カラマツの針葉樹林帯を抜け入笠湿原を目指す。フラットな雪山で足慣らし

準備運動をしてスノーシューを装着、トレッキングポールをセッティングしたら、いよいよスノーシューハイクのスタート。まずは、山頂駅から出て左手直進、ゲレンデを右手に見て森林を歩いていく。林の中なので雪量はさほどなく、ほぼ斜面なしのフラットなコースを進んでいく。木々に積もった粉雪がキラキラと輝き、この季節ならではの美しい表情を見せる。夏とは違う澄んだ空気が最高に気持ち良い。

約30分ほど歩くと、突如、目の前に広大な湿原が見えてくる。湿原とは言ってもこの季節は積雪があるので雪の原が広がっているだけだが、まさにここは白樺と雪原の神秘的な世界。真っ青な空と雪の白、コントラストがとても美しい。歩いてでしか来られない、見ることのできない素晴らしい景色に心が躍る。
ちなみにこの湿原から一段上がったところには、冬季でも使えるトイレもあるので女性でも安心だ。

新雪を踏み、入笠山頂にむけてのんびりとスノーシューを楽しむ

入笠湿原から雪道を約20分ほど歩くと、登山口に到着する(ちなみにここにもトイレがある)。さぁ、いよいよここから本格的なスノーシュートレッキング、登山が始まる。マナスル山荘前の急斜面を一気に駆け上るわけだが、昨晩降った新雪はまさにラッセル状態。最高のパウダースノーがどこまでも広がっているが、しかし、スノーシューを履いていても膝まで埋まってなかなか歩が進まない。のんびりのんびり、確実に登っていく。スノーシューのすごいところは、腰丈くらいの雪の量でも普通に歩けてしまうところだ。普通のシューズでは行けない(歩けない)場所をぐんぐんと登っていくのがとても楽しい。急斜面の場合、スノーシューのカカトのレバーを上げれば常に足裏の平行が保てるので、傾斜もへっちゃら。想像以上に楽に雪山登山が楽しめるのがわかるはずだ。

やっとの思いで急斜面を登りきると、いよいよここからがラストスパート。ところどころ傾斜のきついカラマツの樹林帯を歩き、ぐいぐいと高度を上げていく。ルートがわかりやすいようにリボンが木に巻かれているので、それを目印にして歩いて行こう。ただし、不規則に降り積もった雪はかなり歩きにくいうえ、地面に落ちたカラマツの枝の上に降った雪にエアポケットがあるので、けっこうな確率で足を取られる。スノーシューをもう一回しっかり締め直して慎重に登って行こう。

360度パノラマ!1955mの入笠山山頂に立つ

樹林帯をゆっくり登ること約45分、最後の稜線に出る。ここからは頂上まではもう数分だ。頂上付近はトレイルが限定されるために人が多く歩き、圧雪されて凍っている場所も増えてくる。ここはクライマックス、滑らないように注意して登り切ろう。初心者コースとはいえ、夏山登山とは勝手が全く違う。コースタイムはたった3時間ほどだが、慣れない人にとって雪山を歩くことは自体、体力的になかなかハードだろう。が、しかし、それ以上に感動は大きいものである。

ついに入笠山の山頂(1955m)に到着だ。途中休憩を挟んで約3時間、この景色を見たいがためにここまでやってきた。八ヶ岳はもちろん、北・中央.南アルプス、そして遠くには富士山までもがバッチリ見える。手軽に登れる2000m弱の山から見えるのは、日本を代表する名峰ばかりだ。入笠山に登るのであれば、絶対に晴天時がオススメだ。ここまで来てこの素晴らしい景色を見られないのはとてももったいないので、事前に天気予報と積雪情報をチェックしよう。

山頂での楽しみはなんと言ってもランチ。冷え切った体を温めてくれるホットコーヒー、そしてこんな場所だからこそ美味しいのがカップラーメンである。その辺りにいくらでも新雪ががあるので、重たいペットボトルの水を背負って来る必要はない。綺麗な新雪を大量に溶かして湯を作り、熱々のカップラメーメンをいただく。さらに食後にはチョコレートとナッツ。疲れた体が生き返る瞬間。まさにこれこそ、大人の遊びだ。

<注意点>
湯を沸かす場合、カセットコンロ用のガス(CB缶)はお勧めできない。なぜなら、低温で使いものにならない場合が多いからだ。雪山では低温でも使えるアウトドア缶(OD缶)か、CB缶でも寒冷地用のものを用意しよう。液体燃料になるが、灯油、ホワイトガソリンバーナーでも可。山頂で火が使えないことほど悲惨なことはない。

食事が済んだら同じルートを約30分(登山口まで)ほどかけてゆっくりと下山する。動物の足跡やフンを発見したり、冬の木々を観察したり、を鳥の声に耳を傾けたり。仲間との他愛ない会話も楽しみつつ、のんびりと下っていく。崖のないまっすぐな坂道があればそこを全速力で走ってみるのも面白い。例え転倒したとしても雪まみれになるだけで、怪我をする心配はない。
近年、全国各地で積雪量が減っている。こういった雪山遊びが年々難しくなる環境になりつつあるが、今冬はぜひ天気予報をチェックしつつ、ぜひこの山に登っていただきたい。
もちろんスノーシューを持っていなくともレンタルも可能だ。スキーやスノーボードもいいが、スノーシューで遊ぶ楽しみを知ると、もっと自然が身近に感じられるようになるはずだ。

文/Noriy.K  撮影/むかのけんじ

詳細ルートは下記参照。
https://www.fujimipanorama.com/snow/wp-content/uploads/2016/10/trekking_map1819.pdf