101819標本に囲まれた博物館のような昆虫部屋|趣味部屋、拝見!

標本に囲まれた博物館のような昆虫部屋|趣味部屋、拝見!

男の隠れ家編集部
編集部

■博物館仕様のドイツ箱が並ぶ 夢の昆虫部屋で過ごす時間

⚫︎もこ(関)さん/@mokorin64

この記事は2024年9月号に掲載されたものです。

(※その他の写真は【関連画像】を参照)

自慢の昆虫標本に囲まれた夢のような空間でくつろぐもこさん。
ヘラクレスオオカブト(タカクワイ)。ブラジル西部産。
オオツノハナムグリの一種。

“博物館のような空間にしたい”── 白い壁一面に掛けられた標本箱にはヘラクレスオオカブト、ギラファノコギリクワガタ、オオツノハナムグリといった甲虫が整然と並ぶ。

美しい塗装が施された、上面がガラス張りの木製の標本箱、通称「ドイツ箱」がいくつも飾られた部屋。使用するドイツ箱は一つ1万円ほどとかなり値が張るが密封性が高く、博物館で使用されているものと同じもの。

レックスゾウカブトのメスのさなぎはこぶし大。
ボトルが並ぶ飼育棚。
レックスゾウカブトのメスの幼虫もボトルで育てている。

「標本箱は虫が入り込んで標本を食べてしまうこともあります。この箱はつくりがしっかりしていて蓋も開けにくくなっています」

壁掛け用の飾り棚が高額で、デザインもイメージと違ったため、ホームセンターの金具で自作した。

3年前、結婚を機に建てた家に造った念願の昆虫部屋。縦長の8畳ほどの部屋は、中央に小さな仕切りがあり、作業場を兼ねた標本スペースと水場を設けた飼育スペースに分かれる。

クワガタの専門雑誌「ビークワ」(季刊・むし社)は1巻~91巻までが揃う。

「こんな部屋をもつのがずっと夢だったので、奥さんが理解のある人じゃなかったら、一生独身だったかもしれません」ともこさん。

幼い頃から昆虫が好きで、家の裏にある草むらや近くの畑、田んぼでバッタやカマキリを捕まえて遊んでいた。本格的に標本を作り始めたのは社会人になってから。それまで昆虫と触れ合うことはあっても、クワガタやカブトムシを捕まえたことがなかった。

壁掛けはホームセンターで購入したコの字型の金具を2つ重ねる。

「大人になってクワガタやカブトムシを捕まえてみたいな、と思ったのがきっかけです。いろいろと調べて採集に行くようになりました」

もこさんに甲虫類の一番の魅力について伺うと、その重厚感と美しいフォルムだという。昆虫を飼育しながら、観察しては楽しんでいたが、ある時飼っていた虫が死んでしまい、それを捨てるのがもったいないと感じたことが標本作りの最初だった。集めることに夢中になり、一時は飼育よりも収集熱の方が高かったそうだ。

湯でふやかした昆虫の足を針で固定、乾燥させる。
標本作りの道具。中性洗剤やアセトンは昆虫の体から出る油を取り除くのに使用する。
ガラスが割れてしまったドイツ箱は道具箱に再利用。

「今はまた飼育に力を入れています。飼育には自分で育てて、大きくするという楽しみがあります」

飼育では温度管理が一番苦労する。暑いと死んでしまうため、室内の温度は常時22~23度。年中エアコンをつけたまま、温度計をいくつも部屋に置く。太陽光パネルも設置し、停電対策も抜かりない。以前はワンルーム住まいだったため、夏は寒さのあまり布団を被って耐えることもあった。

昆虫用の撮影ボックス。育てた昆虫を生きたままオークションやフリマサイトに出品することも。
売り上げはえさ代や標本購入の資金に。

昆虫愛あふれるもこさんだが苦手なこともある。カブトムシやクワガタの幼虫、さなぎを飼育するボトルやケースは3カ月に一度、すべての土を入れ替える。

虫が土の栄養を吸収し、土が劣化するためだ。数百匹を飼育する容器の土を入れ替え、洗浄する作業は容易ではない。その作業がとても億劫だと話すもこさんだが、生き物を飼うということはきっとその苦労以上の喜びがあるのだろう。

ガチャガチャの巨大甲虫フィギュア。
精巧なつくりでカブトムシ、クワガタ、ハナムグリなどがある。

もこさんにとってこの昆虫部屋は“人生”そのものだ。

「生きがいですね。これがなかったら仕事をするモチベーションも湧かないくらい。まだまだ未完成なので、この部屋を完成させることが新たな夢ですね。仕事も頑張れます(笑)」ともこさん。

昆虫収集家にとって、夏は一番忙しい時期だ。クワガタは6月下旬から7月にベストシーズンを迎え、カブトムシは少し遅い7月の中旬以降に数が増えるそうだ。

甲虫類のポスター。
2003年の最初期のムシキングカード。プレミアがついて高額取引される。
クワガタ用のクワリウムも。

「今、コレクションしているものよりも大きいものを捕まえたら、その都度、標本箱の中身を入れ替えて更新していきます」

一つまた一つと、新しい昆虫と出合い、もこさんの夢の空間が完成へと近づいていく。今年ももこさんの“熱い夏”がやってくる。

輝くような体色のオオセンチコガネは生息域によって体色が変わる。多くの地域では赤系、関西圏では青系、緑系、赤系のすべてが採集できる。
北海道産のミヤマクワガタは、寒冷地に生息するため虫専用の冷蔵庫で飼育している。
羽を広げた標本は上級者向け。繊細な作業が必要。
パプアキンイロクワガタ。通常の虹色に加えて、緑、赤、青、紫紺とさまざまな色があり、遺伝によるものと考えられている。

■BEST ONE!

金箔を塗ったように美しい“オウゴンオニクワガタ”

ミャンマーの固有種で、1994年に発見された亜種のババオウゴンオニクワガタ。乾燥したところでは黄金色の体だが、湿度が高くなると黒色に変色する。

■ROOM DATA

広さ/17㎡
使用年数/3年
趣味/昆虫採集、標本作成、beatmaniall DX

この記事は2024年9月号に掲載されたものです。

撮影/尾上達也

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