103111人生を変えたこの酒一本『みむろ杉 純米大吟醸 山田錦』今西酒造(奈良県)にほんしゅ あさやん|「サケとエンタメ」まず喋りたいこの酒一本

人生を変えたこの酒一本『みむろ杉 純米大吟醸 山田錦』今西酒造(奈良県)にほんしゅ あさやん|「サケとエンタメ」まず喋りたいこの酒一本

あさやん(にほんしゅ)|サケとエンタメ 
あさやん(にほんしゅ)|サケとエンタメ 
お酒を飲みたい!喋りたい!マイクを持ったエンタメのプロ集団『サケとエンタメ』が贈るコラム。お笑い芸人、女優、アナウンサー、シンガー、全員が酒に関する資格を持ち、美味しい楽しい酒と食への偏愛を語ります。(にほんしゅ 北井一彰 / にほんしゅ あさやん / ストレッチーズ 福島敏貴 / 藤井21 / 利き酒師アナウンサー石川奈津紀 / 児玉アメリア彩 / 氏家エイミー)
目次

ヤッホー!!コンビ揃って日本酒のソムリエ『唎酒師(ききさけし)』の資格を持つ漫才師“にほんしゅ”のあさやんです。『サケとエンタメ』一発目の記事という事で簡単にチームのご説明をさせていただく前に、名上の方々が読まれているかもしれない中「ヤッホー!!」と山頂を連想させる高い所からのご挨拶で失礼いたしました。僕の登場ギャグになります。大阪の天保山位の高さから叫んでるとお受け取りいただけましたら幸いです。

本題に入る前に『サケとエンタメ』の説明を行いたいのですが、次回が相方の北井さんなので、コンビの説明は飛ばして良い分その文字数を『サケとエンタメ』の紹介に使ってくれたらOKやろうという事で、僕からの説明は割愛させていただきます。この文字数を打っている時点でちゃんと説明が出来ただろうという野党の声が聞こえてきますが、我々は酒好きの左党でございます。とにかく、『サケとエンタメ』は酒の魅力に取り憑かれたお喋り大好きなエンタメ集団としてご認識いただけましたら乾杯です。

適当に喋って(書いて?)しまってますが、連載一周目のテーマが『まず喋りたいこの酒一本』という事で、僕はやっぱり人生を変えたこの一本をご紹介!

「みむろ杉 純米大吟醸 山田錦」今西酒造(奈良県)

まずは味わい。酒蔵近くに店を構える日本料理『にしむら』さんの繊細な味わいに合う日本酒を造りたいと誕生したのがこの「みむろ杉 純米大吟醸 山田錦」。数ある純米大吟醸の中でも上品で穏やかな香り、やわらかで透明度のある米の旨みとナチュラルな酸による心地よい余韻が特徴的。イメージはハイブランドな服装&プンプンに香水をつけて誤魔化している華やかさではなく、性格や笑顔での人との接し方など常日頃の立ち振る舞いから「この人ジャージ姿でも気品あるやん!」って感じが滲み出る上品な華で、非常に食事に合わせやすい。

今西酒造の歴史は長く、奈良県桜井市で360年以上続く。日本酒好きからしたら『みむろ杉』と聞いただけで“大神神社”“木桶”“菩提酛”“自社田”“伝承蔵”“リクルート”と、ワードのおつまみ盛り合わせが頭に並んでいるはず!それだけで酒が進みますが個人的な思い入れもアッサンブラージュして喋らせていただきます。

みむろ杉の飲み比べが出来て誰が見てもご満悦のあさやん。右手でギリ掴んでいる白いラベルが純米大吟醸山田錦。絶対落とすなよ

まず日本酒を呑まない方でも聞いた事はあるであろう大神(おおみわ)神社。本殿はなく、三輪山をご神体とするパワー酒ポット、もといパワースポットとしても有名な日本最古の神社で、白蛇を化身とする神様が祀られているが故に巳年の今年は初詣も沢山の方が訪れていました。そのうちの一人が僕です。

拝殿へと向かう道いっぱいに広がる長蛇(というか大蛇)の参拝者の一人として、ニョロニョロとは一切せずに姿勢正しく真っ直ぐ歩みを進め、夫婦でお詣りしてきました。「大神神社に参拝」というワードを出すと酒好きから必ず返ってくるのが「活日(いくひ)神社はお詣りした?」という質問。活日神社を簡単に説明すると、一晩で酒を造り奉納し、疫病を退け国を救った杜氏の祖神高橋活日命(たかはしいくひのみこと)が祀られている神社です。「酒造りも漫才のネタ作りも一緒!どちらもお客様に喜んでもらうために心を込めて行うもの」が口癖の僕ですよ?お詣りしてるに決まってますやん!一晩で日本中を喜ばせる酒漫才を作れるようにお祈りは欠かせませんで。そんな杜氏の祖神が関わる大神神社では毎年11月14日に醸造祈願祭が行われていて、その日は全国各地の蔵元が安全に酒造りを行えるようにと祈願しに集い、醸造祈願祭終了後は新酒完成のしるしとして酒蔵の軒先に吊るされる“志るしの杉玉”が贈られます。

にほんしゅも2013年に初めて参加をしたのですが、その時のある方との出会いから僕の人生が大きく変わる事となりました。

大神神社の境内にある活日神社にも夫婦で参拝。トートバッグ二つ持ちの姿から尻に敷かれている事が一目瞭然のあさやん

大神神社の醸造祈願祭参加の当日、アホ過ぎる行動で大ピンチ!!

