はじめに
銭湯や温泉のサブ的な立ち位置にあるサウナであるが、最近は接待の場所に選ばれることもあるほど、新たなコミュニケーション空間として認知されている。
ここでは、初心者のためのサウナガイドを指南しながら、温度別に見たサウナの特徴や効果を見ていく。
一般的な「ドライサウナ」のほか、遠赤外線サウナ、スチームサウナ、ミストサウナを取り上げ、それらの使い分けについて解説する。
【初心者サウナガイド①】サウナ料金について
サウナに入るためには、サウナ料金が必要だ。しかし、とくにスーパー銭湯型の大型店舗には、入浴料にサウナ料金が含まれているのでその心配はない。
一方、銭湯ではほとんど場合、サウナ料金が別で設定されている。入浴料とは別に数百円程度だが、これを払わずにサウナに入ってしまうのはNGだ。というのも、サウナ室が開放されているところもあり、うっかりサウナ料金を払わなくても入れてしまうので、きちんとルールを守ろう。
また、銭湯によってはサウナ室用の鍵が手渡されるところや、サウナ料金を払った人を見分けるためにリストバンドを配るところがあるので、銭湯に入る場合は「サウナもお願いします」と番頭さんに伝えること。
【初心者サウナガイド②】サウナを入る前にすること
サウナに限らず言えることだが、温泉の湯船などと同様に必ず体を洗ってから入るのがマナー。サウナ内で、発汗と一緒に汚れを落とすのはもってほかだ。また、皮膚に汚れがついている状態では発汗作用も薄れてしまうので、必ずひと通り体をきれいにしてから入浴すること。
次に、しっかりと体を拭いて水滴が落ちないようにしてから入ること。水滴が毛穴をふさいでしまううえ、体が濡れたまま入ると、その水(湯)の蒸発熱で体が冷やされ、汗が出にくくなってしまうからだ。
このとき、サウナ用の汗拭きタオルがあるといいだろう。
【初心者サウナガイド③】サウナシートに腰を掛ける
サウナ室に入ったら、すでに入浴中に人と近づきすぎないよう、空いてるスペースを探そう。入浴前にサウナ室を覗いて、スペースがない場合は決して無理して入らずに、サウナ室の前で待つか人が出てくるまで待とう。
サウナ室は、一番上の段がもっと熱いので目一杯汗をかきたい場合は上段へ。そのサウナの温度や体調を考えて、腰をかける場所を決めよう。
次に、サウナ室内に置いてあるサウナタイマーを確認しよう。多くの場合、耐熱性のある12分計が置いてあり、長針が一周で1分、短針が一周で12分を指す。自分が入っていられる時間を知るためにもチェックを欠かさないこと。
また、砂時計を置いてある場合もあるので、これを活用するのもありだろう。ただし、砂が落ちている場合は誰かが謀っている可能性が高いので、触らないこと。
【初心者サウナガイド④】サウナから出るタイミングは?
季節や体調にもよるが、数分から5分程度で徐々に身体から汗が染み出てくるだろう。最初は息苦しいかもしれないが、ゆっくりと呼吸を整えてサウナ内の温度に体を馴染ませよう。
「あとから入ってきた人よりも長くいよう」「自分より先に入っていた人より先に出たら格好悪い」などと考えず、無理をしないこと。
また、1セット目は比較的早い段階で汗が出てくるが、水風呂や外気浴を行ってから2セット目に入ると、毛穴がすぼまっていて1セット目よりも汗が出るまでに時間がかかる。少し時間がかかることを理解しながら1セット目よりも長めに入ろう。
【初心者サウナガイド⑤】水風呂または外気浴で「整う」まであと一歩
サウナでしっかりと汗をかいたら、水風呂に挑戦しよう。「整う」まではあと一歩だ。
水風呂に入る前には、必ず一度身体を流すこと。サウナで老廃物を排出した身体は汚れているので、これもマストのルールとなっている。身体を流したら四肢から順に水風呂に入り、ゆっくりと肩まで浸かろう。
入浴時間は個人差があるが、最初の冷たさを乗り切ればだんだんと身体が慣れてきて、感覚がなくなってくれば至福の時間が訪れるだろう。この水風呂の感覚を味わうためにサウナに入っていると言っても過言ではない。
