(※その他の写真は【関連画像】を参照)
※この記事は2026年2月号に掲載されたものです。
■ネオン街を歩いて小樽きっての老舗へ

昔ながらの飲み屋が立ち並ぶ花園エリアに入り込むと黒い壁面に金色のプレートがきらびやかに飾られている。そこには店名である「Don Juan」の文字とともに1967の数字が記される。
今から50年以上も前にオープンした小樽きっての老舗バーがここ「カクテルバー ドンファン」だ。
重厚な扉を開き店内へ。整然とボトルが並ぶバックバー。ウッディなスペースかと思いきや、カウンター内はレンガ調に仕上げられており、まさに往年のバーという風合い。

鮮やかな色のリキュール、さまざまな形の瓶が店内を囲む。そこには格調の高さ、老舗の矜持が感じられる。
ドンファンを開いた山下健一郎さんは、日本バーテンダー協会の常任顧問を務めるなど、北海道でも指折りのバーテンダー。
御歳70を過ぎても、カウンターに立ち続け、スキンヘッドの風貌から嘘か誠か「まさに小樽のドンファン」と言われたという噂も。
実際は気前よく、ふらりと立ち寄った旅人にも気さくに接する山下さんは、小樽のバー文化にとって欠かせない人物だった。
その山下さんは2020年に突然、亡くなってしまう。店を引き継いだ佐々木まり子さんが、今はドンファンを支える。

ここで強調しておきたいのが、佐々木さんが45年以上、この店で山下さんを支えていたこと。従ってドンファンの伝統はしっかりと佐々木さんが受け継いでいるのである。
「カクテルの美しさに魅了されてバーテンダーになったんです」と佐々木さん。なんとも女性らしい捉え方になるほどと頷く。
そんな佐々木さんが選んでくれたお勧めのカクテルは「タオルミーナブルー」。鮮やかな青が印象的なドンファンオリジナルのカクテルだ。

「タオルミーナ」はイタリアの南部シチリア島の地名に由来する。地中海の鮮やかな青をブルーキュラソーが表す。
シェイクする佐々木さんの無駄のない動き、凛とした佇まい。そして朗らかに会話してくれる一面からも先代から引き継いだものだろうと思うと、こちらもなんだか嬉しくなる。
並ぶ酒の種類はオールジャンル。近年はバーもワンジャンルに特化した専門店が増えているが、ドンファンはそうではない。
まさに港町を訪れた旅人すべてを受け入れてくれる宿り木のような場所だ。

■おすすめの一杯
⚫︎タオルミーナブルー

グラッパ、ベルモットドライ、アップルリキュール、ライム、ブルーキュラソーをシェイクしたショートカクテル。
グラッパはイタリアでは一般的なブドウの蒸留酒。適度な重厚さのあるグラッパに爽やかなフルーツリキュールが組み合わさる。
カクテルバー ドンファン
港町小樽で、最も古いとされる「カクテルバー ドンファン」。これまで多くの旅人が立ち寄ってきた老舗だが、これからもその歴史を紡いでいってもらいたいと心から願うばかり。
北海道小樽市花園1-12-21
TEL/0134-25-1399
営業時間/18:00~25:00
定休日/なし
アクセス/JR「小樽駅」より徒歩約15分
文/阿部文枝 撮影/林 直光
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