11391都会的なフォルムの持ち主ながらいつでも自然の中へ飛び出す事が可能な「ボルボV60クロスカントリーT5 AWD PRO」 を試乗。冬の道南で雪道と史跡を堪能するワイルド&アカデミー・ドライブ

都会的なフォルムの持ち主ながらいつでも自然の中へ飛び出す事が可能な「ボルボV60クロスカントリーT5 AWD PRO」 を試乗。冬の道南で雪道と史跡を堪能するワイルド&アカデミー・ドライブ

男の隠れ家編集部
編集部
冬のロングドライブは何かと緊張するものだ。天候が急変して雪に見舞われることがあったり、ドライだった路面がカーブの先で凍結していたりするからである。とは言っても美しい雪景色を堪能したり、ウインタースポーツを楽しみたいならば、悪条件を含む道をドライブしなければならない。だが北欧スウェーデン生まれのボルボの場合、そのような条件下の道でこそ真価が発揮される。ということで冬の北海道を、ボルボを駆って旅をするという、願ってもない機会に恵まれた。今回の1台は「ボルボV60クロスカントリーT5 AWD」。走破性、安全性、快適性のいずれも申し分のない1台なのだ。
目次

初日、雪を求めて羊蹄山の麓へ。噴き出し湧水の清冽さにも感動

新千歳空港でボルボに乗り込むと、道央自動車道のインターを目指す。この日の宿泊地は函館。片道300kmを超える、なかなかのロングドライブなのだ。真冬ながら思った以上に雪が少なかったので、空港から高速道路のインターへと向かう道はドライの場所がほとんどではあった。時おり水たまりやシャーベット状となった場所、踏み固められた雪が氷状になった所がある程度である。走り始めてすぐ、全体的に均整のとれた造りから、安定した走りが実感できた。

俄然、雪道のドライブを楽しみたくなったが、千歳周辺ではそれを叶えてくれるような雪量がなかった。そのため千歳周辺での寄り道は考えずに、すぐに道央自動車道に乗り函館方面を目指すことにした。高速走行では車線のセンターをキープしてくれるという運転支援機能が発揮され、時おり荒れた路面が現れる区間でも、疲れ知らずでドライブを楽しむことができた。

室蘭インターを過ぎると、前方に雪を被った山々が見えてきた。そこで虻田洞爺湖インターで高速を一旦下り、羊蹄山方面へと向かうことにした。しばらくは国道37号線を豊浦方面へと走った。そしてニセコ方面への道を辿ると、周囲の風景は一変。周囲に広がる台地が波打ったような畑(だと思う…)が、一面雪に覆われてふわふわの綿帽子のように見えた。路面も半分以上が雪に隠れているうえ、適度なアップダウンやカーブが続く。そんな苛酷な道でもプレチャージ式電子制御AWDシステムが、刻々と変化する路面状況に対応し、必要なトルクを最適化して4輪に配分する。北欧育ちのボルボが、得意とする道だということを、再認識させてくれた。

内陸部へと向かうにつれ、冬の北海道らしい風景が広がっていく。進行方向左手には、尖った山頂となだらかな裾野が特徴的な昆布岳が見え隠れしている。やがて前方には、急な斜面がまるで壁のように天に聳え、頂点部分は雲の中に隠れてしまっている山が、ひと際大きく見えてきた。それが「蝦夷富士」とも呼ばれる見事な円錐形の山、羊蹄山だ。この日は全貌を見ることはできなかったが、その美しい姿は日本最古の歴史書『日本書紀』にも登場するほど。いかにも日本人の琴線に触れる山で、百名山にも選ばれている。

たとえその美しい姿が見られなくても、訪れた人を楽しませてくれるのが羊蹄山の凄いところ。麓の京極町にある道の駅「ふきだし公園」はそのひとつだ。羊蹄山に降った雨や雪が、隙間の多い溶岩や火山灰の中に浸み込み、数十年の歳月をかけてろ過・浄化されて、ミネラルたっぷりの水へと生まれ変わる。それが標高約250m地点にある溶岩と粘土層の境目付近で、1日約8万トンも涌き出しているのだ。北海道遺産にも認定されているこの湧き水は、誰もが自由に汲むことができる。ボルボを駐車場に置いて、マイナスイオンたっぷりの湧水口で佇んでいると、地元の人が大きなボトルを持って水を汲みに来た。この時ほど、何も容器を持っていなかったことを後悔したことはない! 仕方がないのでその場で冷たい水を手で受けて、たらふく飲んだ。

