■素材を味わうスペイン料理 四季のある日本の酒が調和 [日本酒 × スペイン料理]
(※その他の写真は【関連画像】を参照)
店名の「KIRAZ」とは大豆の搾りかすで健康素材の「おから」のこと。スペルをあえてZで終えたのは、「アルファベットを最後で統括する」との想いから。照明を抑えた静謐な店内で提供されるのは創作スペイン料理。

「スペイン料理は素材と季節の味を大切にします。味の構成やうま味の利かせ方など日本に似て日本人好み」とオーナーシェフの馬宮加奈さんは語る。サラリーマン時代に何度も旅行したスペインで出合った食文化に惚れ込み、店で日本酒とのマリアージュを披露する。
「日本酒は万能です。ワインは合わせるのが難しい料理もありますが、日本酒はポテンシャルが高い。酒があって料理を考えだすのではなく、料理を作ってから合う酒を、見出します。日本酒は無限です」。


日本酒の唎酒師として大学のオープンキャンパスに講座を開設し、まだ「ペアリング」という意識がなかった時代から、酒と料理の相性を追求する。特定の産地にはこだわらず、その時その時で優れた素材を見出し料理を作り上げる。創作料理の下、必ず相性の良い日本酒が見出されるという。
新タマネギのガスパチョソースの余韻が残る口中に「光栄菊」を含めば、柑橘にも似た香気がトマトの香りを昇華させていく。
■金時豚のロースト

《徳島県産豚肉》×《秘密のスパイス》
徳島県産のさつま芋「なると金時」を食べて育った豚の肩ロースに7種のスパイス(内容は秘密)を加えてロースト。イタリア産のピスタチオペーストを添えて。温めた「米宗」はスパイスに合い肉の滋味を引き出す。
■日本酒マリアージュ
米宗 山廃純米吟醸 一火原酒 美山錦(愛知県・青木酒造)
・1甘 ・穀物香 ・旨味 ・余韻
限られた特約店にしか出荷されない原酒。燗すれば肉の味を引き出す。
■新タマネギのガスパチョソース

《淡路島産新タマネギ》×《愛知県産トマト》
素材の産地にこだわりはなく、「その時々で良い品」を用いる。今回は淡路島産の新タマネギをフランス料理であるムースに仕立て、その上にスペイン料理のガスパチョを載せウニをあしらった創作料理。新タマネギのコクにトマトの酸味が快い。
■日本酒マリアージュ
光栄菊 黄昏Orange 無濾過生原酒(佐賀県・光栄菊酒造)
・3甘 ・果実香 ・酸味 ・酸味
「オレンジ」の名の通り柑橘類のように爽やかな飲み口。冷酒か常温で。
■サーモンのミキュイ

《青森県産サーモン》×《高知県産の文旦》
「ミキュイ」とは「半生」を意味するフランス語。その名の通り新鮮なサーモンに火を通し、カブに季節の野菜をあしらい文旦と茗荷のジュレを注ぐ。火の通り具合は秒単位で進んでいく。絶妙な「半生」の瞬間を見極めるのが腕の見せどころ。
■日本酒マリアージュ

百春 純米原酒 無濾過生(岐阜県・小坂酒造場)
・1甘 ・旨味 ・余韻 ・コク
果物かバニラを思わせる芳醇な香り。酒自身のコクがサーモンに合う。
■日本酒ペアリングコース(1万3000円)
●冷菜
●温菜
●メイン
など、お任せ5〜6品
和酒バル KIRAZ(わしゅばる きらず)
東京都目黒区三田2-9-5
TEL:03-3712-7277
営業時間:18:00~23:00
定休日:月、日曜
取材・文/角田陽一
※この記事は2024年8月号に掲載されたものです。
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