103368あの頃、歌が活力だった「歌声喫茶よ、永遠に」

あの頃、歌が活力だった「歌声喫茶よ、永遠に」

男の隠れ家編集部
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ある日、食堂で客が歌い始めた。これを発端に、リードに合わせて客が歌う歌声喫茶が誕生した。戦後の混乱の中、歌が希望の光だった。

(※その他の写真は【関連画像】を参照)

※この記事は2024年11月号に掲載されたものです。

■自由と孤独を胸に明日を歌う

歌声喫茶 ともしび/昭和45年頃 西武新宿前店

「日曜日に市場へ出かけ……テュリャテュリャテュリャリャ」とソ連が「労働者の祖国」として夢のように語られていたあの頃、よくロシア民謡が聴こえてきた。昭和30年代のことだ。

「昭和29年(1954)、新宿・歌舞伎町の大衆食堂でたまたまBGMとしてかけていたロシア民謡のレコードに合わせて学生たちが歌ったことをきっかけに、歌声喫茶が誕生しました」と教えてくれたのは、歌声喫茶ブームの先駆けとなった「歌声喫茶ともしび」(当時は「灯」)の店長、齊藤隆さん。

歌声喫茶とは、客全員が歌うことを想定した喫茶店や酒場のこと。まだカラオケもライブハウスもなかった時代だ。

歌声喫茶 ともしび/昭和50年頃 旧新宿店
歌声喫茶 ともしび/昭和42年頃 亀戸店

若者が集まり、アコーディオンに合わせてロシア民謡や労働歌、歌謡曲などさまざまなジャンルの歌を皆で歌い、連帯感をつくり出した。当時としては画期的な店だった。

「歌を通して人と結び付き、明日を生きる糧にしていたんじゃないかと思います」と齊藤さん。

時勢柄、歌声喫茶には政治的な側面もあったため、学生運動の高まりとともにブームになっていった。「灯」の従業員たちも各地で歌声喫茶を始め、大いに盛り上がった。

徐々に店舗の数を増やし、東京だけでも20軒ほどの歌声喫茶が生まれた。その後、「あなたの街にも歌声喫茶を!」の運動として自主運営が行われ、“仲間の店”として長野や仙台にも次々と開店した。歌声喫茶 ともしび/昭和32年 西武新宿駅前店

「灯」だけではない。新宿のロシア風酒場「どん底」も歌声喫茶として知られ、三島由紀夫や金子光晴など、多くの文化人が訪れた。

そんな歌声喫茶も歌謡喫茶やカラオケスナックへと姿を変え、次第に数を減らした。しかし「灯」は「歌声喫茶ともしび」として今も営業を続け、人々を集めている。いつの時代も我々には心の拠りどころとなる灯火が必要なのだ。

⚫︎昭和30年代に大流行した「どん底」(現在は居酒屋)

昭和26年(1951)開店の「どん底」。ロシア風酒場のこの店では、ロシアの民族衣装ルバシカを着た従業員たちも合唱に加わった。さまざまな映画にも登場し、業界人たちにも愛されていた。

⚫︎復活を遂げた老舗歌声喫茶「歌声喫茶 ともしび」

新宿区内で場所を変えながら60年以上にわたって営業をしたものの、コロナ禍によって一時は閉店に追い込まれた。しかし、昔からの常連客たちが「ともしびを消すな」と支援し、2022年に高田馬場にて2年ぶりに復活。

「ここまでしていただいて、絶対に復活させなくては、と心に決めていました」と店長の齊藤さん。以来、スタッフが奏でるピアノやアコーディオンの調べにのせて、客やスタッフが懐かしい昭和歌謡やロシア民謡を歌っている。

【人気曲TOP3】

❶ 『いのちの歌』竹内まりや
❷ 『異邦人』久米小百合
❸ 『ビリーブ』杉本竜一

東京都新宿区高田馬場2-14-9アティレビル1F
TEL/03-6233-8381
営業時間/14:00~16:20、16:40~22:00(火曜16:40~22:00、日曜16:00~21:20)
定休日/月曜
料金/1800円(1オーダー制)

■歌声喫茶から姿を変えた「歌謡喫茶」

⚫︎あの頃の輝きを残すタイムマシン「歌謡曲カフェLover’s」

ラグジュアリーな店内は、ディスコを求める多くの客で賑わっている。

扉を開けるとそこはバブル全盛期。ABBAの「Dancing Queen」がかかり、50~60代とおぼしき男女がフロアで踊っている。

「ここは、最後で最高の遊び場なんです」というのはオーナーの北島さん。青春時代にディスコに通った世代にとっての夢の箱を造ることをめざしたのだという。

ラグジュアリーな内装も印象的ながら、ここは下町・鶯谷。気負うことなく扉を開けられる。また、週末はディスコ、平日はスナックカラオケとして営業。ふらっと立ち寄ってみてはいかがだろうか。

DJが昭和に流行った名曲を軸にスピン。
常連客。若い頃はディスコに通っていたため、昔懐かしい雰囲気が嬉しいのだとか。

【人気曲TOP3】

❶ 『Dancing Queen』 ABBA
❷ 『Y.M.C.A.』Village People
❸ 『Hot stuff』Donna Summer

東京都台東区根岸1-1-16銀星ビルB1
TEL/03-5808-4343
営業時間/19:00~25:00(土曜18:00~24:00、日曜14:00~24:00)
定休日/無休
料金/男性3500円、女性2500円

⚫︎昭和感満載のワンダーランド「町田ヒットパレード」

店内には昭和歌謡が響き、それぞれが思い出に浸っている。

松田聖子にピンク・レディーなど青春時代を彩ったアーティストのジャケットやレコード、ポスターが壁一面に飾られた店内はマニア垂涎。

「オーナーが昭和歌謡曲マニアで、すべて趣味で集めたものです」と話すのは店長の安藤政幸さん。

盛り上がる店内。初めて会った者同士の距離をぐっと近づけてくれるのも音楽の魅力だ。
著名人のサインが数多く飾られる。

常連客によると「昔を思い出して不思議と若返る場所」なのだとか。月に1度程度で行われるイベントには著名人が訪れ、過去には元モーニング娘。の加護亜依さんや、プロレスラーの「藤原組長」こと藤原喜明さんが来店したこともあるという。

【人気曲TOP3】

❶ 『年下の男の子』キャンディーズ
❷ 『夢の途中』来生たかお
❸ 『悪女』中島みゆき

客と一緒に楽しむ店長の安藤さん。歌舞伎町で生まれ育ち、突然町田に来たのだとか。

東京都町田市原町田6-18-2ビラ・アペックス町田B1F
TEL/042-785-5202
営業時間/19:00~29:00
定休日/無休
料金/男性2500円、女性2000円(1時間)

⚫︎静かに歌謡曲に浸るなら「喫茶まちぶせ」

昭和歌謡がレコードの温かな音色で流れ、外の光が優しく差し込む店内に自然と心が解けていく。店主は新宿ゴールデン街で店を持つ歌手のギャランティーク和恵さん。

歌手歴20周年を機に開いたのがこの店だ。細部までこだわった世界観が昭和へと誘う。

東京都新宿区市谷柳町29
TEL/03-6228-1577
営業時間/11:00~22:00(月曜~19:00)
定休日/無休

※この記事は2024年11月号に掲載されたものです。

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