外国も評価が高い陶芸の里
本格的な登り窯が築かれたのは18世紀後半である。笠間周辺の粘土は関東ローム層から出土する土で粘着性が強く大型陶器に向いていたため、当初は水がめやすり鉢などを焼いていた。
その後、明治期には江戸に近いという利点を生かし、大量生産するため製造従事者も増え、生産が活発化していく。
以降、日用雑器を主に生産するが昭和30年代頃から民芸陶器・工芸陶器を作るようになる。笠間焼は伝統を受け継ぎながらも、作家の個性をより重んじる方向に転換した。日本だけでなく海外からも陶芸家が訪れるようになり、自由闊達な空気のなかで技を磨いている。
笠間には陶芸関係の施設がいくつもある。その多くは「笠間芸術の森公園」の中にあり、やきもの通りには陶芸店が並ぶ。また「笠間焼窯元共販センター」では約100人の作家の作品を扱っている。
また、陶芸家が中心となり春の陶炎祭(ひまつり)や、陶器市などのイベントが活発に催され、地元のコミュニティのみならず観光面でも活性化に一役買っている。
笠間焼はその歴史の中で、平成4年(1992)に「伝統的工芸品産業の振興に関する法律」に基づき経済産業大臣が指定する工芸品にも選ばれた、日本を代表する焼き物のひとつである。
気軽に立ち寄れる親しみある美術館「茨城県陶芸美術館」
陶芸を中心にさまざまな展示が魅力の美術館。板谷波山や富本憲吉など、茨城県にゆかりある陶芸家の作品を様々なテーマで紹介しているほか、笠間焼の歴史や技法をわかりやすく紹介した展示は必見。
茨城県笠間市笠間2345
TEL:0296-70-0011
開館時間:9:30〜17:00(入館は16:30まで)
休館日:月曜(祝日の場合は翌日)
アクセス:JR「笠間駅」より車で5分(笠間芸術の森公園内)
※2013年取材
構成/アイランズ 写真提供/笠間焼協同組合ほか