10630「もつ」の部位を知る|知っておきたい13部位。味の違いや特徴からトリビアまで

「もつ」の部位を知る|知っておきたい13部位。味の違いや特徴からトリビアまで

男の隠れ家編集部
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大衆酒場のメニューでよく目にする「もつ」の名前。それぞれどのようなものなのか、ご存知だろうか。少し知っておくだけでも注文の品を選ぶときの参考になり、酒場に通うのがより楽しくなる。牛もつや豚もつの代表的な部位名と特徴に加え、もつとホルモンの違いについても解説する。
目次

大衆酒場において、「もつ」はもつ鍋やもつ煮、もつ焼きなどで提供される人気商品だ。もつをより楽しむために、ハツやシロといった部位名と知っておきたい特徴について説明する。

そもそも「もつ」って何?

ステーキやローストビーフなどに使われる、ロースやヒレなどの正肉に対して、内臓肉のことの指す。「ホルモン」も同義で使われる。野生の肉食動物は、狩った獲物の内臓から食べるように、栄養価が高く、活力がつくと言われている。正肉に対して価格もリーズナブルな庶民の味だ。

また、レバーやハツ(心臓)のような赤身肉と、小腸や大腸のように色が白い部位に分かれ、白い部位を「白もつ」と呼ばれている。前者には鉄分からくる苦みやクセがあるのに対し、白もつは比較的クセが少なく、弾力のある食感が特徴。

「もつ」と「ホルモン」の違いとは

「もつ」と「ホルモン」は同じものだ。それなのになぜ呼び方が異なるのか、ご存じだろうか。

もつは関東地方で一般的に使用される名称で、「臓物」の「もつ」から来ているという説がある。いっぽう、ホルモンは関西地方での呼び名で、昔は臓物を食べずに廃棄していたため「放るもん(=捨てるもの)」が語源とされている説と、英語の「hormone」に由来しているという説がある。

「もつ」の部位名とその楽しみ方

大衆酒場では、もつを注文する人も多い。もつにはさまざまな部位があり、どれにするか迷うこともある。部位の種類・特徴や違いを知って、ぜひ次回の注文の参考にしてほしい。

牛もつ

・ミノ
牛にはミノ、ハチノス、センマイ、ギアラの4つの胃が並んでいる。ミノはもっとも大きい第1胃で、弾力があり噛み応え満点。味は淡泊で、タンパク質やビタミンB12などの栄養素が豊富に含まれている。脂身が挟まったミノサンドと呼ばれる部分は、噛むと口の中に脂が溶け出しとても美味しい。

・ハチノス
牛の第2胃。ハチノスは、内部がハチの巣のような形状をしている。味はミノと同じく淡泊でタレによく合うが、ミノと違って柔らかいため食べやすい。

・センマイ
牛の第3の胃袋。細かなひだのサクサクとして歯応えで、さっぱりとした味わいが楽しめる。焼肉店では、ボイルされたもの味噌で食べるなど、味付け次第で食感を生かす食べ方もできる。

・ギアラ
牛の第4の胃袋。赤センマイとも言われ、腸のような役割をしているため、脂の乗った濃厚な味わいが特徴だ。牛の胃袋の4つのなかで一番味が濃く、噛めば噛むほどジュワッと肉汁が溢れ出る。

・ハツモト
大動脈。心臓近くの大動脈のため、こう呼ばれ、「コリコリ」や「タケノコ」とも。その名のとおり、コリコリとした食感が特徴だ。

・シマチョウ(テッチャン・ダイテツ・ホルモン)
表面が縞模様のため、牛の大腸のことをシマチョウと呼ぶ。お店によってはダイテツ、テッチャン、ホルモンと呼ばれる。やや歯ごたえがあり、マルチョウ(小腸)よりも脂身が少なくあっさりしている。もつ鍋によく使われる。

・ハラミ
横隔膜の一部で、焼肉で人気の部位。ホルモンらしからぬ「肉感」で、脂肪と赤身の弾力性がある。しっかりとした肉っぽい味わいながら、カルビよりもヘルシーで柔らかい。

豚もつ

・カシラ
豚のこめかみと頬の部分にあたるのがカシラ。顎を動かす筋肉であるため、脂肪が少なく歯ごたえがある。

・シロ
豚の大腸のこと。店によってはダイチョウと呼んだり、小腸と合わせてシロと呼んだりする。ビタミンDやE、葉酸など多くの栄養素を含み、噛むほどに味わいが口に広がる。

