すっかり冬の気配を纏い始めた11月末の東京・赤坂。ネオンから少し離れた閑静な住宅街にひっそりと佇む「赤坂 渡なべ」は、ミシュラン東京2024・2025の“セレクテッドレストラン”に2年連続で選出された、今注目の和食料理店だ。
この夜、赤坂 渡なべで開催されたのは、新潟を、いや日本を代表する酒「久保田」の千寿・萬寿シリーズと、和食のマリアージュを愉しむ食事会。この貴重な集いに、我々「男の隠れ家」も参加させていただいたのである。
■常に挑戦を続ける朝日酒造が主催した、身も心も温まる夜

誰もが一度は耳にしたことのある日本酒といえば「久保田」。お酒を嗜まない人だって、その名前くらい聞いたことがあるだろう。
1830(天保元)年、今の新潟県長岡市で平澤與三郎が「久保田屋」の屋号で始めた酒造り。1920(大正9)年に朝日酒造株式会社となり、1985(昭和60)年、創業時の屋号を冠した「久保田」が発売された。
今や当たり前のように表現される“淡麗辛口”という日本酒の方向性は、この久保田が確立したと言っても過言ではない。
“芳醇旨口”が常だった昭和期に時代の変化を敏感に読み取り、これまでと違った方向性で誰もが美味しく味わえる日本酒を追求した朝日酒造。
その精神は発売からまもなく40年を迎える今に至っても変わることなく、久保田の進化を止めることはない。
…という歴史を踏まえた上で、このプレミアムな食事会である。
■腕の立つ料理人が提供する、心のこもった日本料理

会場となった「赤坂 渡なべ」は冒頭で触れた通り、食通に注目される人気の和食料理店である。白衣に蝶ネクタイの装い、人懐っこい笑顔と楽しい会話。
カウンター越しに対峙する店主の渡邊雄二郎さんは、料理の腕はもちろん、その人柄からも多くの客人に愛される人だ。
料理の道に入り、割烹料理の名店「津やま」、そして老舗料亭「金田中」で修業を積み、赤坂に念願の店を構えたのは2018年のこと。
飲食業界にとって未曾有の脅威となったコロナ禍には、思い切って店内を改装し、先の見えない不安を乗り越えてきた努力と“ひらめき”の才を持った人でもある。
この日のスペシャル会席も、普段提供する会席コースと同様に、自家製の野菜ジュースから始まる。

今回のために用意された日本酒は5種。「久保田 千寿」「久保田 千寿 純米吟醸」「久保田 千寿 秋あがり」「久保田 萬寿」「久保田 萬寿 自社酵母仕込」。
見た目も華やかな盆で提供される前肴には「久保田 千寿」の熱燗と、「久保田 千寿 純米吟醸」をマリアージュ。料理と酒の相性を渡邊さんの隣で解説してくれるのは、日本ガストロノミー協会の理事にして酒匠の佐藤厚一郎さん。

なぜ、この料理にはこの酒なのか? 口に含んだ時に広がる香りや甘み。そして、苦味の楽しみ方。実際に味わってみて「なるほど」と感心するばかりだが、この感動は味わってみないことには伝わらないのだ。
その後も、後肴の〆鯖の龍皮巻き寿司に「久保田 千寿」、指宿の赤甘鯛と丹波大黒しめじのみぞれ仕立てには「久保田 萬寿」のぬる燗を、と厳選された組み合わせに舌鼓を打つ。


ゆっくりとした会話や目の前で仕上げられる料理を目にも舌にも愉しみながら、夜は更けていく。程よくアルコールが体に染み渡ってきたことを実感するも、まだまだ料理はこれからだ。
■プレミアムで特別な日本酒「久保田 萬寿」と「久保田 萬寿 自社酵母仕込」
根室の松川鰈、佐渡の天然鰤、鹿児島高山の鰆の藁たたき、そして、辛子酢みそを添えた焼きなす。華やかに供されたお造りは自家製の柚子塩でいただくと旨みがすごい。


これに合わせるのは「久保田 萬寿」と「久保田 萬寿 自社酵母仕込」。どちらもプレミアムな酒だが、特に「久保田 萬寿 自社酵母仕込」は3・5・9・11月のみに出荷される、特別な酒。
存在感のある味わいとキレ、エレガントな風味。上品な香りと丁寧に下拵えされた魚との相性は抜群だ。
カニ胡麻コロッケには「久保田 千寿 秋あがり」をぬる燗で。ほんのり上品なカニの苦味に、濃厚でまろやかな酒が加わり、どちらの風味も掛け算のように口の中で豊かに広がる。


