多く出回っている。安値で売られているとつい買いたくなってしまうが、購入前にその商品が本物なのかどうかを必ずチェックしよう。
- 商品コード
- シリアルナンバー
- 製造番号
- インソール裏の色
- かかとロゴのヒールパッチ
それぞれのポイントを順番に解説していく。
ポイント1.商品コード
1つ目のポイントは商品コードだ。CT70のどの商品にも、必ず商品コードが付与されている。商品タグと箱に記載されているコードが異なっていると、偽物である確率が非常に高くなる。
たまに本来の商品コードであるシールの上に別のシールが貼られていることもあるため、その場合は剥がしてから確認しよう。
ポイント2.シリアルナンバー
本物かどうかは、シリアルナンバーでも見分けることができる。CT70のシリアルナンバーは、シュータンの裏に13〜14桁の英数字で記載されている。
このシリアルナンバーは左右に別々のナンバーが振られているのだが、偽物の場合は、左右とも同じナンバーが振られているのだ。ぜひ注意深くチェックしてみてほしい。
ポイント3.製造番号
判別する3つ目のポイントは製造番号だ。製造番号は前半2文字、中央4文字、後半3文字で記載されている。
箱と商品に記載されている製造番号がそれぞれ異なっている場合は、まず偽物と言っていいだろう。商品コードと同じく、箱と商品で番号が一致しているかチェックしよう。
ポイント4.インソール裏の色
本物と偽物では、インソール裏の色が異なる場合がある。本物のCT70は白と黒で構成されていることが多いが、偽物はグレーのみで構成されていることが多い。
とはいえ、インソール裏の色は本物・偽物に限らず、商品や年代によって多少異なる場合があるため、参考程度に留めておこう。
ポイント5.かかとロゴのヒールパッチ
かかとロゴのヒールパッチも判断材料の1つとなる。本物はロゴデザインのバランスが良く、形全体が整っている。一方で、偽物のCT70は若干左側に寄っていることが多く、少しダサく見えてしまう。
ヒールパッチが異なる場合はほかの要素でも判別可能であるため、おまけ程度に覚えておこう。
まとめ
CT70の特徴、国内で買えない理由、買う方法、愛され続けている理由、オールスターとの違いを詳しく説明してきたが参考になっただろうか。
厳密にいえばCT70もオールスターではあるが、国内で発売されている現行モデルとはデザインも機能性も大きな違いがある。もちろん個人の好き嫌いもあると思うが、CT70がコンバース愛好家から高く評価されているモデルであることに異論の余地はない。
国内のシューズショップでは発売されていないが、ネット通販などを通して購入することは可能なので、ぜひお気に入りのCT70を見つけていただきたい。