俳優・写真家として活躍する永瀬正敏が、各界の一流を迎える対談シリーズ。今回のゲストは、旅行ガイドや雑誌などでも人気の高い日本料理店「てのしま」の店主・林亮平さん。
「一刻者」とお料理を楽しみながら、お互いの仕事や、お酒をたしなむ時間について語り合った。また、永瀬正敏が写真家としてゲストを撮影。そのこだわりの作品にも注目いただきたい。
【プロフィール】
永瀬正敏(ながせまさとし)
俳優・写真家。1966年生まれ、宮崎県出身。1983年に俳優としてデビュー。写真家としても国内外で多くの個展を開き、これまで9冊の写真集を発表。2018年、芸術選奨文部科学大臣賞を受賞。2021年5月、宝酒造の全量芋焼酎「一刻者」アンバサダーに就任。
林亮平(はやしりょうへい)
日本料理店「てのしま」店主。1976年香川県丸亀市生まれ、岡山県玉野市育ち。大学卒業後、京都の老舗料亭で経験を積み、20以上の国や地域で和食を普及するためのイベントにも携わる。2018年、東京・南青山に「てのしま」を開業し、国内外から高い評価を得ている。父の故郷である香川県手島の再興を目指し、夫婦で取り組んでいる。
「一刻者(いっこもん)」とお料理を堪能
林亮平(以下、林) 今日は「一刻者」に合う一皿として「瀬戸内産イノシシの炭火焼き 唐辛子味噌添え」をご用意しました。お味噌には、僕のルーツである香川県の手島産の本鷹唐辛子を使っています。お肉に少しつけてお召し上がりください。
永瀬正敏(以下、永瀬) ありがとうございます。さっそく、いただきます。……お肉がとても柔らかくておいしいです。お味噌も素晴らしい。
林 「一刻者」は、芋の香りと甘みを贅沢に感じる焼酎です。その甘みが、炭火焼きにしたイノシシの脂に合います。牛肉よりも、豚やイノシシのほうが芋の甘みにはしっくりくると思いますね。あとは、このお味噌ですね。実は作って2年経っています。
永瀬 え? そんなに?
林 はい。2年間熟成させています。その熟成感を含めて、「一刻者」の甘みや香りと相性がいいと思います。
永瀬 そうなんですね。そういう組み合わせは瞬時に思いつくものですか?
林 思いつかないんです(笑)。天才ではないので、何か食べた時に「これ合うな!」とか…。
永瀬 そうですか(笑)。サツマイモも添えていただいて。
林 揚げた芋と「一刻者」は合います。「一刻者」の味わいと香りは豊かなコクがあり、フレッシュ感のある香ばしい揚げた芋を足すと、重層感が出て芋の風味がふくらみ、楽しんでいただけます。
永瀬 なるほど。では、遠慮なくもう一ついただきます。このお味噌、買って帰りたいくらいおいしいですね。せっかくなので、乾杯をしましょうか? 乾杯。
林 乾杯。ありがとうございます。
永瀬 さすがですね。やっぱり「一刻者」とお料理が合いますね。本当においしいです。
料理と映画、それぞれへの情熱
永瀬 「一刻者」というのは、南九州の話し言葉で頑固者という意味なのですが、林さんは料理する時のこだわりはありますか?
林 料理に対してのこだわりというよりは、お客様に喜んでいただくことを大切にしています。
永瀬 僕らの仕事と一緒ですね。自己満足よりも、映画を見た方にどれくらい伝わるかということが勝負なので。お客様の顔を思い浮かべて、いい食材を、おいしい料理をということですね。
林 おっしゃる通りです。あと、ここはお店なので、お見送りの時に「今日は楽しかった」とお声がけいただけたりすると一番うれしいです。
永瀬 それはうれしいですね。たくさんの道がある中で、どんなきっかけで料理人になると決めたんですか?
林 小学校の卒業アルバムに、「コックさんになりたい」と書くほど、もともと料理が好きだったんですよ。
永瀬 ご両親もそういうお店をやっていらしたんですか?
林 親の仕事とは、全然関係ないんです。
永瀬 では、どこかに修業に入られたんですか?
林 そうですね。大学に行き就職活動もしていたのですが、その途中でやっぱり好きなことを仕事にしたいと思い始めて。すぐに田舎に帰って、親に直接話して認めてもらいました。そこから18年くらい修業に入ったんです。
永瀬 18年!
