酒造業界に新たな風を吹き込む「クラフトサケ」の醸造家たちに密着したドキュメンタリー映画『かもしびと』が、2025年夏に公開さることとなった。
秋田、フランス・パリ、福島の南相馬といった異なる土地で酒造りに挑む若き醸造家たちの4年間の歩みを描き、その情熱とビジョンを映像に収めた作品となっている。
新たな挑戦、「クラフトサケ」とは?
「クラフトサケ」とは伝統的な日本酒製法にとらわれず、独自のアプローチを加えた新ジャンルの酒。現在の日本では、新たな酒蔵を立ち上げるための免許が70年以上も発行されていない。
そのため、一部の若者たちは「水・米・麹」以外の副原料を使用して「その他の醸造酒」として新たな酒造りを始めているのだ。本作では、こうした挑戦者たちが既存のルールに一石を投じる姿を追い、クラフトサケが持つ可能性を伝えている。
主な登場人物と活動拠点
稲とアガベ(秋田県男鹿市)
秋田の男鹿半島で新たな酒蔵を立ち上げた岡住修兵氏が率いる「稲とアガベ」。酒造りだけでなく、地域活性化を目指し、レストランや加工所の運営にも挑戦。
WAKAZE(フランス・パリ)
フランスに拠点を構えるWAKAZEの今井翔也氏。パリで日本酒醸造を行いながら、日本の発酵文化を再定義し、世界市場に向けた酒造りを推進。
haccoba(福島県南相馬市)
震災後の南相馬市で立ち上げられた「haccoba」。佐藤太亮氏は、地域文化の復興と自由な酒造りを目指して活動している。
監督の想い:日本酒の現状と未来を問いかける
監督の松本トラヴィス氏は、4年前に秋田県で酒蔵を立ち上げたいというメッセージを受けたことをきっかけに、プロジェクトを始動。彼が注目したのは日本酒業界が抱える課題と、それに立ち向かう若者たちの姿である。
規制による新規参入の難しさや業界全体の売上低下が問題視される中、なぜ彼らはそれでも日本酒にこだわり続けるのか。取材を通じて浮かび上がったのは、クラフトサケの醸造家たちが持つ強い使命感と、日本酒文化を未来に繋げたいという熱意だった。
映画の見どころ
地域や文化を超えた酒造り
秋田、パリ、福島と、それぞれの土地の特性を生かした酒造りが描かれ、彼らの活動は地域活性化や国際交流と密接に結びついている。
規制と革新の狭間で奮闘する若者たち
新たな酒蔵を作る難しさや、従来の日本酒造りに挑戦する姿勢が映し出され、その中でクラフトサケがどのように誕生したのかを知ることができる。
日本酒の可能性を再発見
2024年に日本の伝統的酒造りがユネスコの無形文化遺産に登録される見通しである中、日本酒の未来についての議論を呼び起こす内容となっている。
公開に向けた支援プロジェクト
現在、『かもしびと』の制作資金を募るプロジェクトがMakuakeで公開中となっている。クラフトサケの挑戦を応援したい方、映画制作に共感する方は、ぜひ支援を検討してみるのはいかがだろう。
『かもしびと』は日本酒の新たな可能性を映し出すだけでなく、酒造業界や地域社会への理解を深めるきっかけを提供するコンテンツ。2025年夏、この熱い物語をぜひ劇場で体感していただきたい。
公式HP:Makuakeプロジェクトページ
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