日本のゴミ処理事情は、実は世界で最も複雑だと言われることもある。果たして、日本と海外のゴミ出しには、一体どのような違いがあるのだろうか。
本記事では、日本のゴミ処理事情を解説した上で、海外文化との違いを紹介する。ライフスタイル誌から誕生した男の隠れ家デジタルが、知的好奇心をくすぐる情報を解説しよう。
■日本のゴミ出しは複雑過ぎる!
日本のゴミ出しは海外と比べて複雑である。理由は以下の2点だ。
- 分別の種類が多い
- 曜日が指定されている
それぞれ一つずつ見ていこう。
●分別の種類が多い
日本のゴミ出しは、分別の種類が細かく設定されている。具体的には、以下のような種類に分けられている。
- 燃えるゴミ:生ゴミ、紙ゴミ、衣類、プラスチック
- 燃えないゴミ:金属、プラスチック、陶器、ガラス、スプレー缶、電球
- 粗大ゴミ:家具、家電、自転車
- 資源ゴミ:紙ゴミ、段ボール、缶、瓶、ペットボトル
単純に種類が多いだけでなく、自治体によって取り扱いが異なる点も複雑さを加速させている。例えば、プラスチック一つ取っても、自治体によっては燃えるゴミであり、その一方で自治体によっては燃えないゴミに指定されていることも。
紙ゴミであれば大きさや汚れが分類の基準になっているほか、地域によってペットボトルを潰すのか潰さないのか、などの指定まで異なる。
●曜日が指定されている
日本に住んでいれば当たり前のことだが、ゴミ出しの曜日が厳密に指定されているのも複雑である理由の一つだ。ゴミ出しは月曜日から金曜日まで細かく回収日が決まっており、違った曜日にゴミを出してしまうと回収されず、ときには管理会社から注意を受けることも。
また粗大ゴミを回収してもらう際は、事前にリサイクルセンターに連絡が必要だったり、大きさによって料金が変わったりなど、これらの要因がさらにゴミ出しの難易度を高めている。
慣れていない地域で新生活を始めた人にとって、これらのゴミ出しルールに適応するのは難しく、場合によってはご近所トラブルの原因になることもある。
■海外のゴミ出しに関するルール
日本のゴミ処理事情がわかったところで、海外のゴミ出し文化とそれぞれ比較していく。アメリカ・スウェーデン・中国・韓国・ベトナムに分けて解説しよう。
●アメリカ
アメリカのゴミの種類は、日本のように細かく分類されていない。州や自治体によって異なるが、一般的にゴミの種類は以下3つに分類される。
- リサイクルゴミ:紙類、プラスチック類、金属類、ガラス類
- コンポストゴミ:主に食品の残り物や庭の落ち葉
- 通常ゴミ:その他のゴミ
日本との違いとして、共有のゴミ捨て場がないことが挙げられる。家の前に置いておけば、一軒ごとにゴミを回収してくれるのだ。
映画『トイ・ストーリー』でも、家の前に置かれたおもちゃ袋がゴミ収集車に回収されるシーンがあったが、これはアメリカだからこそのシーンと言える。
●スウェーデン
スウェーデンは国民のリサイクル意識が高い国だ。特に「エコシティ」と呼ばれる地域では、ゴミを収集するための専門システムが整備されており、その影響もありゴミのリサイクル率はなんと95%を超えている。
あまりにも多くのゴミをリサイクルに回していることから、他国から燃えるゴミをわざわざ輸入しているほどだ。このリサイクルへの意識の高さは、学校教育によるものだと言われている。
●中国
中国の上海では、2019年から「上海市生活ごみ管理条例」が施行されたこともあり、ゴミの分別はかなり厳しい。基本以下4つの種類に分けられており、条例を守らなかった場合は罰金が科せられる。
- リサイクルゴミ:プラスチックや空き缶など
- 有害ゴミ:電池、蛍光灯など
- 湿式ゴミ:食品の残り物など
- 乾式ゴミ:汚れた紙など
なお、条例はフードデリバリーサービスなどで出たゴミなどにもかかり、これは企業にも個人にも罰金が科せられる。その点でいえば、日本よりもゴミ処理事情が厳しめな傾向にある。
●韓国
韓国のゴミ出しは、大きく10種類前後に分類されている。またゴミの廃棄方法として従量制が採用されており、ゴミ出しを行う際は指定のゴミ袋を用意しなければならない。
ただし、資源ゴミの回収日が決まっていない地域があること、粗大ゴミを無料で回収してもらえること、といった点は日本よりも優遇されている。
●ベトナム
ベトナムにはゴミの分別という概念がなく、街にあるゴミ回収ボックスに入れればゴミを持っていってくれる。ただ、罰則付きのゴミ処理ルールが導入され始め、ゴミ出しに対する意識が急速に向上している。
すべての地域で導入されているわけではないが、以前に比べてゴミ出しの規制が進んでいるのは事実だ。ゴミ出しの分別を怠ると、罰金が科せられる場合もあるとのこと。
■まとめ
日本と海外のゴミ処理事情を比べると、日本のゴミ出しがいかに複雑であるのかがわかる。しかし、多くの国が独自のルールを取り入れ始め、環境に配慮したゴミ出しの工夫が進んでいる。
日本にはない罰金制度もあるため、海外の良いところは積極的に取り入れ、日本でも環境への配慮を考えていくことが大切だ。個人のゴミ捨て意識から、地球環境に優しい社会の実現を目指していこう。
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