美しい幾何学模様を重ねる万華鏡。小さいころ、工作で作った人も多いのではないだろうか? 三枚の鏡板を三角に組み立てた簡単な構造ではあるが、その反射の仕組みは実に複雑だ。今回は万華鏡のどのような光の仕組みによってあの不思議な世界が生み出されるのか、その秘密を解き明かしていく。

万華鏡の基本的な構造を知ろう

万華鏡は、約200年前にスコットランドで発明された。物理学者のデイビット・ブリュースターが、灯台の光がより遠へ届くように、鏡の組み合わせ方を研究している際に生まれた偶然の産物である。

万華鏡は主に、オブジェクトと鏡(ミラー/ミラーシステム)、それから本体(ボディ)の3つからなる。まずオブジェクトとは、万華鏡で見る模様の元となるパーツのことだ。ビーズやスパンコールのような、素材を入れたケースのことで、この中で、ビーズやスパンコールがさまざまな形をとり、あの美しい映像を紡いでいく。

次に鏡(ミラー/ミラーシステム)とは、模様を映し出す鏡の組み合わせのことだ。鏡がオブジェクトを映し出すことによって、万華鏡の美しい映像が作り出されている。鏡の組み合わせ方によって、映し出される映像は無限の変化をみせていく。

最後の本体(ボディ)とは、ミラーとオブジェクトを収納する箱のことだ。とはいっても、単なる収納の役割にはとどまらない。本体は万華鏡の外観になるものであり、その万華鏡のイメージに大きく影響する。木の素材を使ったり、絵を書いたりして、個性を大きく打ち出せるだろう。

懐かしき光の世界。万華鏡の映像が作られる仕組み

次に、なぜ万華鏡の美しい映像が生成されるのか、仕組みについてみていこう。万華鏡の内部では、2枚以上の鏡(ミラー/ミラーシステム)がオブジェクトを映し出す。この鏡同士で反射を繰り返すことによって、万華鏡を覗き込んだときにえも言われぬ複雑な映像が作り出されているわけだ。

鏡(ミラー/ミラーシステム)は、万華鏡にとってもっとも重要な部分だ。この部分には、鏡の組み方にいくつかの種類があり、どれを選ぶかで映像の特徴が変わる。

たとえば、一般的な「スリーミラーシステム」は、3枚の鏡を三角形に組み合わせたものだ。鏡が正三角形に組まれているなら、正三角形に囲まれた実像を中心として、周囲三辺にその映像が映し出される。この反射が無限に繰り返され広がっていくのがスリーミラーシステムの特徴である。

また、「ツーミラーシステム」は、2枚の鏡と黒い紙によって三角形を作ったタイプだ。ツーミラーシステムでは2枚の鏡同士で反射し合うことにより、円形の映像が生成される。均等に切り分けられたホールケーキをイメージすると分かりやすいだろうか。美しく飾りつけられたケーキの1ピースが鋭角部分を中心にしていくつも連なり、ホールケーキの形(円形)にまとまっている場面を想像してほしい。それと同様に、2枚の鏡で作られた鋭角部分を中心に、同じ映像を円形に連ねて1つの映像を作り出しているわけだ。

そのほかにも、鏡を4枚使ったもの、幅の異なる鏡を組み合わせたものなど、鏡の組み方は様々だ。このように鏡(ミラー/ミラーシステム)によって、万華鏡の映像は多彩な広がりを見せている

子どもの頃、お菓子の付録についていた万華鏡を覗いたときの感動は、今でも色濃く胸の奥に焼きついているはずだ。今では万華鏡ばかりを集めた博物館もある。あの頃の記憶を求めて、足を運んでみるのも楽しいだろう。