消毒用アルコールの成分・効果的な濃度

手指や物の消毒に用いられる消毒用アルコールは、エタノールが主成分で消毒用エタノールとも呼ばれる。消毒に適したアルコール濃度にした医薬品及び医薬部外品で、添加物を加えたアルコール製剤には、液体状やジェル状などさまざまなタイプがある。

アルコール濃度は80vol%(※)前後のものが主流で、新型コロナウイルス対策としてアルコール消毒が推奨されていることから、品薄の状況が続いている。

※vol%=ボリューム%。体積比におけるアルコール濃度

感染症を予防する対策として、石けんで手洗いをした後に消毒用アルコールを使うとより除菌・殺菌効果を高めることができ、流水で手洗いができない場合も、十分な量の消毒用アルコールを指や手のひら、甲にすりこむことで消毒効果を高めることができる。

アルコール消毒液は手作りできる?

厚生労働省は、消毒用アルコールが手に入らない場合の手段として、エタノールやアルコール度数の高いお酒など、高濃度アルコールを使って手作りする方法やその注意点を発表している。

作り方はそれほど難しくないが、薄めすぎると効果がなくなり、取り扱い方次第で火事などの事故にもつながるため注意が必要だ。アルコール消毒液を作るのに必要なものや希釈して薄める割合、注意点などをまとめてみた。

エタノール・無水エタノールを使った消毒液の作り方

現在、消毒用アルコールだけでなく、エタノールや無水エタノールも入手困難な状況にあるが、運良く手に入った人はこれから紹介する方法を参考にしてほしい。

用意するもの

エタノール
精製水
容器(アルコール液対応のもの)

エタノールでアルコール消毒液を作るのに必要なものは、エタノール・精製水・容器のみ。ただし容器はアルコール液対応のものを選ぶ必要がある(詳しい注意点は記事の後半で解説)。

また、高濃度のエタノールは肌への刺激が強いため、作業のときにはゴム手袋、または、ビニール手袋を装着すると良い。

エタノールと無水エタノールの違い

ドラッグストアやネット通販でエタノールを購入しようとしたら、“無水エタノール”、“エタノール”と名称の異なるエタノールがあり、どちらを買ったらいいのか悩んだ人もいるだろう。

エタノールと無水エタノールの違いはアルコール濃度で、無水エタノールは水分を含まないためほぼ100vol%、エタノールは95vol%ほどだ。

無水エタノール・・・99.5vol%以上
エタノール・・・95.1~96.9vol%

どちらも薄めることでアルコール消毒液を作れるので、在庫数や値段に応じて手に入りやすいものを選ぼう。

希釈の割合

無水エタノールとエタノールを使った場合の希釈の割合は異なる。消毒用として有効な殺菌・除菌効果が期待できるアルコール濃度に薄める必要があるのだが、計算は面倒だ。すぐに作れるように、作りやすい量の一例を挙げておこう。

▼約80vol%のアルコール消毒液を100ml作る

無水エタノールを使う場合
1.無水エタノール約80mlを容器に入れる
2.精製水を全量で約100mlになるまで加える

エタノールを使う場合
1.エタノール約85mlを容器に入れる
2.精製水を全量で約100mlになるまで加える

精製水の量を正確に提示できないのにはワケがある。エタノールと混合すると体積が減少するためだ。精製水の量は全体量で調整するようにしよう。

アルコール度数の高いお酒を使った消毒液の作り方

無水エタノールやエタノールが手に入らない場合には、アルコール度数の高いお酒でも代用ができる。市販の飲料用のお酒の主成分はエタノール。飲料用でも殺菌・除菌効果が見込めるアルコール度数の高いお酒であれば、消毒液の代用品としては機能する。

なかには味わいを高めるためにフレーバーや甘味料などを添加しているお酒もあるため、原料や成分を事前に確認しておこう。この春から酒造メーカーが消毒用に使うことを意識して製造開始した高アルコール製品なら問題はなさそうだ。

お酒で消毒用アルコールを代用|高濃度アルコールの殺菌効果は?

