NetflixやAmazonプライムビデオなどのストリーミングサービスで、年間100本程度の映画やテレビシリーズを観る海外テレビウォッチャーのキャサリンさんに、「隠れ家でこっそり鑑賞したい超過激な作品」を毎月2つオススメしてもらう連載がスタート。初回は、この夏にぴったりのドキュメンタリー作品をラインナップ!
『イカロス』(Netflix配信中)
Netflixオリジナルドキュメンタリーとして、初めてアカデミー賞を受賞した話題作。アマチュア自転車レーサーでもある監督自身が「薬物摂取しながらドーピング検査をすりぬけどこまで勝ち上れるか」という、“そんなこと普通やっちゃう?”っていう企画をドキュメンタリーとして記録していたら、うっかりロシアの深すぎる闇を掘り出してしまうという前代未聞の映画作品に仕上がっている。
その深すぎる闇とは、ロシアが国家レベルでドーピングを行い隠ぺいしていたという疑惑。関わった科学者の証言と、身の危険が生々しく記録され、まるでフィクションかと思うほどのスリリングさが味わえる。
ちなみに、監督の次回作(『The Dessident』)は、サウジアラビア大使館内でのジャマル·カショギ記者殺害事件を追ったもので、披露されたサンダンス映画祭で話題沸騰だったそう。ただ、あまりの内容に大手配信サービスはどこも配信契約しないという事態になっているんだとか。
~一人で楽しむ男の隠れ家ポイント~
うっかり掘り当てたロシアの闇をドキュメンタリーを通して全世界に公開してしまう監督の胆力を想像しながらぜひ見てほしい。
『FYRE: 夢に終わった最高のパーティー』(Netflix配信中)
大炎上したアメリカのとあるイベントの裏側を追うドキュメンタリー。バハマに浮かぶ島を貸切って「音楽フェスをやるぜいー!」と、SNSでもセレブを使い大々的に告知したものの、実は運営が全く上手くいっておらず、地獄の様相を呈し、客から詐欺だと非難の嵐になった事件。
コーチェラなどの世界的フェスに関わったこともある人たちが運営側にいながら、大失敗どころか事件へと発展してしまったのはいったいなぜなのか……。仕事は何をやるかが大事ですが、誰とやるかもとても大事だと、心底思わされる作品。
仕事で落ち込んだ時にこのドキュメンタリーを観ると「あ、この人達が関わっているプロジェクトよりはまだマシだな」と思えたりもするほどに、酷いプロジェクトマネジメントの全貌を観ることができる。雪だるま式に酷さが増していく様子はある種ホラー映画のよう。
~一人で楽しむ男の隠れ家ポイント~
もはや人災としか言いようがないこの事件。初めて耳にするような種類のパワハラ事案続出の展開に注目すべし!
<プロフィール>
キャサリン
Netflix、Amazonプライムビデオ等のストリーミングサービスで最新作を追いかける海外テレビシリーズウォッチャー。webメディア·雑誌などで執筆。
キャサリン公式ツイッター:https://twitter.com/hitomi_forward