ゴッホやピカソなどの芸術家も愛して止まなかった、ヨーロッパ生まれの秘酒「アブサン」。知る人ぞ知るお酒なのであまり見かけることはないが、一部のコアなファンには非常に人気がある。そんなアブサンの魅力と飲み方について解説していく。

芸術家たちが愛した「アブサン」の魅力

アブサンは世界的にも珍しい薬草系リキュールだ。「ニガヨモギ」「アニス」「フェンネル」「メリッサ」「ヒソップ」などハーブを主成分としており、銘柄は実に400種類を超える。

銘柄によって違いはあるが、エメラルドグリーンのような色をしていることが多く、アルコール度数は40度から90度を超えるものまである。ハーブの風味と香りが特徴的で、独特な甘さがあるため意外と飲みやすい。

アブサンはスイス発祥のお酒で、値段も安かったことから19世紀のパリで大流行し、あらゆる生産者がアブサンを作っていた。しかし、あることが原因で世界的に製造・販売禁止となっていたのだ。

その原因となったのは、ニガヨモギに含まれている「ツヨン」という精油成分で、この「ツヨシ」が幻覚や錯乱を引き起こすと疑われたからだ。アブサンはゴッホやピカソやランボーなど名だたる芸術家が好んで愛飲していたとされるが、ゴッホに至っては、ツヨンの幻覚症状が原因で耳を切り落としたのではないかと言われている。そのためか「悪魔の酒」と称された時期もあった。

1981年に世界保健機関 (WHO)がツヨシの許容量を設けたことで製造が再開され、現在では安全基準を満たしたアブサンだけが流通している。

アブサンを味わう。伝統的な飲み方からカクテルまで

アブサンには他のお酒にはない唯一無二の伝統的な飲み方があるので紹介していく。

クラシックスタイル

フランス生まれの伝統的なスタイル。必要なものは、角砂糖と穴のあいたアブサンスプーン、そして「アブサンファウンテン」と呼ばれる陶器やガラス製の専用給水器。この給水器がなくとも通常の水差しでも代用可能だ。アブサンを少し入れたグラスに、角砂糖を置いたアブサンスプーンをそえ、給水器から水を少しずつ垂らしていく。角砂糖がとけるまで水を垂らしていくのだが、水を加えるごとに白く濁っていく様子は何度見ても不思議である。

ボヘミアンスタイル

これはチェコで20世紀後半に生まれたとされる比較的新しい飲み方だ。まずショットグラスに氷を入れ、クラシックスタイル同様アブサンスプーンの上に角砂糖を置く。そして、角砂糖のおかれたスプーンの上にアブサンを注ぎ、火をつける。溶けたら水を垂らして火を消し、スプーンでかき混ぜて完成だ。

柑橘系ジュースとカクテル

独特のハーブの匂いが苦手な方は、オレンジなどの柑橘系ジュースと割って飲んでみてはいかがだろうか。柑橘系の爽やかな香りが、アブサン独特の香りを中和してくれ、飲みやすくなる。

自分好みのスタイルで、芸術家も虜にした秘酒をぜひ堪能してほしい。