12778強烈なインパクトを与えた羊の皮を被った狼「NISSAN GT-R」とは?|いつかは乗りたいあのクルマ 脈々と続く系譜 IT’S NO RULE

強烈なインパクトを与えた羊の皮を被った狼「NISSAN GT-R」とは?|いつかは乗りたいあのクルマ 脈々と続く系譜 IT’S NO RULE

男の隠れ家編集部
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50年の歴史と伝統を重んじ「いつかは乗りたいあのクルマ」というテーマに最適な国産スポーツカー“NISSAN GT-R”。その名はクルマ好きにとどまらず、多くの人が耳にし、また世界中に熱狂的なファンを獲得した。そんな日本が世界に誇るグランツーリスモ・レーシング=“GT-R”の過去〜現在に至る伝説の数々を、業界の大御所こもだきよし氏が綴る!
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文/こもだきよし
Profile:数多く執筆しながら、輸入車メーカー主催・安全運転講習会の「チーフインストラクター」などで活躍。現在は日本自動車ジャーナリスト(AJAJ)協会会長、日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員、日本自動車連盟交通安全委員会委員も務める、この業界の大御所だ。

撮影/中島仁菜

世界中にファンを獲得した最強伝説「R」の称号

GT-Rで思い出すのは、私が大学生の1970年代。デビューしたてのスカイライン GT-R に乗って友人がやってきた。停めておくだけでも人だかりができるほど注目の的だった。PGC10型は4ドア、2ドアハードトップはKPGC10型というように、当時のクルマ好きは型式で呼んでいた。

日産R380の本格的なレースエンジンをベースに造られたS20型2ℓ直列6気筒エンジン、3連のソレックスキャブレターを装備しパワーは160馬力!当時としては驚異的なパワーだった。太いタイヤがボディからはみ出すのでオーバーフェンダーを装備するなど、そのままレースにも出場できるようなクルマなのに、ナンバーを装着して一般道を走れるのが市販車のGT-Rというわけだ。

KPGC10型を実際に運転するのは数年後。「レース部社員募集」というモータースポーツ誌の広告を見て受験した。筆記試験のほかに実技試験もあった。KPGC10型を本格的なレーシングカーに仕立て、レース用のスリックタイヤを履いたマシンで富士スピードウェイを走行したのである。

それまで軽自動車のレーシングカーでレースをやった経験しかないのに、いきなりみんなが憧れる本当のレーシングカーをハイスピードコースで乗ることになった。ちゃんと走れる自信なんかあるわけもなく、ただクラッシュしないように注意して走るだけ。クラッシュしたら間違いなく不合格になるからだ。

アクセル全開にするのも恐る恐るで、ほんの短い時間。コーナーのはるか手前でブレーキを踏んでいた。いってみれば、超安全運転でのサーキット走行。ちょっとレースをかじった程度では、性能をフルに引き出すことなどできないマシンだった。

あれから約50年。R35と呼ぶGT‒R 50周年アニバーサリーモデルは、3・8ℓV型6気筒ツインターボエンジンから、何と570馬力を発揮するようになった。もちろん2輪駆動ではこのパワーを伝えきれないから、4WDになっている。それでもその昔のレースカーを遥かに超えるパワーを発揮し、アクセルを床まで踏み込めばヘッドレストに頭が押さえつけられるように加速する。それが一般道で走れるというのだから驚き。日本ではサーキット以外では180km/hにスピードが抑えられるが、ドイツのアウトバーンに持っていけば300km/h+αで走ることもできる。

しかしGT-Rのオーナーは、一般道でそんな加速をしないしスピードも出さない。普通のクルマと並んで走るし、目立つようなこともしない。別にパトカーに捕まるのが怖いわけではない。いつでも出そうと思えば出せる。それが心のゆとりである。そして意外に乗り心地が良いのも驚き。「羊の皮を被った狼」というのは、GT-Rのドライバーのためにある言葉だ。

MY20(R35GT-R)モデルと同時にGT-R生誕50周年を期間限定モデルとして登場。さらに特別な記念エンブレムと往年のニッサンワークス色を纏う。

センタークラスターには3つのスイッチを配置し、左から「トランスミッション」「サスペンション」「VDC-R」を装備する。

ナビコントロールスイッチ横にも50周年記念バッチがさりげなく刻まれる。

エンジンは僅か数名の選び抜かれた匠の手作業により、ひとつひとつ組み上げられたVR38DETTユニット。

専用のステッカーがボンネットからルーフ、トランクリッドへ入り、特別感が一目で伝わる。

フジツボ製チタンマフラーはチタン合金による軽量化はもちろん、職人が組み立て溶接することで美しい仕上がりを実現。もちろん快いエキゾーストサウンドを響かせる。

ワンガンブルーの外装色とコーディネートしたレイズ製アルミ鍛造ホイール。走行中は全体が青く見えることで、外装色との一体感を醸す。

カーボン調コンビメーターにも所有感を満たす50周年記念エンブレムを配する。マルチファンクションメーターはドライビングや車両情報をリアルタイム表示。

専用のミディアムグレー内装色でプレミアム感を演出。前後席ともセミアリング本革シートを奢る(前席には50周年記念刺繍入り)。

NISSAN GT-R 50TH Anniversary

<History>
1969年 初代GT-R (KPGC10型)
1973年 2代目GT-R(KPGC110型)
1989年 3代目GT-R(BNR32型)
1995年 4代目GT-R(BCNR33型)
1999年 5代目GT-R(BNR34型)
2007年 6代目GT-R(R35型)

GT-R誕生50周年限定モデル

往年の日産ワークスカラーをイメージした新色のワンガンブルーにボンネットからルーフ、そしてトランクへホワイトのステッカーチューンを施しレーシーなイメージを演出。また車体各所に50周年記念ロゴが配せられ特別感も高い。

【Specifications】
サイズ:全長4710mm×全幅1895mm×全高1370mm
ホイールベース:2780mm
車両重量:1770kg
総排気量:3799cc
エンジン:V型6気筒DOHC24Vツインターボ
トランスミッション:6速DCT
最高出力:419kW(570ps)/6800rpm
最大トルク:637Nm(65.0kgm)/3300〜5800rpm
駆動方式:4WD
サスペンション前/後:ダブルウイッシュボーン/マルチリンク
ブレーキ前/後:ベンチレーテッドディスク
タイヤ前/後:255/40ZR20/285/35ZR20
乗車定員:4人
車両本体価格:13,766,500円(税込)
お問い合わせ先 日産自動車株式会社 TEL:0120-315-232 www.nissan.co.jp

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