ここでも決して無理をしないこと。水風呂は上がった瞬間に立ちくらみがする場合もあるので、ゆっくりと出て次のサウナまで少し休憩できる余力を残しておこう。
外気浴の場合は、露天なり吹き抜けのスペースで腰をかけて、夜風の清涼感を堪能しよう。水風呂よりも比較的長時間いられるが、こちらも身体が冷えすぎない程度に屋内に戻ること。
【初心者サウナガイド⑥】サウナ⇆水風呂の温冷浴を実践
サウナと水風呂(ないしは外気浴)を堪能したら、これで1セットとなる。あとはこれを繰り返すだけだ。
サウナで温まる(5〜10分)
↓
体を冷やす(水風呂ないしは外気浴など/数分)
↓
サウナで温まる(5〜10分)
↓
体を冷やす(水風呂ないしは外気浴など/数分)
サウナの目的は血行をよくすることにあるゆえ、この「温冷交代浴」を繰り返すことで、血行を促そう。
セット数(サウナ→水風呂で1セット)や入浴時間は、回数を重ねることで入れるようになるので、無理はしないこと。
【初心者サウナガイド⑦】温冷交代浴をアレンジしよう
サウナに通いだして、上記の温冷交代浴に慣れてきたら独自の入浴方法をアレンジしてみよう。
サウナと水風呂を繰り返すだけでなく、外気浴や浴槽を挟んでみたり、「整う」までにプロセスを楽しんでみよう。サウナに入らずに水風呂と浴槽を繰り返す人や、外気浴を長めにとる人など、サウナーたちを観察するのも面白いだろう。
【初心者サウナガイド⑧】一般的なサウナの温度を知る
サウナは乾式と湿式に大別されるが、一般的に「サウナ」といえば乾式、すなわち「ドライサウナ」を指す。ドライサウナは高温低湿なのが特徴で、室温は平均80~100℃、湿度は5~10%に設定されている。
サウナ内は熱湯に近い温度であるが、熱伝導率が低いためやけどの心配はほぼない。また、汗が蒸発する際に気化熱として身体表面の熱が奪われるため、皮膚付近の温度が高くなりすぎることもない。
同一室内でも温度が異なる
サウナ室は、通常上段、中段、下段の3つのベンチが設置されている。熱い空気は上に移動するという性質上、上段と下段では温度が大きく異なる。場合によっては30℃以上も温度差があるため、座る位置には注意しておきたい。まずは、出入り口付近の下段からスタートし、身体が慣れてきてから中段、上段へと移動するようにしよう。
温度別にサウナを使い分けて体を整える
サウナの種類によって温度も異なる。温度も異なれば、効能も変わってくるので、ここでサウナの種類別にそれぞれの温度と効能を解説する。
ドライサウナ
ドライサウナは、日本でもっともポピュラーなサウナである。先述の通り、温度は80~100℃と高温で、水風呂と併用するのが一般的だ。汗をかいてもすぐ蒸発するため、不快感が残りにくい。疲労回復や、肩こり、腰痛などに効果があるとされている。
遠赤外線サウナ
遠赤外線サウナとは、その名の通り遠赤外線を使用したサウナだ。温度は65~70℃とやや低めに設定されているため物足りなさを感じる人もいるが、遠赤外線には身体を温める作用があることから、充分に汗をかける。
期待できる効果は、冷え性改善や免疫機能向上などだ。美容効果も高いことから、従来女性に人気だったが、近年では美意識の高い男性の間でも注目されている。
スチームサウナ
蒸気をサウナ室内に充満させたスチームサウナ。その温度は40~60℃と低めだが、暖かい蒸気によってじんわりと身体に熱が伝わり、良質な汗をかくことができる。体内の老廃物や毒素を出すデトックス効果が高いとされている。
ミストサウナ
ミストを室内に噴霧させたミストサウナは、40~50℃の温度設定でドライサウナと対照的に低温多湿なのが特徴である。暑苦しさを感じにくく、身体への負担も少ないため、長時間入ることが可能だ。低温で身体を温めることにより副交感神経が優位になり、リラックス効果を得やすくなる。睡眠の質を上げたいなら、ミストサウナがおすすめだ。
サウナの種類によって温度や得られる効果が大きく違う。上手にサウナを使い分け、「サウナで整う」感覚をぜひ体感してみてほしい。
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