林 はい。京都にある老舗の料亭で修業を積みました。
永瀬 修業に入って最初にやることは、ただ見て覚えるだけなんですか? すぐに包丁持たせてもらえることはないですよね。
林 当時はまだ、昔ながらのしきたりが結構残っていたので、最初は掃除などの雑用が多かったです。まかないは作っていましたね。5年間は寝泊まりもお店だったので、大変でした。
永瀬 そこから独立して「てのしま」を構えられた。
林 そうです。先ほど少し話をした、瀬戸内海にある「手島」という島が僕のルーツなんですが、いま人口が14人ほどです。
永瀬 え? 14人ですか? ずいぶん少ないですね。
林 はい。祖先のお墓が手島にあり、父親がそこで生まれ育ったので、僕もお盆やお正月は手島を訪れていました。年々住む人が減り、もう商店もありません。
このままでは手島がなくなってしまうのは誰の目にも明らかだった時に、僕は修業先の仕事であちこち海外に行っていたんです。そこで分かったのが、料理には大きな可能性があること。日本の地方にも可能性があることです。以前から、手島をなんとかしたいとうっすらと考えていたので、これなら未来につなぐことができるんじゃないかと。
永瀬 お料理の力で。
林 はい。島に仕事さえ作れば、そこに住んで生活することが可能になります。それを実現するために、逆算して東京に店を出しました。だから、次のフェーズは島でやります。
永瀬 素晴らしい考えです。それで、このお店の名前は「てのしま」なんですね。
林 「てしま」という名前のお店がたくさんあることと、香川県には「てしま」が2つあり、もう一方は美術館ができて結構有名です。そちらと混同されると紛らわしいので、あえて「の」を入れて、「てのしま」にしました。
僕は瀬戸内を自分の故郷と感じていますが、永瀬さんのご出身はどちらですか?
永瀬 僕は宮崎県の県南です。生まれ育ったと言っても15歳くらいまでで、東京の方が長いんですけどね。手島と同じで、昔にぎわっていたメインストリートが、以前ほど元気がないですね。でも地元の若い子たちが、町を再生しようと皆で頑張ってくれています。
林 時々帰られますか?
永瀬 たまに帰ります。「一刻者」のアンバサダーをしているおかげで、宮崎空港のとてもいい場所に大きなポスターが貼ってあるんですよ。本当はその前を通りたいんですけど、妙に意識してしまって、少し避けて通ってしまうというか……(笑)。
実際に「一刻者」を作っている蔵も見学しましたが、なんて言うのでしょうか、先ほど林さんの写真を撮影させていただいた時の感じとリンクします。蔵全体が、厳かな雰囲気なんですよ。料理人であり、職人である林さんの立ち姿と重なるものがありますね。
林 恐縮です。僕も、お酒を造るところを見に行ったことがありますが、日本の場合、やはりお酒には神様がつきものですよね。永瀬さんがおっしゃる通り、神秘的な場所が多い。
永瀬 空気がピンと張り詰めていますよね。
永瀬正敏が林亮平を撮る
対談を始める前、永瀬は料理を作る林さんを撮影。林さんが立ち働く自然な動きの中には「撮りたい瞬間」がいくつもあったという。
カウンターでは、魚をおろす姿を、アングルを慎重に選びながら撮った。次に厨房で、感性の赴くままにシャッターを切った。
芋本来の甘い香りと上品な味わい
永瀬 どうですか、「一刻者」の味わいは。
林 おいしいです。芋の甘みがしっかりあって、香りも本当に重層的ですよね。麹まで芋から造っていると聞いて驚きました。
永瀬 アンバサダーとしては、うれしい感想ですね。芋が持っているポテンシャルを最大限に引き出すには麹から、ということらしいです。
林 麹は和食にとって非常に重要な食材です。お酒も調味料も、麹が変わると味が変わります。だから、麹まで芋で造るという発想は料理人的だと思いました。技術的にとても難しかったんじゃないでしょうか。
永瀬 6年間かけて、ようやく芋麹が完成したと聞いています。
林 そうですよね。やはり、そこが味わいにしっかり反映されていますね。
栄えあるコンペティションで最高金賞を獲得
永瀬 実は「一刻者」は、アメリカの「SFWSC2024※」というコンペティションの焼酎部門で、最高金賞を受賞しました。獲りたくてもなかなか獲れない名誉ある賞です。
(※サンフランシスコ・ワールド・スピリッツ・コンペティション2024。米国最大の酒類コンペティションで、今年は世界中から5,500以上の製品がエントリー)
林 それは、おめでとうございます。「一刻者」のどんなところが評価されたんですか?
