一階はバイクガレージになっており、設計士に相談してその高さを工夫したことで、念願だった書斎部分が確保できたのだという。
「趣味の時間や調べものをするためにこもれる自分のスペースが、どうしても欲しかったんです。程よい狭さは集中力を高めるので、ここで読書をしていると何時間でも過ごせますね」と話す家主の藤田さん。
屋根の低さ、空間の狭さは畳の部屋にすることで着座点を低くし、時にごろりと寝転がれるのもお気に入り。また、書斎への階段はツリーハウスをイメージしているのだという。
リビングルームの壁に沿って延びる細い専用階段と小さな入口は、遊び心もたっぷりだ。
「なんだか秘密基地に入るようなワクワク感があるんですよ(笑)」と藤田さんは少年のような笑顔で目を細めるが、その気持ちはよくわかる。
中庭を囲むようにL字型に広がる瀟洒な木造の一軒家。吹き抜け箇所を多く造ることで、開放的で明るい雰囲気の間取りになっている。そこに書斎や部屋全体が見渡せるロフトなどを設け、変化に富んだ空間に。さらに屋根と壁をガルバリウム鋼板ですっぽり包み、外の音が気にならない構造になっている。
もともと家は交通量の多い幹線道路に面しているが、こうした防音工法を駆使することで、騒音も限りなく防いでくれているのである。
「無垢材を多用した木の温もりのある造りで、外の音も気にならない。こもるのには最適です!」
【秘密基地造りのPOINT】
1.狭い空間は畳敷で着座点を低くする。
2.入り口を工夫してワクワク感を演出。
3.外の騒音が気にならない防音工法。
文/岩谷雪美 写真/本林昭吾