そしてこの日、渡邊さん、佐藤さんが口を揃えて「楽しみにしていてください」と言っていた、牡蠣料理。
広島産の少し小ぶりな生牡蠣に「久保田 千寿 秋あがり」を垂らしていただく。ウイスキーなど度数の高い酒で味わうことが多い食べ方だが、日本酒では初めてだ。
渡邊さん曰く「久保田 千寿 秋あがりは、他の日本酒より19度とアルコール度数が少し高いからこそ提供できました。大ぶりで味の濃い牡蠣ではなく、あえて小ぶりで質の良い牡蠣に合わせることで、旨みが一気に華咲きます」。


ワクワクしながら言われた通りに食べてみたら、なるほど、美味い! 牡蠣が持つ少しの塩気と酒がまろやかに絡み、鼻から抜けていく磯の香りに棘がない。
■日本の大切な文化として、守りたい日本酒と日本料理
ここまでで、身も心もすでに満腹である。提供する日本酒に合わせて、緻密な計算で仕上げられた特別な料理たち。しかし、ここからも凄かった。
渡邊さん自ら目の前で炒り、そして大きなすり鉢で丁寧に摺って仕上げられた、ごまあんの茶碗蒸し。これまで食べたことのないゴマが芳醇に香る優しい味わいに、再び、胃が刺激され食欲が増す。


「久保田 千寿」と共に、するりと体に入っていく。これには驚いた。まだ、食べられる。まだ、飲める。
そして提供されたのは、渡邊さんの姉夫婦が地元・新潟で丹精込めて育てた新米コシヒカリと、炙った天然鰤と久保田の吟醸酒粕で仕立てた粕汁。付け合わせには三面川(みおもてがわ)の塩引き鮭と筋子、粕漬け。


ツヤツヤに輝く新米にしょっぱい鮭を乗せ、一緒に提供された出汁をかけたお茶漬けも美味しい。こちらも「久保田 千寿」を片手に、さらさらと胃に収まっていく。
敷居の高さに抱えていた当初の緊張も、この頃にはすっかりほぐされていた。久保田の酒の幅広さと底知れぬ可能性はもちろん、渡邊さんの手がける料理の数々、佐藤さんのさまざまな経験を踏まえた会話。
すべてがこの日限りの、特別な時間であった。

最後のデザート、吟醸クレープと蜜柑琥珀寄せにも「久保田 萬寿」をマリアージュさせ、成立させる凄み。
日本酒って凄いんだ。日本料理って凄いんだ。
日本人として当たり前に享受している、この二つの文化を我々消費者こそが、しっかりと噛み締めて、そして味わって、次のまた次の世代にも残していかなければならない。

赤坂 渡なべ
東京都港区赤坂2-17-59 エスポワール2F
TEL:03-6426-5872
営業時間:18:00〜22:30 最終入店20:00
定休日:月曜・その他不定休あり
料金:店主おまかせ会席 2万円〜
※季節・仕入れにより5000円〜1万円の追 加料金を頂戴する場合がございます。
公式HP:赤坂 渡なべ
【2025年1月開催】「久保田 千寿」「久保田 萬寿」シリーズを愉しむ特別会席ディナー ~赤坂 渡なべにて開催~

今回、男の隠れ家が堪能した「久保田 千寿」「久保田 萬寿」シリーズを愉しむ特別会席ディナーが、2025年1月27日(月)に再び開催される。
会場は同じく「赤坂 渡なべ」で、定員は12名、会費は2万2000円(税サ込)となっている。
極上の日本料理を味わいながら、久保田シリーズとの究極のペアリングをぜひ味わっていただきたい。
【1月開催】「久保田 千寿」「久保田 萬寿」シリーズを愉しむ特別会席ディナー ~赤坂 渡なべにて開催~
詳細情報:https://www.asahi-shuzo.co.jp/event/2024-12-02.html
朝日酒造株式会社
公式HP:朝日酒造 久保田
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1979年、北海道出身。バイク(チョッパー)専門誌「HARD CORE CHOPPER」、フリーペーパー「MOLE Magazine」、ライフスタイル誌「男の隠れ家」を経て、現在は「男の隠れ家デジタル」編集長。
バイクやクルマでの日本一周・目的を決めない旅が趣味。好きな分野は「飛行機」「クルマ旅」「地方の土着的な風習や歴史」「ミステリー」など。UFOや都市伝説に興味深々。好きなものは「巨大建造物」「道の駅・SA(道の駅きっぷ収集)」「キャンプ」「ガジェット」「カメラ」「ボストンテリア」。
