西成の名物ホルモン焼き
大阪環状線と関西本線の通るガード下、通勤ラッシュの時間(※2015年取材当時)に「権兵衛」は店を開ける。ホルモンのタレと焼きそばのソースを炒める香りが、朝の胃を起こしてくれるようだ。
「昭和21年(1946)に親父が始めて。当時はこの辺りは闇市だったからね、バラックでやってたんですよ」
そう語るのは二代目になる泉谷啓二さん。店は兄弟で経営しており、午前中は啓二さん、午後はお兄さんが店を切り盛りしている。
新今宮のある西成区といえば、労働者の町。昔は朝の5時から開店しており、夜勤明けに一杯飲みに来る客も多かったという。今は町の様相も変わり、観光客も多くなった。
「若い人や女性も店に来るようになったし、外国のお客さんも増えた。昔では考えられなかったなぁ」
なかには親子二代にわたる常連や、わざわざ四国から毎月来てくれる客もいる。町は変わっても、先代からタレをつぎ足し続けてきたホルモンの味は変わらない。
※新型コロナウイルス感染症対策のため営業時間・定休日に変更の可能性あり(2015年取材)
写真/尾上達也