小さい頃、「誰もいない部屋は電気を消しなさい!」と言われた経験はないだろうか? 筆者はよく母親から注意を受けていた。
確かに、誰もいない部屋の電気をつけっぱなしにしていると、無駄な電気代がかかってしまう。この注意は合理的であるため、一刻も早く直すべきだと言える。
しかし、この電気をあえてつけっぱなしにした場合、どれくらいの電気代がかかるのだろうか? 「電気代はあまりかからない」という事実があれば、反論することもできるかもしれない。
そこで本記事では、電気を一日中つけっぱなしにしたときの電気代、電気代を理由に反論した結果を解説していく。
■電気代は照明の種類によって変わる
電気代は照明の種類によって金額が変わる。これは至極当然のことだ。豆電球と蛍光灯が同じ電気代とは思えない。
例えば、一般的な蛍光灯であれば、省電力のLEDに比べて電気代が高くなりやすい。一方、そもそもの電力が小さい豆電球の場合は、電気代を大幅に抑えられるだろう。
このように、照明の種類によって電気代が異なることから、それぞれの種類に分けて電気代を算出していく。
■蛍光灯を一日中つけっぱなしにした場合
家庭の照明ではまだまだ活躍している蛍光灯。この蛍光灯を一日中つけっぱなしにした場合は、どれくらいの電気代がかかるのだろうか?
今回は家庭でよく使われている「シーリングライト」を例に挙げて解説しよう。シーリングライトの消費電力が75Wと仮定すると、1時間あたりの電気代は以下のように算出できる。
「75(W)÷1,000×1時間(使用時間)×27円(1kWhあたりの電気代)=2.025円」
一般家庭にある蛍光灯をつけっぱなしにした場合は、1時間あたり2.025円が無駄になる。仮に、24時間つけっぱなしの場合は48.6円が余計にかかる。
部屋の電気を消し忘れて、24時間つけっぱなしにするという場面があまりないことから、出勤日に消し忘れてしまった場合(10時間)で仮定すると、たったの20.25円しか無駄になっていない。
つまり、「また電気をつけっぱなしにしてー!」と怒られた場合は、素直に21円を渡せば丸く収まるはずだ。
■LEDを一日中つけっぱなしにした場合
最近は、蛍光灯よりもLEDを備え付けている家庭が増えてきた。このLEDは蛍光灯と比べて電気代を抑えられると聞くが、どれくらい違うのだろうか?
家庭用のLEDシーリングライト(45W)を前提に計算すると、1時間つけっぱなしにした場合の電気代を以下のように算出できる。
「45(W)÷1,000×1時間(使用時間)×27円(1kWhあたりの電気代)=1.215円」
LEDを1時間つけっぱなしにしても、1.215円しか無駄にならない。24時間で計算すると29.16円、現実的に10時間で計算しても12.15円である。
蛍光灯と比較すると、電気代は約40%安くなっている。このことから、仮にLEDを長時間つけっぱなしにしたところで、電気代はほとんどかかっていないのだ。
そのため、長時間のつけっぱなしを注意された場合、13円ほど渡しておけば円満に解決するだろう。
■電気代を理由に反論するのは危険
電気を一日中つけっぱなしにしたところで、発生する電気代はたかが知れていることがわかった。
また、短時間で照明をON・OFFする場合は、余計に電気代がかかってしまうことからも、こまめに電気をつけたり消したりするのはあまり効率的ではない。
しかし、それら電気代を理由に「電気を消さなくても良い!」と反論するのは、あまりに危険すぎる。
なぜなら、電気のつけっぱなしを注意している人は、無駄な電気代よりも行為そのものを注意しているためだ。つまり、「無駄な電気代がかかる」というのは建前で、電気を消し忘れていることに対して怒っている。
その人のだらしなさや、普段からの生活習慣に対する怒りであるため、「電気代は大してかからない」という事実を主張しても、あまり意味がないのだ。
むしろ、火に油を注いでしまい、余計に怒りを増幅させてしまうだろう。それらのことから、本記事で解説した内容はまったくの無意味であることがわかる。
素直に家族やパートナーに謝罪した上で、生活習慣や悪いところを直す努力をしていこう。