当時、大阪よしもとに所属していながらもバイト生活を送るにっちもさっちもいかない毎日を変えようと、芸の幅を増やすために北井が“日本酒ナビゲーター”という唎酒師の弟分的な日本酒資格を受講しに行き、その講師である千葉県千葉市稲毛にあるリカープラザ大越酒店の三代目・大越智華子さんに芸人としての厳しい現状を相談したところ「日本酒の事を本気で学ぶ気があるならウチの酒屋に修行しにきませんか?」と、まさかのご提案が。「そう言っていただけたし、人生を変えるには今やと思う。事務所を離れて、本気で日本酒の事を喋れるコンビにならへん?」と、北井から相談された時は戸惑いましたが、現状を打破したい気持ちは同じ。「ぜひその講師の方を紹介して」と、覚悟を決め、顔合わせとなったのが2013年11月14日。醸造祈願祭が開催される大神神社でした。    

しかし当日、北井とは現地集合で僕は電車で向かっていると、乗り換えを大幅に間違えてしまい大遅刻!!その約7ヶ月後の2014年6月から半年間、大越智華子さんの元でコンビで朝から晩まで丁稚小僧のように酒の勉強を兼ねた人生の修行をさせていただき、2人揃って根性もろとも叩き直され北井氏曰く、「大越師匠には人生二生分怒られた」事となるのですが、大遅刻で大神神社に到着した頃にはすでにご祈祷が行われており、今以上に何も考えていなかった僕は「まぁしゃあない」と祈祷殿前で振る舞われていたお酒を呑気にいただいていました。ほどなくしてご祈祷を終えた相方北井さんと、後の師匠となる大越智華子さんが戻ってこられたので「すみません!遅くなりました!」とすぐに謝罪。しかし僕の右手に持つ紙コップを見て「遅れてきてナニ呑んでんねん」と鬼の形相で睨む北井氏。大越さんは初対面の僕に対して「いいのよいいのよ、初めまして」と丁寧なご挨拶を行なってくださいましたが、間違いなく、あの時遅刻したにもかかわらず振る舞い酒を呑んでいなければ、もう少し怒られることなく修行期間は終えられていたでしょう。そんな出会いをいただいた大神神社の麓、三輪山のお膝元で醸されているのが今西酒造の「みむろ杉」。

この“みむろ杉”が、僕の人生を変えるもう一つの大きな出会いに繋がるとは、この時点では知る由もなかったのです。「この時点ってどの時点やねん?」と、僕が読者ならツッコんでますが、そう焦らずに。

2013年11月14日、師匠となる大越智華子さんとにほんしゅとの大神神社での一枚。この約半年後、師匠から人生二生分怒られることになる事をにほんしゅはまだ知らない
楽しくも厳しい就業時代の一コマ(リカープラザ大越酒店にて)

キュンでどきっ、な運命のめぐり合いは「みむろ杉」

2017年4月。酒修行期間を終えてから2年が経ち、少しだけ自信を持って日本酒について喋れるようになっていたこの頃、とある日本酒イベントで僕は“みむろ杉”を会場のお客様にプレゼンしていました。

「現蔵元の十四代目・今西将之さんは、蔵を継げとは言われていなかったものの幼い頃からお父さんの背中に憧れを持ち継ぐ覚悟を決めてたんです。そしてあえてお酒業界とは関係のないリクルートに一時就職して、経営のノウハウと人脈を広げて30歳で蔵を継ぐ予定が28歳の時にお父さんが余命宣告されてしまい、すぐ蔵に戻るもその3ヶ月後に逝去。引き継ぎの準備なども出来ぬまま蔵を受け継ぎ、しかも大赤字で今にも蔵が潰れそうな状況で大ピンチだったところを回復させるために産み出した銘柄がこの“みむろ杉”なんです!!」

みむろ杉の誕生秘話、そして今西さんの何がなんでも蔵を守るという強い意志だけは必ず伝えたい。普段からふざけっぱなしの僕ですが、人の人生を茶化すような事は絶対にしないと決めており、たくさんのお客様に“みむろ杉”の美味しさだけでなくバックストーリーも含めてその時間を大いに酔っていただいておりました。調子に乗ってきた僕は会場を練り歩き、グラスが空いている人を見つけては先の口上を述べ、「穏やかな香りと米の旨み。優しくて清らかな酸。コンセプトは“三輪を呑む”という、僕も大好きな日本酒です!!」と、なかば強引な試飲推し売りおじさんと化し、目ん玉バッキバキのトランス状態に。

