6511冬の登山服装ガイド|低山や雪山に備える防寒対策と基本装備

冬の登山服装ガイド|低山や雪山に備える防寒対策と基本装備

男の隠れ家編集部
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登山の愛好家の中には、冬山は未経験という方も多いだろう。安全に冬山を楽しむためには、服装選びに十分な注意が必要だ。防寒や防水など、厳しい冬の気候に対応したものを選ばなければならない。そこで今回は、冬の登山に最適な服装について紹介する。
目次

凛とした空気に、青く澄み渡る空。冬山には冬山にしかない魅力があり、憧れを持つ登山家は多い。登山初心者なら、積雪の少ない高尾山や筑波山が挑みやすいだろう。

しかし、いかなる山であっても冬の登山はリスクが高まる。冬山に挑戦する前に、ふさわしい服装や小物を揃えておこう。

冬登山の服装で重視すべき3つの性能

冬登山の服装で特に重要となるのが、「防寒性」「防水性」「透湿性」の3つだ。昨今では「モンベル」や「パタゴニア」など、各人気メーカーが高性能なウェアを多数リリースしている。冬山では思わぬアクシデントも起こりうるため、冬の気候に十分耐えられるものを準備しよう。

防寒性(保温性)

冬用の登山ウェアでもっとも重要なのが、防寒性である。ただし、街歩きのようにただ単に重ね着をすればいいというわけではない。というのも、たくさん着込んだ状態で山に登ると、衣服の重みで疲労が増してしまうからだ。高い防寒性はもちろん、軽くて動きやすい服装が求められる。

防水性

冬は、たとえ低山であっても雨や雪に見舞われる可能性がある。衣服に水が染み込むと、寒さと疲労で余計な体力が奪われてしまう。そのため、冬山では完全防水の服が必要となる。木の枝や岩にぶつかり、破損した部分から水が染み込むことも多いため、防水性と耐久性を兼ね備えたものを選ぼう。

透湿性

透湿性とは、水蒸気を生地の外に逃がす性能のことをいう。登山をすれば当然汗をかくが、この汗がインナーに染み込み、不快感が増す。それだけならまだしも、染み込んだ汗によって急速に体が冷えてしまうのだ。疲労や体調不良を招くおそれもあるため、汗を外に放出する機能は必要不可欠といえるだろう。

トップス選びの基本は「レイヤリング」

ウェアを「アウター」「ミッド」「ベース」の3つのレイヤーに分け、天候や運動量に合わせて脱ぎ着することを「レイヤリング(重ね着)」という。冬の登山では適切なレイヤリングが重要だ。ここからは、冬登山で活躍するトップスの特徴を分類ごとに見ていこう。

アウター

一番上に着用するアウターには、風・雨・雪から体を守る役割がある。冬山向けのアウターとして主流なのは「ハードシェル」と呼ばれるタイプ。防寒性や防風・防水性、透湿性に優れる上、固くて破れにくいタフな素材でできている。

ただし通気性やストレッチ性には乏しいため、快適さを優先し雪や大雨の心配がないのであれば「ソフトシェル」タイプのほうがおすすめである。ソフトシェルのジャケットは動きやすく蒸れにくいため、スポーツやキャンプにも適している。ただ、こちらは完全防水ではないため厳しい気象条件下では注意が必要だ。

中間着(ミッドレイヤー)

アウターのすぐ下に着用する中間着(ミッドレイヤー)は、主に保温性の確保が目的となる。現在はフリース素材のものが主流だ。晴天であれば中間着だけで行動する場合もあるため、分厚すぎるものはあまり適さない。中間着は、「モンベル」などの各アウトドアメーカーが何種類も出しているが、冬登山なら中厚手のものを選ぼう。

また登山用ではないが、「ユニクロ」のフリースでも問題ない。メンズ・レディース共にカラーやサイズが豊富で、普段着としても活用できる。有名ブランドよりも価格が安いため初心者にもおすすめだ。

肌着(ベースレイヤー)

肌に直接触れる肌着(ベースレイヤー)は、吸水速乾性と保温性が特に重要となる。素材はウールやポリエステルが多い。両素材を比較すると、保温性はウールのほうが優れているが、速乾性に関してはポリエステルに軍配が上がる。運動量や発汗量、気象条件に応じて使い分けよう。冬山には中厚手〜厚手のものが適している。

防寒用セーター

休憩中やテント生活中は予想以上に冷え込むため、中間着の上にセーターやフリースを着用して寒さをしのぐ。特に厳冬期の場合、こうした防寒着は最低2枚用意しなければ寒さに耐えられないだろう。防寒が目的であるため、厚手〜極厚のものを準備しよう。防寒性の高いものであればユニクロなどでも十分だ。

合わせて用意したいアイテムまとめ(下半身・小物)