北海道遺産にも認定されている、道の駅「ふきだし公園」にある湧き水

美味しい水を飲んで思い出したのが「朝から何も食べていなかった」ということ。そこで京極町の繁華街(?)へとボルボを走らせた。メインストリートらしき道を行くと、地元のスーパーと並んで「食事の店ひさし」という看板を発見。そのローカル色に、一も二もなく暖簾をくぐる。

今回、食べた中で一番旨かった

「あら、一旦閉めようかと思っていた」と、店主らしきおばさんの第一声。

「でもいいですよ、どうぞどうぞ」

 無事、食事にありつけそうだと胸を撫で下ろしつつ、メニューを凝視。定食から丼物、カレー、そばやうどんと、なかなかのラインナップだ。こちらは3人だったので、手間を省くために同じオーダーにすることにした。

「カレーを3つ、お願いします」

「煮込んでいるから少し時間がかかるかも」

「じゃあ親子丼を3つ」

「でも、うちはカレーが評判なのよ」

「う〜ん。長くかかりますか?」

「そうでもないかな」

「やっぱりカレーを3つ、お願いします!」

こんなやり取りの末、オーダーしたカレーは期待の遥か上をいく旨さであったことを、記しておきたい。

ノスタルジックな雰囲気が、函館の街並と見事にマッチするボルボのフォルム

函館は坂の多い街だ。とくに幕末、諸外国との交易のために開港してからは、山の手に街が発展していった。今も港から山の手にかけては、その当時の面影を随所に残す。どこかノスタルジックな雰囲気を漂わせているのも魅力なのだ。それと忘れてはならないのが、新選組の副長として活躍した、土方歳三が最期を迎えた地でもあること。今も多くのファンの心を捉えて離さない土方が、箱館(当時の表記)戦争において鬼神の如く活躍したことで、函館は一種の聖地と化しているのだ。短い時間で函館を楽しむならば、そんなテーマに沿ってみるのも悪くないだろう。

函館山の麓の高台には、多くの歴史的建造物が残されている。函館ハリストス正教会、カトリック元町教会、函館聖ヨハネ教会、さらには東本願寺函館別院が並んで建っている場所は、函館を代表する風景。時間帯によってはクルマで行くことも可能だ。取り回しのよいボルボならば、坂や路地が多いこのエリアも、苦もなくドライブすることができる。

 土方歳三と新選組隊士の供養碑、豪商・高田屋嘉兵衛の顕彰碑などが建つ称名寺も、近くにある。土方の供養碑の前には、いつでも花が手向けられていて、その人気ぶりを目の当たりにすることができる。その土方が最期を遂げたとされる一本木関門跡は、現在は函館市総合福祉センターに隣接する小さな公園となっている。再現された関門の脇に碑が建ち、その碑の前にも常に新しい花と線香が手向けられているのだ。

称名寺にある土方歳三の供養碑
土方が最期を遂げたとされる一本木関門跡

現在の建物は明治42年(1909)に建築された金森赤レンガ倉庫群と、元治元年(1864)に日本初の西洋式城郭として築かれた五稜郭も、函館を代表するスポット。金森赤レンガ倉庫は昭和63年(1988)から全面リニューアルされ、倉庫だけでなくショッピングモール、ビアホール、イベントホールなどとして営業している。雪が降った時は、何とも言えない風情に包まれ、絶好の撮影スポットとなるのだが、この日は雪には恵まれなかった。

函館湾に面し、函館を代表する観光地となっている金森赤レンガ倉庫群

五稜郭は稜堡と呼ばれる5つの角があり、星形の五角形となっている。星形の城郭は、防御側の死角が少ない利点がある。ヨーロッパ各地に造られた城塞都市をヒントにしたものである。すぐ脇に五稜郭を一望することができ、星形を目の当たりにできる高さ107mの五稜郭タワーが建っている。タワー内のアトリウム内には土方歳三の立像があり、展望室には座像もある。土方はこの地では真のスーパースターだと思い知らされるはずだ。

五稜郭タワーから。星形の五角形がよくわかる

駆け足で函館を堪能した後は、名物の函館塩ラーメンで腹ごしらえをして、再び新千歳空港までのロングドライブ。アイポイントが高いので、視界が良好なのも疲れ知らずのドライブを実現してくれるポイント。300kmを超える距離も、難なく走破してしまった。

最後は塩ラーメンで〆

【VOLVO V60 CROSS COUNTRY T5 AWD PRO】
エンジン:水冷直列4気筒DOHC16バルブ(インタークーラー付ターボチャージャー)
総排気量:1968cc
燃費:11.6km/L(JC08モード)
トランスミッション:電子制御前進8AT
駆動:電子制御AWDシステム
https://www.volvocars.com/jp/cars/new-models/v60-cross-country

文/野田伊豆守

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