37587初心者でも愉しく!わかりやすく! ウイスキーの秘密 A to Z

初心者でも愉しく!わかりやすく! ウイスキーの秘密 A to Z

男の隠れ家編集部
編集部
ウイスキーはハードルが高い? そんなことは全くない。誰もが美味しく愉しんでこそ造り手も幸せを感じてくれるはず。味わいをより豊かにするであろうちょっとした知識をご紹介しよう。
目次

A|Area【地域・生産地】

ウイスキー生産国は世界でおおよそ30カ国。そのうちスコットランド、アイルランド、アメリカ、カナダ、日本が5大産地だ。しかし現在では様々な地域でクラフトウイスキーも造られる。地域の風土や原料穀物が違えば味も違ってくる。

A|Age【熟成年数】

ウイスキーたる条件のひとつは、木樽で熟成すること。熟成する年数はスコッチやアイリッシュ、カナディアンは3年以上、ストレートバーボンは2年以上と規定されている。ジャパニーズウイスキーには、その年数の規定はない。

A|Angels’ share【天使の分け前】

樽で熟成中に原酒は少しずつ蒸発して減る。スコッチの場合、年に約2%が失われるという。これを“天使が愉しんでくれた分”と考えるのはなかなか素敵なこと。一方、樽の木材に染みこんで減った分は「悪魔の取り分」と呼ぶ。

B|Barley【大麦】

寒冷な気候でも育つ大麦は、ウイスキー原料となる穀物の代表だ。スコッチやジャパニーズのモルトウイスキーでは、発芽させた大麦(大麦麦芽)を使う。品種には二条大麦と六条大麦があり、それぞれ使い方も違う。

B|Blender【ブレンダー】

複数の原酒の特色を判断して、最も適したブレンド比率を判断する、重要な役割。写真/PIXTA

シングルカスク(単一の樽から瓶詰めしたもの)以外、熟成を経た原酒はブレンドされ、そのブランドでこその味わいにする。その専門職がブレンダー。味・香り・色など細心に見極める真のプロだ。

C|Cask【カスク・樽】

樽でじっくりと熟成を待つウイスキー。樽の材質、来歴によって香りや味、色も変わる。写真/遠藤 純(秩父蒸溜所)

熟成するための樽は保管する容器としてだけでなく、ウイスキーの味わいに重要な役目を果たす。香味の60~70%は樽とスピリッツの相互作用から生まれるともいう。素材はオーク。北米産ホワイトオークの新樽はバーボンとテネシーウイスキー、シェリー、ワインなどに使い、その後スコッチ、アイリッシュ、カナディアン、ジャパニーズに再利用される。

ヨーロッパ産コモンオーク樽は主にスペインのシェリーに使った後のものをウイスキー用にする。日本では固有種のオークであるミズナラも使われる。樽のサイズは主に4種類。容量が小さいほど原酒と樽の接触面積が大きくなり、熟成も早まる。

C|Corn【トウモロコシ】

コーンウイスキーとストレートバーボン、テネシーウイスキーは「デントコーン」というトウモロコシを使う。バーボンと名乗るには穀物原料の51%以上がトウモロコシの必要がある。

D|Definition【定義】

ウイスキーの定義の詳細は国によって違うが、基本的に3つの条件が必要。

1.大麦、ライ麦、小麦、オート麦、トウモロコシなどの穀物が原料。
2.麦芽などで糖化の後、発酵させてできたアルコールを含む溶液を蒸留した酒であること。
3.木樽で熟成させる。

ブランデーは蒸留酒を木樽熟成させるが、原料が果実なのでウイスキーではない。

E|Eating【食事】

軽いツマミならナッツやチーズ、チョコレートなどが定番だろう。

海外ではウイスキーは食前酒、食後酒であり、食中酒にすることはない。しかし日本では1970年代から食事と共に水割りを愉しんできた。薄めの水割りやハイボールは銘柄を選べば和食にも合う。

