より幅広い環境で、快適に過ごせるアイテムが誕生するアウトドアウエア。今回は、雑誌、映画など様々なメディアで活躍し、キャンプから自転車までアウトドアをこよなく愛するスタイリスト・稲田一生さんオススメの最旬機能服を紹介する。
THE NORTH FACE (ザ・ノース・フェイス)/FL Drizzle Jacket

2万7000円(ザ・ノース・フェイス/ザ・ノース・フェイス マウンテン)
ザ・ノース・フェイス マウンテン ☎︎03-5466-9278
山も街も快適で、カーディガンのようにお洒落に羽織れるパーカ
稲田さんイチオシのマウンテンパーカは、『ザ・ノース・フェイス』の一着。注目すべきは、同ブランドが独自に開発した新素材「フューチャーライト」だ。ナノレベルのポリウレタン繊維をミクロ単位で吹き重ねてシート状にした、ナノフィルム状の防水透湿素材で、高い通気性があり、蒸れを軽減して衣服内の環境を整えてくれる優れもの。

「高い防水性を誇りながら、透湿性も高く湿蒸れにくいですね。山でも街でも、湿気を逃がして衣服内環境を調節してくれます。自転車に乗っても、クルマに乗っても快適で、様々な環境で使えるんです。ファッション性も高く、従来のアウトドアウエアのシャカシャカしたシェル素材とは違い、しなやかで柔らかな素材感なので、カーディガンのように羽織ることも。街着なら、スラックスやスウェットパンツに合わせるのがオススメですよ」(稲田、以下同)

昨年、日本最高峰のサイクルイベント「Mt.富士ヒルクライム」で10位(約1600人中)入賞を果たした稲田さん。自転車に乗るときには、このような高い機能性を誇るパッとかぶるアウターが必須なのだとか。
「山道を走るときには、必ずパッカブルアウターを持っていきます。山の天候はすぐに変わるし、登り道は暑く下り道は寒い、といったことがよくありますから。なので、パッカブル仕様のこちらは大変便利。それに、高い防水、透湿機能は心に余裕を与えてくれます。安心感というか、余裕感というか、ハイスペックの一枚を持っている、ということで“どんな悪天候&コンディションも大丈夫”と常に心が整うんですよね」
Snow Peak(スノーピーク)/TAKIBI Denim Vest

スノーピーク 表参道 03−6805−1452
デニム地を育てて楽しむ一着
2枚目は、『スノーピーク』からTAKIBIシリーズの新作ベスト。焚き火を安全に楽しめる難燃性を備えた一枚だ。ナチュラルな風合いが魅力で、アウトドアシーンだけでなく、お洒落な日常使いとしても重宝する。
「週末、友人とよくキャンプに行くのですが、そのときに話題になったのがこちらのベスト。焚き火ベストといって、焚き火に使う道具類を収納できるポケットが備わっています。しかも、火花が飛んでも生地に穴が開かないんです」
大小様々な収納ポケットを完備。羽織れば、手ぶらで出かけることができる便利なアイテムだ。

「ファッショントレンドでもあるユーティリティベストは、街着としてもオススメ。コートやパーカ、ニットなど、どんなアイテムにも合わせやすいです。羽織るだけで、お洒落でモードな雰囲気が楽しめる。ただモードといっても奇抜すぎないので、幅広い人にトライしていただけると思います。しかも生地感がしっかりしているので、着用による経年劣化も楽しめます。私はレザー、デニムなど、洋服を育てることが好きなので、このベストも育てていきたいな〜と(笑)」
耐久性の高い機能服は、長年使用できてレザーやデニムのように味が出てくる。これもアウトドア服の楽しみの一つだろう。
Barbour(バブアー)/BEAUFORT

バブアー 銀座店 ☎︎03−6264−5569
あえて街着で楽しみたい一着
最後は、アウトドアブランドの定番である『バブアー』のハンティングジャケット。「最旬のアウトドアウエアではないのですが、どうしてもオススメしたかったのがこちらの“ビューフォート”というハンティングジャケット。バブアーと言えばワックスドジャケットの“ビデイル”が定番ですが、私はこちらを長年愛用しています。生地が丈夫で暖かさもあり、山での防寒着に適していますよ」
腕まくりや後ろのポケット(ゲームポケット)が特徴である狩猟ジャケット

「ご存知の方も多いかもしれませんが、こちらは狩猟用のジャケット。袖元にはスナップボタンが付いていて腕まくりができます。ほかにも背面のゲームポケットという、元来は狩猟した獲物を入れる意匠もお気に入り。イギリスの金融街シティへ行ったときに、ビジネスマンがここに経済誌や新聞をクルっと丸めて入れているのを見て“こなれて格好いいな〜”と感心して。それ以来、真似をしてここになんでも詰め込んでいます。さらにスーツの上から纏う、といった彼らのスタイルも実践していますね。もしかすると究極のアウトドアウエアは、究極のタウンユース服でもあったりするのかもしれませんね」
アウトドアとファッションを愛する、稲田さんオススメの3アイテム。かゆい所に手が届く高い機能性を誇りつつ、街でおしゃれ着としても楽しめる汎用性の高いアウトドアウエアは、幅広いシーンで活躍してくれる男の至高品なのかもしれない。
スタイリング/稲田一生 写真/内田祐介
1983年神奈川県出身。スタイリスト吉野誠氏に師事し、2017年の独立。以後フリーランスのスタイリストとして、メンズファッションを中心にスタイリングを手掛ける。映画「アウトサイダー」(Netflix)や「クルマ/Honda」のカタログをはじめ、雑誌やwebなど幅広い分野で活躍している。