万年筆は持っているだけで気持ちを高めてくれる魅力的な筆記具だ。しかし今や文字を書くにはボールペンやシャープペンが主流であり、万年筆の使い方に迷う人もいるだろう。本記事では万年筆の握り方をはじめ、美しい字を書くためのコツなどについて説明する。
懐かしき昭和の筆記具。万年筆の正しい持ち方
万年筆は持ち方にはそれなりのコツが必要だ。まず、万年筆を持つときは、ペン先の刻印やハート穴(ペン先中央にあるハート型あるいは丸型の穴)を真上に向ける。書いている最中に向きがずれてしまわないよう注意しよう。
また、ペンポイントには左右均等に力が加わるようにする。ペンポイントとはペン先の先端部分に付いている合金のことで、磨耗に強い性質をもっている。このペンポイントを紙に対して水平に当てることが重要である。
万年筆はボールペンなどとは異なり、毛細管現象を利用してインクを出しているため、少しの力で書くことができる。逆に筆圧を強くかけてしまうとペン先が潰れてしまう危険性があるため、注意したい。持ち方は箸を持つときと同様に、中指・人差し指・親指で軽く支え、手のひらに卵ひとつつかむくらいの程度で軽く持つ。力が入ってしまう人は、軽くつまむくらいのイメージで握る練習をするとよい。
心を伝える。美しい文字を万年筆で書く
自分の真剣な思いを伝えるには、やはり文字の美しさも大切である。
文字を書くときは、万年筆と紙との角度を45~60度ほどに調節するとちょうどよい線を引くことができる。また、万年筆を寝かせて書くと太い線が、立てて書くと細い線が書けるため、書く文字の大小など、場合に応じて使い分けてみよう。
このとき、ペンポイントがきちんと水平になっているか確認が必要だ。ペン先の角度がねじれているとインクがかすれてしまったり、ペン先が紙に引っかかってしまったりするため気をつけたい。
また、筆圧はできるだけ弱くした方が滑らかな字が書ける。腕全体をリラックスさせ、手だけではなく肘も動かしながら軽いタッチで書くとよい。ただし肘を曲げる角度は90度であることが肝心だ。紙は自分の手元から遠すぎず近すぎない位置に置こう。
書くときの姿勢だが、書道と同様に背筋はまっすぐ伸ばし、足の裏はぴったり床につけた状態が望ましい。また、書きながら自分の文字を覗き込むようにする姿勢は猫背や文字の曲がる原因になるため、意識的に改善したい。
万年筆は繰り返し使っていくことで、自分の手に馴染んだ唯一無二の筆記具となる。持ち方や書き方に留意しつつ、自分なりの楽しみ方を見つけてもらいたい。