消毒・殺菌に適した度数

厚生労働省は3月、手指消毒用エタノールの供給が不足していることから、高濃度アルコール製品を代替として用いても差し支えないと発表し、新型コロナウイルスに有効なアルコール濃度は「原則 70~83vol%の範囲内であること」としていた。

その後の改訂により、新型コロナウイルスに対しては、60vol%台のエタノールによる消毒でも一定の有効性があると考えられるとの報告等があり、手指の消毒には「60vol%~83vol%の範囲内」の消毒液に一定の有効性があるとの見解を示した。

度数による希釈の割合

前述の通り、「60vol%~83vol%の範囲内」の消毒液が手指の消毒に適しているということなので、お酒を代替品として使う場合は、「アルコール度数が60度~83度」のものを選ぶと良い。その範囲内の度数のお酒であれば、そのままアルコール消毒液として使えるので、希釈の必要はない。

そのままのボトルだと使いにくい場合には、小瓶やスプレー容器に移し替えて使うのもおすすめだ。

ただし、アルコール度数が90度近くあるものは薄める必要がある。上記のエタノールの薄め方を応用して希釈すると良いだろう。

アルコール度数が60度~83度のお酒
そのまま、アルコール消毒液の代用として使える

アルコール度数の高いお酒とは?おすすめは?

今、各酒造メーカーは次々と高濃度アルコール製品を発売している。山梨県の笹一酒造の「笹一アルコール77」や高知県・菊水酒造の「アルコール77」など、77vol%のものが多い中、60vol%台でも一定の有効性が認められたことから、アルコール度数が60度台のお酒の出荷にも力を入れている。

また、5月1日以降の措置として厚生労働省が「高濃度エタノールに該当する酒類のうち、一定の要件を満たしたものは酒税が課されない」と発表したことから、酒造メーカーから「飲用不可」と表示をした消毒用エタノールを出荷できるようになり、そのような製品にも注目が集まる。

こちらの記事では、各酒造メーカーから発売されているアルコール度数の高いお酒を度数別にリスト化しているので参考にしてほしい。

アルコール度数と殺菌・消毒効果|高濃度のお酒一覧リスト

アルコール消毒液を手作りする際の注意点

高濃度アルコールは引火しやすいので、作業中は火気に近づけないように注意を払わないといけない。通風性の良い場所や換気が行われている場所で作業し、漏れやあふれ、飛散などにも注意しよう。

もちろん、アルコール度数が高いお酒をスプレー容器などに移し替える場合にも注意が必要だ。

そのほか、手作りする際のちょっとした疑問を集めたので参考にしてほしい。

精製水がない…水道水でもOK?

精製水がない場合は、水道水やミネラルウォーターでも代用できる。精製水は、人工呼吸器の加湿器で必要なもの。供給が安定していない今は、代用のもので対応するようにしたい。

アルコール消毒液の保存に適した容器は?

アルコール消毒液を入れる容器は、どういう物がいいのだろうか。

身の回りにある容器として、ペットボトルなどが思いつくが、ペット素材のプラスチックはNG。容器が溶ける可能性もあり、アルコール消毒液の保存に適さない。ほかにも、ポリスレチン素材のプラスチックも不可。プラスチック製品であれば「ポリプロピレン」「ポリエチレン」「ポリ塩化ビニル」なら使用可能で、材質に気をつけて容器を選ぶ必要がある。

100円ショップやネットショップにもさまざまな容器が売っているが、必ず表記を確認して「アルコール液対応」と記載のある商品を選ぶようにしよう。その中にも「高濃度のアルコールは不可」と注意書きがされているものもあるので、注意深くチェックしたい。

そのほか、ガラス容器もアルコール消毒液の保存容器として使える。落として割ることがないよう、取り扱いには注意だ。

OK ※「アルコール液対応」と表記があるものがおすすめ
ポリプロピレン(PP)
ポリエチレン(PE)
ポリ塩化ビニル(PVC)
ガラス容器

NG
ポリエチレンフタレート(PET)
ポリスチレン(PS)

アルコール消毒液の保管方法と使用期限

アルコール消毒液の保管方法

アルコール消毒液は揮発性があるため、確実に蓋を締めるようにしよう。

直射日光が当たる場所や高温となる場所を避けて設置・保管をし、詰め替えた容器には、消毒用アルコールである旨や「火気厳禁」等の注意事項を記載することも大切だ。

手作りアルコール消毒液の使用期限

手作りしたアルコール消毒液はどのくらいの使用期限になるのだろうか?

市販の消毒用アルコールは使用期限が書かれていないことが多いが、未開封で保管場所に気をつけていればおよそ2~3年ほどのものが多い。開封後はアルコールが蒸発していなければ問題なく使えそうだが、明確な使用期限は明らかではない。

手作りの場合は、混合するときの環境や、容器の密閉性など不確かな部分も多いのでなるべく早く使い切るようにするのが良さそうだ。さらに、精製水ではなく水道水で作った場合は、ごく少量含まれることのある細菌が増殖する可能性もあるので、より短い使用期限で考えておこう。

幸い、手作りの場合は自分で作る量を調整できる。使用期限は短いものと考えて、少量ずつ自作するようにすれば、その効果を最大限に活かすことができるだろう。