F|Fermenter【発酵】

木製の発酵槽が伝統的に使用されてきたが、近年は管理が容易なステンレスを使う場合も。写真/遠藤 純(秩父蒸溜所)

糖化させた麦汁は冷却し、ウォッシュバックと呼ぶ発酵槽に移して酵母を投入する。糖分は酵母の活動によってアルコールと二酸化炭素に分解されていく。酵母の種類や発酵槽の材質、発酵時間などによって、多種多様な香味が生まれていく。

F|Finish【フィニッシュ】

フィニッシュでより複雑な香りに

樽を詰め替えて追熟させること。ウイスキーを熟成の途中で、シェリー、ポートワイン、コニャック、ラムなどの空き樽に移し、短期間熟成させることで、さらに別の香味を加える。カスクフィニッシュ、ウッドフィニッシュともいう。

G|Grain【穀物】

原料穀物としてスコッチやアイリッシュ、ジャパニーズで最も重要なのは大麦。特に発芽させた大麦(モルト)は必須だ。アメリカン、カナディアンで重要なのはトウモロコシ、ライ麦。他、小麦、オート麦等も使う。

G|Gaelic【ゲール語】

ゲール語は古代ケルト語にルーツを持ち、スコットランドやアイルランドなどで今も使われる言語。スコッチやアイリッシュにはゲール語銘柄が多く、例えば「GLEN〜」は「〜の谷」、「ARDBEG」は「小さな丘」の意味。

H|How to make【造り方】

モルトウイスキーとグレーンウイスキーは、原料と発酵にかける時間、蒸留方法が違う。貯蔵熟成した後、味わいが均一になるよう各樽の原酒をいったんミックスし、再度樽に入れて後熟(蒸溜所による)。多種類のモルトウイスキーとグレーンウイスキーを合わせるとブレンデッドウイスキー。

I|Independent Bottlers【独立瓶詰め業者】

各蒸溜所から原酒を樽ごと買い、ボトリングして売る業者のこと。ブレンデッドウイスキーが主流のスコットランドで、樽を選んで買い付けることで、個性豊かなシングルモルトを提供してきた。これらをボトラーズブランドと呼ぶ。

J|Japan【日本】

豊かな森と水が育んだ味

スコットランドで学んだ竹鶴政孝の技術を元に、寿屋(現サントリー)が始めた国産ウイスキー造り。緻密な製法や独自の気候風土が生む繊細な味わいは、今では世界的に評価されている。特に近年はシングルモルトの人気が高まった。

K|Key Malt【キーモルト】

ブレンデッドウイスキーを作る時に主軸とするモルトウイスキー。ブランドごとにキーモルトは決まっており、数種を使用することも。例えば「バランタイン17年」は40種の原酒をブレンドし、うち、キーモルトは7種。

L|Label【ラベル】

ラベルには銘柄(シングルモルトは蒸溜所名、ブレンデッドはブランド名)、内容量、酒類品目、アルコール度数などの表示が義務づけられている。創業年や歴史、製法などが記載されているものも多い。樽の材質、ピートの強さなどもラベルの記述から読み取れば、味わいが想像できる。近年は熟成年数をあえて表示しないシングルモルトも。

M|Malt Whisky【モルトウイスキー】

原料穀物を大麦麦芽100%で仕込んだウイスキー。発芽を止めて保存性を高めるためにはピートや無煙炭で乾燥させる。蒸留はポットスチルで2回または3回。その後、樽熟成させる。

N|Nosing【ノージング】

ウイスキーをテイスティングする時、鼻をグラスに近づけて嗅ぐこと。口に含んでは気づきにくい香りも、強く印象に残る。ワインより度数が高いので、ゆっくりと。わずかな水を垂らすのもいい。

O|Official bottle【オフィシャルボトル】

独立瓶詰め業者のボトルに対し、蒸溜所が自社で販売まで行うもの。その蒸溜所が目指す味を表しやすい。複数樽からヴァッティングする場合がほとんどで品質、量共に安定している。個性的なボトルも多い。

