22154焼酎用語の基礎知識を知る|これだけは覚えておきたい酒の用語辞典/焼酎編

焼酎用語の基礎知識を知る|これだけは覚えておきたい酒の用語辞典/焼酎編

男の隠れ家編集部
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日本で独自に進化した焼酎はさまざまな原料から作られ、その味わいや風味はそれぞれに豊かだ。普段、何気なく口にしている焼酎の用語を知って基礎知識を深めよう。
目次

焼酎用語の基礎知識を学ぼう

壱岐焼酎・球磨焼酎・薩摩焼酎
(いきしょうちゅう・くましょうちゅう・さつましょうちゅう)
国際的な地理的表示が認められる産地指定を受けた焼酎。「壱岐焼酎」は、長崎県壱岐において、米麹と麦を1対2の割合で使用、島内の水で仕込んで蒸溜した麦焼酎に許された名称。「球磨焼酎」は、熊本県人吉市・球磨郡において、その地域の地下水を使用して米麹と米100%の原料で仕込んで蒸溜した米焼酎。「薩摩焼酎」は、鹿児島県において、鹿児島産のサツマイモを使用して、県内の水で仕込んで蒸溜した芋焼酎をいう。

粕取り焼酎(かすとりしょうちゅう)
日本酒の副産物である酒粕にはアルコールが残っている。これに少量の水を加えて再発酵した粕に蒸気を吹き込み蒸溜して造られる焼酎。終戦直後に粗悪な密造焼酎をカストリと呼んだことなどからイメージがよくないが、本来の粕取り焼酎は甘みがあり、スッキリして飲みやすい。早苗餐(さなぶり)焼酎ともいう。これに対して醪取り(もろみとり)焼酎は、麹と酵母を使って発酵させた液体の醪を蒸溜して造られる。

甕壷仕込み(かめつぼじこみ)
素焼きの甕壷を用いて仕込みをする方法。以前は一般的な方法だったが、最近では管理しやすいタンクを使用する蔵が増えて、一次、二次とも甕壷で仕込む蔵は少なくなっている。蔵の環境や造り手の腕に左右されやすく、個性的な味わいになる。焼酎の温度を安定させるために地中に埋め込んで使用する。

減圧蒸溜(げんあつじょうりゅう)
大気よりも低い圧力に減圧した状態で行う蒸溜。沸点が低くなるので、醪は40~50度の低い温度で蒸発するが、沸点が高い成分は蒸発しにくいために、従来の常圧蒸溜に比べて、風味が軽くマイルドな仕上がりになる。1975年頃から導入された新しい方法。

原料(げんりょう)
焼酎の原料となる条件はでんぷん質が多く含まれていること。でんぷんが含まれていれば、さまざまな原料で造ることができる。一般に知られているサツマイモ、麦、米、黒糖のほかにも、そば、胡麻、栗、さらにジャガイモ、牛乳、コーヒーなどの焼酎もある。麦芽や果実など、使えない原料が酒税法で決められている。

麹菌(こうじきん)[黄麹菌、黒麹菌、白麹菌]
原料のでんぷん質をブドウ糖に分解する微生物。米や麦に麹菌を繁殖させ仕込みの際に加える。古くは日本酒と同じ黄麹菌だったが、クエン酸を作り醪の腐敗を防ぐ効果のある泡盛の黒麹菌を明治末期頃から導入、以後は黒麹菌が使われた。しかし、黒麹菌は作業する蔵人が真っ黒になるという欠点があるために、大正7年に発見された白麹菌がその後の主流になった。最近また黒麹菌が注目されている。

熟成焼酎(じゅくせいしょうちゅう)
完成した後に貯蔵して熟成させた焼酎。甕貯蔵と樫樽を用いた樽貯蔵がある。香りがよく、まろやかな味わいになる。長期熟成は3年以上熟成させた焼酎をいう。

常圧蒸溜(じょうあつじょうりゅう)
自然な大気圧のもとで蒸溜する、古くからの方法。原料の持つ個性がそのままストレートに出やすいために本格焼酎造りに向いている。芳醇な味わいが特徴。

焼酎酵母(しょうちゅうこうぼ)
糖類をアルコールに変える微生物。酒の種類によってさまざまな酵母がある。鹿児島県酵母、宮崎県酵母、協会焼酎酵母2号、泡盛酵母などがある。蔵つきの酵母もある。温度と酸に強い特徴を持つ。

蒸溜(じょうりゅう)
複数の成分が含まれる液体を加熱して蒸発させ、成分による沸点の違いを利用して、特定の成分を分離させること。アリストテレスが原理を発見した。水よりも沸点の低いアルコールが先に蒸気になるので、蒸気を冷却して再び液体にすることで、アルコール度数の高い酒を造ることができる。

だれやめ
九州の方言で、「だれ」は疲れてだれる状態、「やめ」はそれをやめること。一日の疲れを癒して晩酌すること。だれやみともいう。

単式蒸溜機(たんしきじょうりゅうき)
蒸溜機に醪を入れて蒸溜させ、終わると焼酎粕を排出し、次に新たに醪を入れて蒸溜する伝統的蒸溜機。原料の風味が残って、独特の味わいが生まれる。本格焼酎造りに使われる。

杜氏(とうじ)
酒造りの際に蔵人を指揮する長のこと。焼酎では鹿児島県南さつま市笠沙町黒瀬の黒瀬杜氏が黒麹を広めて勢力を伸ばした。同市金峰町阿多の阿多杜氏も知られていたが、最近ではほとんどいない。杜氏の高齢化に伴い、蔵元の社員が杜氏になるケースが増えている。

二次仕込み法(にじしこみほう)
仕込みを一次と二次に分けて行う仕込み方法。一次仕込みは麹、水、酵母を入れて6~8日間発酵させる。二次仕込みは一次醪に主原料、水を加えて8~10日間発酵させる。二次醪を蒸溜したものが焼酎の原酒になる。蒸溜の際に最初に出てくる液体が初垂れ(はなたれ)。アルコール度数が高く華やかな香りがある。本垂れは最も多く抽出される部分で、その焼酎の個性が最もよく出る。最後に出てくる焼酎が末垂れ。華やかな香りは少ないが、味わいが深い部分を多く含む。

本格焼酎(ほんかくしょうちゅう)
でんぷん質を含む原料を発酵させて単式蒸溜機によって蒸溜し、アルコール度数45度未満に割った焼酎を乙類焼酎または単式蒸溜焼酎という。このうち砂糖などの添加物を一切含まないものが本格焼酎と呼ばれる。芋焼酎、麦焼酎、米焼酎など多彩な焼酎がある。甲類焼酎、甲乙混合焼酎にも芋焼酎などの原料名を冠した焼酎があるが、こちらは本格焼酎ではない。

連続式蒸溜機(れんぞくしきじょうりゅうき)
醪を連続して蒸溜できる蒸溜機。アルコール以外の成分を除去して、ピュアなアルコールを造ることができる。このアルコールはさまざまな酒の原料になるので原料アルコールと呼ばれるが、これを36度未満に希釈したのが甲類焼酎。甲類焼酎は、高純度で無味無臭に近く、焼酎本来の風味が少ないために、酎ハイのように割って飲まれることが多い。

▶︎こちらもおすすめ「焼酎の甲類・乙類の違いとは?」

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