・ガツ
豚の胃。砂肝のような独特の食感が特徴。カロリーが低くあっさりとした食べごたえだが、タンパク質が多く含まれているため積極的に食べたい部位だ。

・コブクロ
「子の袋」から豚の子宮のこと。若いメス豚のみから得られるの希少部位で、コリコリの食感と柔らかな弾力が同時に楽しめる。

・テッポウ
豚の腸のなかでも、もっとも味がいいとされる直腸。開くと鉄砲の形に似ていることからその名がついた。絶妙な食感と脂感を活かすには、焼き加減が大事。

・ハツ
心臓。英語の「ハート」に由来し、関西圏では「ココロ」とも呼ばれる。筋繊維のシャキシャキした歯触りが楽しめる。豚だけでなく、牛ハツ、鶏ハツなど、やきとりや焼肉でも人気の部位。

「もつ」の栄養素とは

「放るもん」と揶揄され、栄養面で不安がありそうなもつですが、精肉に比べ内臓系の肉は栄養素が高く、疲労回復や免疫力、皮膚粘膜をサポートするビタミンB群やビタミンA、鉄分や亜鉛も多く含まれている。

ビタミンB群

エネルギーをつくるのに欠かせない栄養素で、動植物性食品に多く含まれているので、日本人の食生活には不足しがち。「代謝ビタミン」とも呼ばれ、疲労や、肩こり、筋肉痛にも効果的と言われている。

ビタミンA

豚レバー、鶏レバーに多く含まれ、皮膚や粘膜を健全な状態に保つので、風邪予防に効果的。毛髪・皮膚の潤いや、ニキビやアトピーのサポートにもなるるので、美容効果も期待できる。

鉄分

サプリで補給している人も多いが、できるだけ自然のものから摂取したいところ。貧血だけでなく、倦怠感や疲労感の改善にも。

亜鉛

男性だけでなく、女性もしっかりと補給したいのが亜鉛。亜鉛は、男性はより男性的に、女性はより女性的になるホルモン分泌を活性化させる。

美容食材:咀嚼とローカロリー

もつを食べるときはしっかり咀嚼する必要がある。これによって、少量でも満腹感を得られるうえ、脳の活性化も促される。

また、生肉と比べ、低カロリーでコラーゲンやアミノ酸が多く含まれる部位もあるので、健康・美容食材と言える。

ビールと相性抜群の理由

酒のつまみといえば唐揚げや枝豆、塩辛など、塩分を感じるものが多く挙げられる。その理由はビールの成分にある。

ビールには血液に必要なナトリウムが含まれていない。ビールを飲むと水分ばかりが摂取され、血液が薄まってしまう。そのため、ビールを飲むと自然とナトリウム=塩分が含まれた料理が食べたくなる、というわけだ。

つまみの中でももつは、タレで焼いたり塩をかけたりと味にバリエーションがある。もつだけで長時間酒を楽しむことができるため、酒のつまみとしては実に優れものなのだ。

もつは部位によって食感が異なり、飽きのこない料理だ。もつ鍋やもつ煮、串など自分好みの部位と味を見つけ、酒場の楽しみを増やしていきたい。

自宅もつ焼きにおすすめのアイテム

家庭用無煙ロースター

家飲みが増えた今、もつ好きとしては自宅でもつ焼きを楽しみたいところ。そんなときに気になるのが煙や匂い。もつは脂が多いため、焼いたときに煙が匂いが発生しやすい。換気で空気を循環させることが大切だが、無煙ロースターを使うのもおすすめだ。食材から出る油が加熱部に落ちない構造になっているため、煙が発生しにくいのでもつ焼きに最適だ。以下の記事では、無煙ロースターの仕組みと選び方、おすすめアイテムを紹介している。家でもつ焼きを楽しみたいと考えている人は、ぜひ参考にしてほしい。

家庭用ビールサーバー

もつと相性抜群のビールをより美味しく本格的に楽しみたいという人におすすめなのが、きめ細かい泡を味わえるビールサーバー。各メーカーから家庭用ビールサーバーが登場していて、そのタイプもさまざまだ。

選ぶときに注意したいのは「泡の発生方式(炭酸ガス方式・超音波方式)」「卓上型かハンディか」「缶・瓶対応か」の3点。例えば「炭酸ガス方式」は炭酸ガスで圧力をかけるいわゆる「生ビール」タイプで、「超音波方式」は超音波で振動させきめ細やかな泡を作り出すタイプなど、こだわりによって選び方は人それぞれだ。

以下の記事では、卓上タイプ・ハンディタイプのビールサーバーほか、手軽なビアフォーマーなどを種類別に紹介している。家飲みをもっと充実させたい人は、参考にしてみてはいかがだろうか。

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