P|Peat【ピート】

15cm堆積するのに約1,000年かかるというピート。春に切り出し、数カ月かけて天日乾燥させて燃料にする。写真/PIXTA

寒冷地の湿原で、シダや苔類、灌木、ツツジ科エリカ属の低木ヘザーなどが堆積して出来た泥炭。スコットランドでは古くから家庭での燃料にされた。アイラ島では全島の1/4がピート湿原に覆われている。これを麦芽の乾燥熱源に使ってきたことで、スコッチウイスキー特有のスモーキー、ピーティといわれる香りが生まれる。

写真/PIXTA

P|Potstill【ポットスチル】

モルトウイスキーで古くから蒸留に使うのがポットスチル(単式蒸留器)。素材は金属の中で最も熱伝導の良い銅。仕組みは同じでも大きさや形の違いで酒質は変わる。グレーンウイスキーではコラムスチル(連続式蒸留器)を使う。

この仕組みは錬金術の時代から!

発酵液を胴部に入れて加熱。高温の蒸気は冷却器を通る際に凝縮されたアルコールになる。望む香味を取り出すのが蒸留職人の技。

Q|Queen & Whisky【女王】

王室御用達のスコッチ

スコッチは歴史的に王室と関連が深い。中でも「ローヤルサルート」は1953年のエリザベス2世戴冠式に由来。またボウモア蒸留所では1980年に女王が訪ねた際に樽詰めした原酒を、戴冠50年の2002年に開けて献上した。

「ローヤルサルート」とはイギリス海軍が打ち鳴らす「皇礼砲」のこと。元は戴冠式用の限定品だった。

R|Rack Storage【ラック式熟成庫】

サントリー白州蒸溜所(提供/サントリーホールディングス(株))

原酒を保管する熟成庫にはいくつかの方式があるが、今は鉄製の巨大な棚に横向きで並べるラック式が主流。温度や湿度の違いを考慮し、周期的に樽の場所を入れ替える蒸留所もある。

S|Single malt【シングルモルト】

1カ所の蒸溜所で仕込んだモルトウイスキーのこと。複数樽を混ぜ、一定の品質に安定させたものや、ひとつの樽から瓶詰めしたシングルカスクがある。

T|Taiwan【台湾】

近年の注目が台湾のシングルモルト「カバラン」。ウイスキーは寒冷な地で造るという常識を覆し、多くの賞を受賞。亜熱帯らしいトロピカルな味わい。

U|Uisge Beathe【命の水】

ラテン語の「アクアヴィテ=命の水」をゲール語に訳したのが「ウシュクベーハー」。水を意味するウシュクが訛っていくうちに「ウイスキー」になった。

V|Vatting【ヴァッティング】

複数の樽のモルトウイスキーを大桶でミックスすること。樽ごとに微妙に違う味わいを平準化する。ヴァットとは大きな桶の意味だ。異なる蒸溜所間でのヴァッティングもある。

W|Whisky or Whiskey?【ウイスキー】

スコットランド、カナダ、日本はWhisky、アイルランドはWhiskeyと表記する。これはウイスキー元祖を争ったアイルランドがスコッチとの違いを示したためとも。アイルランド系の創業者が多かったアメリカもWhiskeyが多い。

X|Xmas【クリスマス】

クリスマス限定ウイスキーを出す蒸溜所もある。有名なのは「バランタイン」。他アイラ島の「ビッグピート」、ハイランドの「ウルフバーン」なども。ホットウイスキーで愉しむのもいい。

Y|Yeast【酵母】

糖化した穀物ジュースを発酵させ、アルコールを生じさせるのは酵母(イースト菌)の働き。各蒸溜所では目指す味わいに即した酵母を大切にしている。中には数十年以上伝え続ける酵母も。

Z|Zoom【急上昇】

ハイボール人気はなぜ?

日本でのウイスキー人気急上昇の立役者はハイボールだ。発祥はスコットランドやアメリカと諸説あるが、炭酸の刺激が爽やかで料理にも合うことで若い世代に受けた。唐揚げ&ハイボールのCMも大きな効果が?

文◎秋川ゆか

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