ミッドセンチュリーの自転車が揃う店

細い階段を上がっていった先。年代物の家具や小物が並ぶ店内で強く存在感を放つのは、風合いを帯びつつも、丹念に手入れされたヴィンテージ自転車である。同ビルの倉庫には、常時70台ほどが出番を待っているという。

オーナー・杉村聡さんは、車整備、それも特殊な構造のトラックまで見るプロフェッショナルな仕事を経て、かねてから興味のあったインテリアの世界に飛び込んだ。

ヴィンテージ自転車に出合ったのは、当時働いていたアンティーク店の社員として買い付けに赴いた、アメリカでのこと。純粋に「かっこいい」と形から惚れ込んでいった。

現在、自転車は、アメリカならSCHWINN(シュイン)、フランスならPEUGEOT(プジョー)、イギリスのRaleigh(ラレー)、それにイタリア製をはじめ、1950~70年代のものを扱っている。

杉村さん曰く「触ってさらに作りの奥深さに気づきます。外からは見えない小さな部品にメーカーの刻印があったり、ベアリングひとつとっても素材に凝っていたり。コストを無視した感さえ受けます」。

そう、ヨーロッパやアメリカの自転車製造においては、1980年代に入ると大方アジア生産へと移行していく。当時資源の豊富だったアメリカで作られた自転車は錆び方が現在と全然違うように、素材や作りといった随所に当時のその国ならではの特徴、味わい深さが盛り込まれているのだ。

メンテナンスは杉村さんとスタッフ全員で行なっている。「安心して乗ってもらえるように」と、部品1個までばらして細かなチェックを入れる。大半のお客がフルメンテナンスを希望していくし、ときに街場の自転車屋が、持て余してしまった古い自転車を持ち込むほどである。

※営業時間などHPで確認。(2013年取材)

文/沼 由美子 写真/佐藤佳穂