永瀬 具体的な評価基準は明かされていないそうです。林さんが先ほどおっしゃったように、香りの奥深さや味のバランスへの評価だとは思いますが……。
林 素晴らしいです。「一刻者」には、贅沢な芋の甘みがありながら、ほんのりとした苦みも感じます。これが、味わいにおいてとても重要な役割を持っています。苦みが味わいに含まれることで、複雑でおいしくて、飲み飽きないという部分につながっていると思います。
芋の甘みを味わう、至福の時
永瀬 「てのしま」でも芋焼酎を出されているとか。
林 そうですね。麦焼酎、米焼酎も置いていますが、芋焼酎が一番人気です。品質の良い芋焼酎が持っている香りや甘みが、皆さんに好まれていると思います。
その点で、「一刻者」は純粋に飲むだけでもおいしいのですが、先ほどもお話ししたように、贅沢な芋の甘みの中にも複雑味みたいなものもあるので、お料理と合わせても非常にいいお酒です。
永瀬 林さんは、どんなシチュエーションで「一刻者」を飲みたいですか?
林 実は、一人でお酒は飲まないんですよ。
永瀬 皆で? 奥さんとか?
林 そうなんですよ。やっぱり誰かと飲みたくて。なので、食中に「一刻者」を飲みますね。最初よりも、食事の中盤から後半にかけて飲むイメージです。
永瀬 なるほど。僕は一つの仕事が終わって、次の仕事への準備期間に、自分へのご褒美として「一人で飲むのは最高だなあ」と思いながら楽しんでいますね。
林 その準備期間中には、メンタルを整えたりしていらっしゃるんですか?
永瀬 そういうのもありますね。言ってしまえば、修業期間です。作品によって違いますが、監督もしくは脚本家のオリジナルであれば、そちらとの打ち合わせでヒントをいただいて、自分の中でイメージをふくらませます。実際にモデルの方がいたり、原作があったりするとまた違うアプローチになります。
ただ、現場へ行く時は、一度頭の中を真っ白にして、フラットな気持ちで臨みたいですね。自分の頭の中だけで作ったものを持っていっても、相手の方もいらっしゃるし、監督の世界もあります。作品に関わる役者やスタッフ全員の小さな宇宙が集まって銀河系になっているのが映画だと思うので、自分一人で考えすぎると反応が悪くなってしまう。僕は現場で、相手のリアクションを楽しみたい気持ちがあるんですよ。キャッチボールをするように。
林 なるほど。あまり作り込みすぎずに、撮影に臨むのがいいんですね。そういう考え方は、昔と今では変わってきましたか?
永瀬 変わりましたね。30代くらいまでは、今思えばヘナチョコでした(笑)。最後に、林さんが「今日は良いお酒だった」と思うのは、どんな時ですか?
林 一緒にいる仲間と良い時間を共有できて、未来に向けて建設的な明るい話ができた時、でしょうか。
永瀬 確かにそうですね。僕も、皆でワイワイ楽しむのも好きです。今日は密度の濃い時間を過ごせました。ありがとうございました。
全量芋焼酎「一刻者」
“一刻者(いっこもん) ”とは、南九州の話し言葉で頑固者のこと。
「一刻者」は造り手が “芋だけでつくるおいしさ” に頑固なまでにこだわり続ける芋100%の本格芋焼酎です。
原材料に南九州産のさつまいもを100%使用し、独自の“芋麹仕込”と“石蔵貯蔵” による芋本来の甘い香りと上品な味わいが特長。本格焼酎の本場、宮崎県にある 「宮崎・日向 黒壁蔵」で仕込む全量芋焼酎。
2022 SFWSC特別金賞受賞
2023 ISC金賞受賞
【商品概要】
アルコール分:25%
容量/容器:720ml/壜
参考小売価格:1,681円(税込)
お酒は20歳を過ぎてから。ストップ飲酒運転。妊娠中や授乳期の飲酒は、胎児・乳児の発育に悪影響を与えるおそれがあります。
お酒は楽しく適量を。のんだあとはリサイクル。
■お問い合わせ先
宝ホールディングス株式会社 お客様相談室 0120-120-064(9時~17時 土日祝日を除く)
一刻者ウェブサイト https://www.ikkomon.jp/
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