あのスターもかつて通った名物食堂
昭和24年(1949)、米軍基地で働く日本人組合員食堂として開店した「一福」。店の歴史を店主に聞くと、横須賀ならではの話題が多くなる。
「ベトナム戦争の時は港に船が入ると、店の前は米兵のセーラー服で向こうが見えなくなるほどでした。外は騒がしかったけれど、うちは日本人向けの店だったからね」と二代目の比護惣一郎さん。比護さんは奥さんの幸さんと共に、厨房で腕を振るっていた。
店内ではテレビから高校野球の中継が流れている。一家は野球好きで、壁にはソフトボールをしている孫娘の写真が飾られていた。
一角には昭和の漫画が雑然と積み上げられ、プライベート感が溢れている。しかし、だからこそ居心地が抜群に良く、常連客が多いのである。
「お母さんにキムチ鍋をリクエストしたら、それがメニューになったことも」と客の女性。
店に灯りがともる頃になると、今日もまた古くからの常連客が一人、二人と店の暖簾をくぐっていく。
※新型コロナウイルス感染症対策のため営業時間・定休日に変更の可能性あり(2015年取材)
文/阿部文枝 写真/遠藤純
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