冬登山では小物の選び方も重要だ。日帰りで低山に登る場合は、それほど重装備である必要はないが、いずれ本格的な雪山に挑戦したいのであれば、最初から冬用のアイテムを揃えておくのがおすすめだ。

パンツ

下半身もレイヤリングが必要である。極寒の雪山であれば、肌着(またはタイツ)・パンツ・オーバーパンツ(ハードシェルやソフトシェル)と重ね履きする場合もある。肌着の上に重ねるパンツは、フリース素材など保温性に優れたものを選ぼう。

日帰りの低山登山であれば、肌着やタイツのすぐ上にソフトシェルを着用する人や、夏用のトレッキングパンツを流用する人もいる。肌着はウール素材など暖かいものがおすすめだ。

帽子

ニット帽を単体で購入してもよいが、特におすすめなのは帽子にもなる2wayのネックウォーマー。このようなタイプのネックウォーマーは、一般のファッションブランドからも発売されているため、男女共にデザイン性の高いものが多い。ウェアとのコーディネートを楽しみたい女性にも嬉しいアイテムだ。

目出し帽

強風や吹雪が予想されるのであれば、目出し帽を用意しておくとよいだろう。目出し帽の多くはネックウォーマーとしても使うことができる。帽子にもなる2wayのネックウォーマーと組み合わせれば、頭部・口元・首の3つすべてをカバーしてくれる。吹雪の中、テントで眠る際にも目出し帽は重要となるため、雪山でテント泊をする場合は必ず準備しておこう。

手袋(グローブ)

冬は手元もレイヤリングが必要だ。インナーグローブにオーバーミトン(またはオーバーグローブ)を重ねる場合や、インナーグローブの下にさらに速乾グローブを着用する場合もある。

ミトンタイプは保温性が高いが、2本または3本指のため作業性に欠ける。5本指のグローブタイプは作業性こそ高いものの、保温性ではミトンタイプにやや劣る。気候に合わせた手袋選び、レイヤリングを心がけよう。ストーブなど火を扱う予定があるのなら、軍手も準備しておくとよいだろう。

靴下(ソックス)

靴下のレイヤリングは、薄手の靴下の上に厚みのある靴下(ウールや毛糸など)を重ね履きするのが基本だ。人によっては3枚重ねる場合もあるが、足元が寒くなければどのようなスタイルでも問題ない。一番下に履く薄手の靴下は、速乾性に優れたシルクやポリエステルのものがおすすめだ。

ロングスパッツ

雪山の場合は、登山靴に雪や泥などが入り込まないよう、膝丈のロングスパッツ(ロングゲイター)が必須である。冬の厳しい環境にも対応できるよう、多少の重量はあっても、スパッツの下部分が十分補強されているものを選ぼう。優れた耐久性を持つ厚手のリップストップナイロンや、ウレタンコーティングされたナイロンのものがおすすめだ。

冬山用の靴選びは、保温断熱性やサイズ感が重要。冬は凍傷のリスクがあるため、しっかりとした保温材(中綿)が入った靴が必要となる。また、アイゼンが取り付け可能かどうかもポイントだ。

なお、冬は靴下を重ね履きするため、夏用の靴とはサイズ感が異なる。購入時には必ず試着して、フィット感や歩きやすさを確かめておこう。

冬登山ではどうしても装備が多くなりがちだが、安全に登山を楽しむためには何よりも妥協しないことが大切だ。さまざまなメーカーの商品を比較して、自分に合ったものを揃えよう。


登山を安全に楽しむための事前準備

山登りの前には、登山計画書(登山届)の提出が欠かせない。登山計画書とは、山に登ってから下山するまでのプランを事前に記載・提出する書類のことである。登山計画書=マナー程度に考えている人もいるかもしれないが、登る山の下調べをすることで無計画な登山を防ぎ、いざというときにもより適切な対処を行えるようになる。

登山計画書には決まった書式というものはなく、記載内容は登山者の裁量に任されている。何を書けばよいのか悩むかもしれないが、届を提出する意味を考えると、

・各登山者についての情報(氏名、年齢、生年月日、性別、住所、携帯電話番号、緊急連絡先、保険加入の有無、服装の特徴)
・登山の日程(入山予定日時、経由地の到着日時、下山予定日時)
・登山ルート(登山口、経由地、下山口、エスケープルート)
・ 携行品および食糧(食糧については何日分あるか)

これらの情報は最低限記載しておくべきである。日本山岳協会(JMSCA)や警察署によっては、オンライン上でひな形を公開しているサイトもあるので、慣れないうちは利用するといいだろう。書き終えたら、各自治体の警察署に提出して完了となる。

万が一遭難した際、捜索活動や範囲の幅を絞ることができ、よりスムーズな捜索を進めるために必要な登山計画書。さらに詳しく知りたい人は下記のコンテンツを参考にしてほしい。

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