 “みむろ杉”を抱え(というよりもぎゅう〜っと抱きしめて)語る僕にドン引きしながらも“みむろ杉”には興味をもって味わってもらえ、その度に喜びを感じる僕。おそらく、高橋活日命も目を背ける程のトランス状態。なんなら僕そのものが疫病と言っていい程の避けられっぷり。え?避けられてるやん。酒だけに。…や、あらへんあかんがな。やり過ぎたかと我に返り少し落ち着き、みむろ杉の味わい程のほどよい香り(キケンな)を出しつつプレゼンを再開。

そんな時、お客様の中に僕の人生をさらに変える運命の出会いが。僕の注いだ「みむろ杉」を一口呑んで「へぇ〜。美味しいー」と返してくれた人が、4年後に結婚する事となる後の妻なのでした。まさに疫病退散!!家内安全!!!!今西酒造の理念である「清く正しい酒造り」のように清く正しく自分の気持ちに正直に生きていたら結婚できてしまいました。この小生意気さ、何が清く正しいねんと書いてて自分で腹がたちます。ただしかし、あの時「みむろ杉  純米大吟醸  山田錦」を注がせてもらった事によって、僕の人生は大きく変わった事に間違いはありません。

トランス状態でバッキバキの目ん玉を和らげる為に途中からメガネをかけて提供していた時の写真を、妻が撮ってました!この時はサコッシュも一つなのが感慨深い。。。(感謝)

知る人ぞ知る銘酒「鬼ごのみ」で返したら名誉挽回できたかも

ちなみに今西酒造で大好きな銘柄でもう一つ「鬼ごのみ」があります。バシッとキレ味の良い辛口酒の代名詞として”鬼ごろし”という銘柄は沢山出回っていますが、米の旨みを凝縮したジューシーな味わいにして、ウチは鬼が好むような酒にしようと今西酒造が名付けたのが「鬼ごのみ」。

大神神社での醸造祈願祭に大遅刻した時にその存在を知っていれば、鬼の形相で睨む北井さんにすぐ渡して機嫌を取り戻してもらう事ができたのにと過去の無知さを悔やむ…。の前に遅刻したのに酒呑んで待つなよ過去の自分よ!!よーそんなやつ結婚できたな!自分自身に怒りが込み上がる程しぼりたてであらばしりな記事ではありましたが、今年だけじゃなく毎年夫婦で大神神社に参拝をし、三輪山、そしてみむろ杉に感謝を伝えていきたいと思います。

縁結びの大神神社。みむろ杉が結ぶ出会いに乾杯

お酒の師匠との出会いの場所である大神神社。その麓で醸される “みむろ杉”を通して出会えた愛妻。僕の人生の節々で出会いのキッカケを演出してくれた「みむろ杉 純米大吟醸 山田錦」が、まず喋りたいこの酒一本です。

いかがでしたでしょうか?

にほんしゅ・あさやんが「まず喋りたいこの酒一本」は、人生を変えたキッカケの日本酒というテーマで『サケとエンタメ』の志るしの杉玉を吊るしました。ここからは酒と食に一家言あるメンバーが隔週で順番にコラムをお届けしますのでお楽しみに。二回目は僕の相方にほんしゅの北井さん。北井さんにサケを語らせたらまさしく鬼に金棒!まず喋りたい、強そうな金棒を一本教えてちょうだい!

サプライズで結婚のお祝いをして下さった今西酒造の十四代目・今西将之さん。僕の服装、店内の雰囲気からお察しの通り冒頭の写真と同日。一生忘れられない恐縮で光栄な宴でした!

【あさやんのこの1本】

「みむろ杉 純米大吟醸 山田錦」今西酒造(奈良県)

https://imanishisyuzou.com/

【味わい】

上品で穏やかな香りと、滑らかに優しくふくらむ米の旨み。心地よい余韻が広がるナチュラルな酸。まるで丁寧な旅館の案内から部屋の襖を静かに閉めて「ごゆっくりお楽しみください」ともてなしの心を残して去っていくベテラン女将のような安心感と上品さ。

【酒蔵情報】

今西酒造は酒造りの祖神である高橋活日命を祀る大神神社の麓、三輪山の地で1660年に創業。2025年4月に完成した「三輪伝承蔵」では、蔵の外からも吉野杉の香りを感じれるほど神聖な空気に包まれながら、木桶や菩提酛で仕込まれる古来の製法からなるまさに”三輪の酒”を堪能できる。

みむろ杉純米大吟醸山田錦(写真提供:今西酒造)

あさやん(にほんしゅ)|サケとエンタメ 
あさやん(にほんしゅ)|サケとエンタメ 

きき酒師の漫才師 にほんしゅ の北井じゃなくあさやんのほう(役割的には酵母菌のような存在)。酒関連の取得資格は「唎酒師」「国際唎酒師」「焼酎唎酒師」「ごはんソムリエ」。さらに、「日本伝統濁酒学講師(どぶろくアンバサダー)」としても活動中。『サケとエンタメ』では、ソロ執筆で酒への熱い想いを語ると意気込むフリをして酒を呑んでいる。

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