東京・有楽町の交通会館地下に店を構える「わかやま紀州館」が、2026年2月9日に開設22周年を迎えた。これを記念し、2月7日から9日までの3日間、同館および有楽町駅前地下広場を舞台に周年祭が開催された。
2004年のオープン以来、和歌山県の観光、食、酒といった多彩な魅力を首都圏に発信してきた紀州館。22年という年月は、単なる物産拠点を超え、「和歌山と都市をつなぐ窓口」としての役割が定着してきたことを物語る。
周年祭では、その歩みを振り返ると同時に、改めて和歌山の奥深さを体感できる企画が数多く用意された。
故郷の情景が浮かぶトークショー|出身者が語る「和歌山愛」

周年祭の幕開けを飾るオープニングセレモニーには、和歌山ゆかりの特別ゲスト二人が登場した。和歌山県観光大使を務める演歌歌手の山西アカリさんと、和歌山県出身のモデル・坂尻夏海さんだ。坂尻さんはこの日、進行役も務めながら、地元出身者ならではの視点で和歌山の魅力を語った。

有田市出身の山西さんは、ステージに立つなり「『ありた』ではなく『ありだ』です。濁点がつくのがこだわりなんです」と、地元愛あふれるトークで会場を沸かせた。上京して13年目を迎える山西さんだが、今でも帰省時に紀の川を越える瞬間、「帰ってきたな」と深く実感するという。
「離れれば離れるほど、和歌山の自然の豊かさ、星空の美しさ、そして何を食べても美味しい新鮮な食材のありがたみが身に沁みます」と語る山西さんに、坂尻さんも深く共感。坂尻さんは「私も東京にいた時期がありますが、和歌山が恋しくなる気持ち、本当によく分かります。寂しくなると、ここ紀州館に足を運んでエネルギーをチャージしていました」と、自身の経験を重ねた。

トークの話題は、和歌山が誇る「温泉」にも及んだ。坂尻さんは「先日、撮影で熊野古道を歩かせていただいたのですが、聖人たちが歩いてきた足跡を感じて、本当に神聖な気持ちになりました」と、最新の活動報告を交えてコメント。
それに対し山西さんは、今年のお正月に熊野の「仙人風呂(冬限定の巨大露天風呂)」や日本最古の湯・湯の峰温泉を訪れたエピソードを披露。「熊野本宮大社は私にとってのパワースポット。あの長い階段を登るだけで、心がリフレッシュして『今年も頑張ろう』と思えるんです」と、故郷の精神的な豊かさを強調した。
都会の真ん中に“みかん山”が出現、世界農業遺産の誇り

今回のイベントで最も目を引いたのは、地下広場に出現した巨大なフォトスポット「みかんの木」だ。これは単なる装飾ではない。山西さんの故郷でもある有田地域から、本物の木の枝や果実を運び込み、都会のど真ん中に和歌山の象徴であるみかん畑を再現したものだ。
これを見た山西さんは「東京の真ん中にみかん畑があるなんて。みかんたちも『東京に来たで!』とびっくりしているはず」と笑いを誘い、坂尻さんも「和歌山に住んでいると、みかんは買うものではなく『いただくもの』ですよね。帰り道に近所の方からもらったりして」と、和歌山あるあるネタで盛り上がった。

和歌山のみかん栽培は400年以上の歴史を誇り、「有田・下津地域の石積み階段園みかんシステム」は世界農業遺産にも認定されている。また、坂尻さんの出身に近い「みなべ・田辺の梅システム」も同様に世界農業遺産だ。一つの県で二つの農業遺産を持つ誇りについても、二人は声を揃えてアピールした。

さらに、来場者を驚かせたのが「朝採れみかん」のプレゼントだ。当日朝に和歌山で収穫されたばかりのみかんが、南紀白浜空港から羽田空港へと空輸され、その日のうちに会場へ届けられた。JAL定期便を活用したこのスピード輸送は、和歌山と東京の物理的な近さをアピールすると同時に、「本当の旬」を届けたいという県のこだわりが詰まった企画であった。
酒、食、そしてパンダ。館内で展開された多彩な仕掛け

地下広場の賑わいは、交通会館B1階の店舗へと引き継がれた。リニューアルを経て以前の1.5倍に広くなった館内では、周年祭ならではの特別企画が目白押しとなった。
特設コーナーでは、和歌山の地酒とチョコレートを組み合わせた「バレンタイン特別飲み比べセット」を限定販売。また、対象商品の購入で挑戦できる「紀州DEビンゴ」や、SNS投稿者を対象とした「ジャンボガラガラ抽選会」では、南紀白浜への往復航空券やペア宿泊券といった豪華景品も用意されていた。
また、2月8日からは、和歌山が世界に誇る「アドベンチャーワールド」の限定グッズも販売。山西さんは「小さい頃はよくパンダを見に行ったり、イルカショーに感動したりしていました」と振り返っていた。
22周年の先へ。有楽町から始まる和歌山への旅

22周年という節目を迎えたわかやま紀州館は、これまで積み重ねてきた時間と信頼を背景に、さらに進化を続けている。イベントを通じて感じたのは、和歌山が持つ魅力の幅広さと、その入口としての紀州館の存在感だ。
食、自然、文化、人……、そのどれもが肩肘張らず等身大で伝えられているからこそ、訪れる側も「次は現地に行ってみたい」と思わされる。魅力あふれる和歌山県に、次の休みには実際に足を運んでみてはいかがだろうか。そのきっかけは、きっとこの有楽町の一角から始まっている。
【わかやま紀州館】
住所:東京都千代田区有楽町2-10-1 東京交通会館地下1階
営業時間:物産10:00~19:00、イートイン11:00~19:00(日・祝は18:00まで)
公式HP:わかやま紀州館
代表は1992年、大阪府出身。出版社、編集プロダクションで書籍・雑誌の制作に携わり、独立後の2019年には記事制作会社「合同会社エーライト」を設立。月刊誌『男の隠れ家』の編集としてお世話になった経緯もあり、現在は「男の隠れ家デジタル」でも記事制作を行っている。
仕事ばかりしすぎて「趣味ってなんだっけ?」と思いつつも、取材先やネタ探しで出会うものに影響を受けがち。毎年のように和歌山でワーケーションを行ってるほか、最近は別府温泉にハマり、半年で4回も訪れるほど。生粋のキッチンドランカー。
